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宮部みゆき 『黒武御神火御殿』 ~悪しき魂の器である屋敷からの乾坤一擲の脱出物語など、相変わらず素晴らしい語りぶりの物語4編で、570頁を一気に読んでしまいます。

 楽しみにしていた、6冊目の「三島屋変調百物語」、

宮部みゆき 『黒武御神火御殿』(毎日新聞出版)

です。

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 今回から、「変わり百物語」の聞き手が、瓢箪古堂(貸本屋)の勘一のところに半年前に嫁に行った、おちかから、三島屋・次男の富次郎(22歳)になりました。
 守り役は、お勝です。疱瘡後が、禍祓いになっています。

 語り手に出す菓子・・上野池之端の《田植傘》とか、《流水の葛寄せ》とか、羽二重大福とか・・が、美味しそうで、実際にあるのか、ついネットで探してしまいます。
 さて、最初に聞いた話は、幼馴染みの、豆腐屋の八太郎からでした(「第一話 泣きぼくろ」)。
 今回、「第三話  同行二人(どうぎょうににん)」などは、後味が良い物語になっています。

 「聞いて聞き捨て、語って語り捨て。名乗らず、細部を隠してもよい」約束の語り。
 表題作の、第四話『黒武御神火御殿』は、261頁から569頁という〈大作〉です。
「毎日新聞」の連載で読んだ方は、2018年8月から2019年7月まで、毎日、楽しみに過ごせたでしょうね。

  さて、ここからは、いわゆる《ネタバラシ》満載となります。

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オペラ『椿姫』 ~2か月ぶりのオペラ。大熱演の谷原めぐみにブラボー !!

 まずは、昨日から、『西洋美術の歴史』第7巻目を読み始めました。山本浩貴『現代美術史』との平行読みで、実に、楽しい読書生活です。

 さて、約2ヶ月ぶりのオペラ観賞です。
やはり、オペラって良いですね。気持ちが豊かになります。
 2月20日(木)14時から、上野・東京文化会館大ホールで、
ジュゼッペ・ヴェルディのオペラ、

『椿姫』(3幕)

を観賞しました。
 《ラ・トラヴィアータ(道を踏み外した女)》と言ったほうが良いでしょうか。
 席は、S席最前列です。終演後、演出の原田諒氏の〈アフター・トーク〉という、〈おまけ〉付きでした。
 写真は、終演後、拍手を受ける歌手たち。頭上には、舞台装置の大きな鏡があります。

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 このオペラは、2013年3月にも横浜で観ましたが(演出・沼尻竜典)、その時は、砂川涼子×福井敬×黒田博の熱演にもかかわらず、舞台機構の不備などもあって、今一つ、でした(ブログは、2013年3月23日)。

 今回、あらかじめ、興味を持った点が・・、

1、どんな魅力のヴィオレッタ・ヴァレリーか、
2、「新演出」とありますが、読み替え演出か、オーソドックスな演出か、
3、前田健生病気のための急遽代役になったアルフレード樋口達哉の出来、
4、1幕のヴィオレッタとアルフレードの出会い、2幕の舞台装置や劇中のダンス(マタドール、ピカドール、ジプシー)、3幕の死の別れ・・を、それぞれどのように演出しているのか、
5、父ジョルジュ・ジェルモンの演技と歌は、
 ・・といったところでした。

 で、その結果は・・、

1、ヴィオレッタ・ヴァレリー役の谷原めぐみの、大熱演が光りました。声量もありますし、ヴィオレッタになり切った感じ。ブラボー !! です。

2、演出は、宝塚歌劇団の演出家、原田諒。初のオペラ演出ですが、正攻法の演出です。衣装も美しい
 氏の年齢は、ヴェルディが、この物語を書いたのと同じ39歳。
 余談ながら、昨年10月の田尾下哲の「カルメン」の様な演出は、もうこりごりです(しつこいですが)。

 指揮は、ジャコモ・サグリパンティ。初来日で、2016年オペラ・アワードで最優秀若手指揮者です。やはり、ほぼ39歳。
 東京都交響楽団、二期会合唱団も巧かった。

 舞台装置は、椿の花がモチーフになっていて、だんだん、朽ちていきます(装置・松井るみ)。後半の巨大な鏡で舞台上を写すのは、素晴らしいアイデア(最前列に限りませんが、1階では舞台上の、つまり板の上の、折角の美しいデザインは見えませんから)。 
 衣装・前田文子照明・喜多村貴振付・麻吹梨乃の布陣です。
 余談ですが、「アフター・トーク」で話が出ましたが、宝塚では、主人公が「高級娼婦」ということで、舞台化出来なかったとか。

3、さて、急遽代役と言っても、樋口達哉は、ベテランですから、演出家の意図にも忠実に、見事に演じました。
(余談ですが、パンフレットが、もう樋口達哉に刷り変わっているのは驚きでした。)

4、ヴィオレッタとアルフレードの出会い、ヴィオレッタの死は、オリジナル台本に忠実に演じられました。
 私の持っているDVDでは、アルフレードがパパラッチという設定でしたが、その様な読み替えはありません。

 また、ダンサー(千葉さなえ ほか9名)が、魅力的でした。

5、父ジョルジュ・ジェルモンは、ベテラン成田博之が演じました。
 私は、「椿姫」というと、このジョルジュ・ジェルモンの2幕(5景)の歌の中で、何度もヴィオレッタに言う「そうだ、泣きなさい」という歌詞の部分(3幕のクライマックスでは、今度は、(私は、彼女のために)「泣くでしょう」という歌になるのですが。)のフレーズの部分が好きなのです。勿論、イタリア語です。

 期待が高い分、成田博之ジェルモンは、やや父親らしくない印象です。父親の歌を歌うのでは無くて、もっと父親になって歌ってほしかった。
 それにしても、アルフレードは、父に抱きついて泣くなど、甘えん坊のお坊ちゃまなのですねえ。

 今日は、本当に、心から舞台を堪能して、楽しみました
 同じメロディーが何度も使われているのも、きちんと聞き取れました。

 公演後の原田さんのアフター・トークも聞いて良かったのですが、司会(タカノ・マイさん)・・余談ですが、超チャーミング・・がもう少し、内容のある話に誘導してくれていればもっと楽しかったかもしれません。
 これで、しばらく、人混みは避けるようにします。★

映画『1917 命をかけた伝令』 ~考えている暇の無い、切れ目の無い「長回し」撮影の視覚効果満点です。

 毎日、他の方のブログを拝見していて、馴染みのブロガーの方が、「病欠」されたりすると、人ごとでは無く心配してしまいます。最近では、「癌で手術」、と言う方がおられ、ご快復を心からお祈りしています。

 今日から、山本浩貴『現代美術史』を読み始めましたが、ひとまずは、映画のお話です。
 私は、あまり小難しく考える映画は嫌いなたちで、そこにいくと、今日の映画は、CMを観たときから、行こうと決めていました。
 行こう、と決めたのは良いのですが、「コロナ・ウイルス」騒動の中、おっかなびっくり、人込みに行くことになりました。
 席は、Aから始まるE列中央で、この列には誰もいませんでした。余計なことですが、ご年配のご婦人が前のほうのC列に・・戦争映画では珍しい、・・でもないか。
 観てきたのは、

映画『1917 命をかけた伝令』

で、2020年アカデミー賞の作品賞はとりませんでしたが、視覚効果賞など3部門受賞作品です。 
2019年、英米合作、119分。監督・サム・メンデス、音楽・トーマス・ニューマン、撮影・ロジャー・ディーキンス。

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 1917年の西部戦線で、独軍が後退するとみせて罠をしかけてるのを、航空偵察で気づいた英軍の将軍が、電話線が切れているので、2人の若い将兵、トム・ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)とウィリアム・スコフィールド(ジョージ・マッケイ)に、1,600人がいる現地に「作戦中止」の伝令を命じた物語です。

 全編、ワン・カット(長回し)的映像を組み合わせた視覚効果満点の映像で、臨場感があります。
〈道中〉の構成が、巧く組まれていて、迫力があります。ま、油断しすぎ・・と思うところが、結構、あるんですが。

 《ここから、ネタばらしが入ります。》

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安藤優一郞 『江戸の間取り 百万都市を俯瞰する』 ~これを知っていれば、時代小説がもっと面白い。

 今日の本は、

安藤優一郞 『江戸の間取り 百万都市を俯瞰する』(彩図社)

です。(2020年1月24日刊行)

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 本書の、個々の平面図を眺めているだけでも楽しくなります。そして、この時代は、武士も町人もすこぶる格差が大きいのに気付きます。

 時代小説を読んでいると、筋を追うのに懸命で、出てくる用語を確かめている暇がありません。かといって、読了後に、いちいち当たることもしませんから、用語だけを知っている、と言うことが往々にしてあります。

 江戸城本丸御殿の〈表〉(儀典と役人の政務のエリア)の、大広間(約500畳)、白書院黒書院の場所だとか、用途だとか、大広間から白書院に行く中庭に沿って、約50メートルの〈松の廊下〉と、徳川御三家の控えの間があるとか、
 勿論、本丸御殿中奥(将軍の政務と生活エリア)や大奥(御殿向、長局向、広敷向のエリアがあり、奥女中は、約1,000人)の詳細もあります。
 因みに、御側衆への権力集中は、図面からも伺えます。

 下級武士である御家人(御家人は、将軍への御目見得の資格がありません。)衆の屋敷は、まとめて与えられ、例えば、将軍警護の御徒が集まっていたのが、今のアメ横通りを抜けたところの〈御徒町(おかちまち)〉であるとか、
 御家人は、拝領地を又貸しして生活の糧にしていて、例えば、借地人に青木昆陽がいたとか、サイドビジネスに、朝顔市に発展した朝顔の内職の話もあります。

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伊東眞夏 『深読み百人一首』 ~面白い ! 日本中世の政争史や世界との係わりを総復習できます。ついには、天武天皇、百済の余豊璋王子説まで開帳されます。

 まずは、余談。世上、マスクが不足していると、妻も焦っていました。2,000何年だったか、同じことがあって、当時、私が、定年後、芸術財団の事務局長と文学館長の代理を勤めていたおり、昼休み、街中でマスクを見かけた折々に買ってあったものがたくさん残してあり、約1か月分もあったのを出したら随分喜ばれました。
 あっ、もう一つ。前回、「運動嫌い」、とは言いましたが、美術館の年間会員になっていて、行き帰りも8千歩ほど、足繁く歩いていることを言い忘れました。

 さて、本題です。実に、面白く、有益です。きょうの本は、

伊東眞夏 『深読み百人一首』(栄光出版社)

です(2019年12月第1刷刊行)。

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 一昨年夏だったか、私は、突然、「百人一首」に興味をもって、集中して本を読み、和歌を暗記しようとしたことがあります。
 暗記は、歳のせいにして、ついに適いませんでしたが、それでも、だいたい頭に入っていますから、この本を読んでいても、和歌の「裏」解釈を面白く読んでいけました。
 それに、思ったのですが、ここにある和歌も、声に出して読むと、さらに意味が分かってきます。

 まずは、著者が、異色の経歴。昔、日活ロマンポルノの脚本(「妹相姦」、「発情妻の肉宴」!・・)を書いておられたとか。
 しかし、さすが、「百人一首」と歴史、歴史雑学の蘊蓄は、大したものです。しかも、文章にリズムがあって読みやすい。

 和歌の、「普通の」解釈だけでは無くて、当時の歴史背景や詠み人の立場から、歌の裏に隠されているであろう解釈(暗号めいている句の「本来の解釈」)を推理していきます。
 同時に、ある和歌が、なぜ「百人一首」に、そして、その位置に、入れられたかも解いていきます。
 また、当時の「歌合わせ」についても、《州浜(すはま)》や《方人(かたうど)》の動きの描写まであって興味が尽きません。

 特に、和歌に係わる時代背景の説明が、こちらが、政変史が本論か、と思うほど要領よくまとめられていて、中世史の主要な出来事の再確認、復習になり、兎も角面白いのです。

 歴史記述は、例えば・・、

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恩田陸 『祝祭と予感』 ~「私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか ? 」という、あの名作『蜜蜂と遠雷』の感動を思い出して、ゆっくりと味わいました。さて、今日は、私の日々の「読書生活」の話もお聞きください。

 今日は、(皆さんのお話を聞いているばかりではなくて)少し趣向を変えて、始めに、私の読書生活のお話をしてみます・・、
(そんなに大したものではありませんが)

 72歳、当たり前ですが今年73歳になりますが、読書が捗ります。
その一日の読書生活は・・、
 あれこれ家事を済ませて、まず、午後2時頃から5時過ぎまで、2階の書斎に籠もります。
 今日、読んだのは、交互に、『西洋美術の歴史』第8巻・・因みに、このシリーズは、全巻読もうと思っています・・と宮部みゆき「黒武御神火御殿」。
 途中、ベランダの洗濯物を取り込んだりアイロンをかけたり、時には、ブログを見たり入力するのに、パソコンやタブレットを使ったりもします。3時前後に1階に降りて、妻とお茶を飲みます。この日は、ココアと花林糖。

 夜は、9時過ぎから、再び書斎に籠もります。
 今読んでいるのは、『江戸の間取り』。11時近くなったらスクワットを30回して、寝室に。妻は、もう寝ています。ベッドに入って、あと30分読書。この時は、軽い読みものにします。今は、『百人一首』の再々読。『深読み百人一首』という、次回にアップする本が面白かったので、和歌を読み直しているのです。
 電気を消すと、数分で寝てしまいます。
 翌朝は、8時近くまで寝ています。
 起きると、熱くて濃い緑茶、朝風呂が習慣です。
雨戸(シャッター)がぴったりしていて、寝室に全く日の気配がしなくて、よく眠れます。最近、夜、トイレに1度行ったり行かなかったり。

 朝食は、10時過ぎで、日に2食です。時には、妻と、近くの「ガスト」や「丸亀製麺」「餃子の王将」に良く行きます。
けっこう、がっちり食べて・・例えば、「ガスト」では、〈蠣フライ・スープ・ライス〉と〈山盛りポテト〉に〈ドリンクバー〉の飲み物4種類と・・しまいます。

 〈現役〉の頃から本を読むのが好きでしたが、やはり、当時、8割方は、仕事の本になりました。2割は、いわゆる教養モノで、良い内容はメモして挨拶などに使いました。
 現役を退いて、好きな読書を存分に出来るようになり、それも、もう約10年になりますから、今までの分を取り戻してしまういきよいです。
 その読書も、ブログに感想をアップしますから、いい加減な読み方が出来ず、克明にメモをとりますから、その身に付きようは、昔の比ではありません。
 ブログは、読書にとって本当に有益です。それに、どうしても、感動は、人に話したくなりますが、それにはブログがちょうど良いのです。

 運動は嫌いですが、不思議と病気をしたことがありません。
 3年前に、血糖値が高めと言われて、2か月に一度通院していますが、そこで処方される血糖値の薬を飲んいるのを良いことに、最近、大食いになっています。ただ、アルコールは、もともとそんなに好きでは無かったので、ピタリと止めました。

 2年ほど前に民生委員を辞めてからは、人付き合いも煩わしいし、時間が惜しいので、つきあいの類は止め。昔、特別養護老人ホームの施設長もしていましたが、「歳とったら、積極的に運動と交友」なんて、嫌いな人もいる、とその時から思っていました。好きにしたい。
 ・・と、言うことで本日の読書の話です。

 さて、本論です。
 改めて、当時の感動を思い出しました。読んだのは、

恩田陸 『祝祭と予感』(幻冬舎)

です。

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 2009年から連載(「星星狭」から「ポンツーン」)され、2016年に刊行された、そして、2017年の直木賞と本屋大賞を受賞して、映画化もされた、『蜜蜂と遠雷』の「スピンオフ(派生的)作品」という触れ込みの作品です。
 短い、文字通り『蜜蜂と遠雷』の発想の原点を明かしたような小品6点です。
 作者は、心中でこのように造形していたのか、と思って感動します。

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海野弘 『二十世紀美術 1900-2010』 ~ この本で、ようやく、モダン・アートの霧が晴れて、観賞が面白くなって来ました。大いにお薦めの一冊です。引き続いて、『西洋美術の歴史 8(20世紀)』も読んでいます。

 まずは、日曜日、「銀座松屋」で、開催されていた「私立小学校児童作品展」に行き、孫達(学習院初等科5,3年生)の作品を見て、その後、食事をして来ました。
 写真は、3年生の《魔除け》。5年生は、《七福神》でした。

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 帰りの地下鉄銀座線は、超の付くガラガラ。コロナ・ウイルスの影響で、外国人旅行者も少なく、また、外出を控えている人が多いからなのでしょうか。

 さて、遅くなりましたが、前々回、少し触れた本のご紹介です。
 昨年秋から。集中してモダン・アートに関する展覧会を観たり、書物を読んでいて、ようやく、全体像が見えて来た気がします。
 今回の本は、

海野弘 『二十世紀美術 1900-2010』(新曜社)

です。

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 実に読みやすく(理解しやすく)、今まで溜めていた疑問も大半、氷解しました。
 その前に、ちょっと先に進みますが、この本を読んだ後、今、読んでいるのが、

『西洋美術の歴史 8(20世紀)』(中央公論新社)

です。

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 海野著で、まだ、あやふやなところは、この本(以下、「歴史版」と要約します)で分かりました。
2冊の本を読んだおかげで、モダン・アートについて、ほぼスイスイと理解でき、画家の話が出て来ても、絵が頭に浮かぶようになって来ました。

 まずは、(海野さんの本ですが)、20世紀以前の、後期印象派象徴主義、曲線に特長あるアール・ヌーボーのデザインの話からはじまります。

 その後、20世紀を10年ごとに区切って、その間のアートの流れを、まずは「展望」で総括し、次に、各論的に説明しています。文章も分かりやすい。
(因みに、「歴史版」の方は、論点整理的な記述で、こちらでは、《イズム》、《フォーマリズム》等もよく理解出来、また、こちらだけに記述がある《ディアスポラ》という用語等、良く頭に入って行きます。)

 海野書は、「失われた世代」とか、その時代の関連用語が、幅広く、分かりやすく説明されていきます。
 特長が、巻頭の図表(「二十世紀美術の流れ」)です。

 私は、まずこの図をコピーしてから、本文を読みながらメモして行きました(文字通り、びっしりと埋まってしまいました。なお、「歴史版」を読むときにも、記入用に使っています。)。
 今までの疑問やモヤモヤが氷解しました。
 この本も、今年印象に残った一冊になります。

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原田マハ 『美しき愚かものたちのタブロー』 ~緻密な構成で、主に1910年代から1953年までの、「松方コレクション」に情熱をかけた人々の迫力満点の物語。一気に読ませます。これを読むと、「国立西洋美術館」を訪ねる態度が変わります。

 はじめに余談から。「二期会」オペラの、次年度(2020年9月から2021年7月)のS席シーズン券を一括前売りで買いました。
 出し物は、「フェデリオ」、「メリー・ウィドー」、「タンホイザー」、「セルセ」、「ファルスタッフ」と良く、全回初日(プレミエ)で、最前列です(5万円。通常7万円)。
 ま、それくらいは、生きながらえているでしょう。
 なお、今シーズンは、あと、「椿姫」と「サムソンとデリラ」を買ってあります。

 さて、本題です。
 今日の本は、面白くて、2日で読了しました。

原田マハ 『美しき愚かものたちのタブロー』(文芸春秋)

です。

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 《タブロー》とは、キャンバス画をさすフランス語ですが、本書では、《絵画》と訳されています。
 松方コレクションをめぐる、絵画に情熱をかけた人々の物語です。
 つまり・・、
 絵画約1万点をヨーロッパで蒐集した、松方幸次郎(1866-1950)と、その絵を、第2次世界大戦中にフランスにいて守った日置釭(こう)三郎、さらに、戦後、フランスに摂取されたそれらの絵画の「返還」に力を尽した田代雄一とその周辺の人々を描いています。
 とても、「愚かもの」などとは、思えませんが、タブローを想い、絵のために人生を捧げた人々の物語です。

 ところで、昨年、6-9月、「国立西洋美術館」で、「松方コレクション展」が開かれました。(クリックして、「2019/9/4」の記事を、ぜひ、ご参照ください。)。
 本書は、タイミング良く、あるいは意図してか、その直前の5月に刊行された本です。
その時に、読んでおけばよかったのですが・・。
 同展覧会には、本書に出てくる、フランスが返還を拒んだ、ゴッホのアルルの寝室」(1889)なども展示されていました。

 私は、著者のファンで、ほとんどの作品を読んでいるのですが、先日の『風神雷神』上・下が、天正遣欧少年使節メンバーに俵屋宗達が参加したという、やや〈過ぎるフィクション〉で、私には、あまり興味なく読み終えた〈後遺症〉がまだあって、今回、著者の作品を読むのはどうしようかな・・と、悩んでいたのですが、読んで、本当に良かった。
 読まなければ、著者から遠ざかってしまっていたかもしれません。

 それにしても、やはり、著者は、キュレーター(美術の学芸員)資格を有していて西洋美術に詳しく、しかも、近時はパリを仕事場としているようなので、それが、今回の作品では、絵画説明は勿論、パリの風景描写に最大限生かされています。

 前にブログにも書きましたが、「国立西洋美術館」設立の経緯は、だいたい知っていました。
 しかし、小説として、たとえフィクションが混ざっているとはしても、細かい歴史的〈行間〉が、このように物語で埋められると、感動的で、同美術館に通う態度が少し変わってしまいます。
 次に行ったときは、まずは、じっくりと、感動的に、建物全景を見ることになるでしょう。
 
 さて、本書は、松方幸次郎(1866-1950)とそのコレクションを元にした「国立西洋美術館」の絵画の物語というので、きっと、日置釭三郎(松方のフランスでの秘書で、元海軍航空隊技術士兼飛行士。1883年島根県生まれ)などの活躍が描かれるのかな、と思っていました。
 しかし、日置は、最初、146頁で少し頭出しする程度で、次には、159、248にも少し出る程度。しかし、終盤、327頁から、圧倒的存在感で登場しました。

 妻のジェルメンヌと、パリの戦時下にコレクションを守って、悲劇的だが、感動深く描かれるのです。まさに、スリルに満ちていて、頁を置くことが出来ませんでした。
 2日で読了したのは、後半のこの感動にあったと言えるでしょう。

 余談ですが、このところ、面白い本ばかりで、次々に、あまり早く読了するので、中3日あけて・・ゆっくり読んでいただけるように・・記事をアップしているこのブログで、ご紹介する本が詰まってしまいやや困っています。

 閑話休題。本書の大半は・・、
 オーソドックスに、戦前、松方幸次郎が、画学生・田代雄一の助言を得て、絵を収集するエピソードと、
 戦後、フランスに接収された《松方コレクション》を、吉田茂の命で、先ほどの田代雄一が、フランスから《返還》交渉にあたり、ついには、数枚の絵を除いて日本に帰り、上野の国立西洋美術館を建設して収めるまで・・、
が描かれます。

 本書の、良く出来た構造を、少し俯瞰してみますと・・、

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柏耕一『交通誘導員ヨレヨレ日記』 ~街中で誘導員を見かけると、この本の内容が頭に浮かんで来ます。法制度の内容が初耳で面白い。

 今日は、東京地方は雪との予報でしたが、雪は降らず冷たい雨です。

 余談ですが、前回書いた、千葉の美術館に行くのに、その朝、久しぶりでラッシュアワーの電車に乗りました。
 勤めの方は、大半、駅構内を、小走りなのに、たじろいでしまいました。駅まで来る道では、保育園に子ども連れて行くお母さんの大半が、今は、電動自転車でスピードを出して、私の脇をS字にスイスイと走り抜けます。
 私も、昔、子ども二人(男の子)を自転車の前後に乗せて、毎日、保育園に行っていましたっけ。それを想うと懐かしさと大変さ、を思い出し、兎も角、邪魔な爺さんと思われないように、精一杯、早歩きしました。

 さて、本題です。
 今日、ご紹介する本の第一版発行が、2019年7月26日で、買ったこの本は、9月20日刊行の第三刷となっています。随分売れているんですねえ。何となく、興味が湧きますものねえ。また、書名と表紙のイラストが面白そうです。
 その本は、

柏耕一 『交通誘導員ヨレヨレ日記』(株式会社三五館シンシャ)

です。
 この寒い日も、働いておられるんでしょうね。

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 以前、似たように興味をひいた、
吉玉サキ 『山小屋ガールの癒やされない日々』(平凡社)
の感想をアップしたことがありますが、同じような傾向の本です。しかし、今回の著者は、出版の編集業務経験もあるので、細かい注釈を付けたり、図解があったりと、やはり、それなりの出来です。

 しかし、そのような業務経験もある人が、なぜ、よりによって交通誘導員の仕事 ? と思ってしまいます。読んでいると、どうも、仕事で借金を作って、おまけに、ギャンブルでも・・、と推測出来るんですが。
 こういう経緯があるからなのか、どうも文章に、鬱積(うっせき)したプライドのようなものが感じられます。
特に、自分が一番物わかりが良い人間で、常に、我慢している、というところが多くて、その上から目線的な書き方がやや気になります。

 それに、奥さんの記載が「大学出て恥ずかしくないの」とか、「近所にみっともない」とか、「今月はまだ金入れてない」とか、その言いようがきついくて、夫婦、上手く行っているのかしら、と思ってしまいます。

 本の内容は、「この本に人格者はほとんど登場しない」(96頁)と言うとおり、大半の会話は、
相手が、「てめえ・・・」、「てめえら・・」、「あんたよお・・」と言います。たしかに、交通誘導員に関係する世界の人間関係の苦労が伺われます。
 でも、まあ、これほど露骨では無くても、働いていたら、多かれ少なかれ、人間関係の苦労はどこでも多いものですが・・。

 この本で興味を得られたのは・・

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『DIC川村記念美術館』コレクション展 ~素晴らしい絵画、広大な庭園、素敵なレストラン、で充実した一日を過ごしました。なお、現代アートは、言葉と結びついたイズムですから解説を読むことが必要です。

 『DIC川村記念美術館』(千葉県佐倉市坂戸63)のコレクション展に行って来ました。
 「コレクション展」が26日まで、また、台風被害で閉鎖されていた庭園が21日から開園し、しかも、この日(21日)は絶好の快晴。行くならこの日を逃せない、と勇んで出かけました。

 さらに、もう一つ。私自身のモダン・アート〈勉強〉の初期総仕上げ的な、
海野弘『二十世紀美術 1900-2010』(新曜社)
を読み終えたこともあります(この本のご紹介は、次回にでもします。)。この美術館は、二十世紀美術のコレクションが充実しているのです。

 館名にある「DIC」とは、大日本インキの新社名です。2代目社長の川村勝巳氏が、1990年に開設しました。
 3万坪の広大な庭園を抱えていて、池には、白鳥が泳いでいます。

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 東京駅八重洲口前から、9時55分発の直通バス(千葉グリーンバス・1,360円)で、約1時間10分です。この日、乗客は、私を含めて2名。

 美術館に到着してバスを降りると、女性係員が、来て、親切にチケット購入案内をしてくれます。
 料金は、俗に言うシルバー割引に加えてセゾンカード提示割引の両方で300円引きの700円。

 さて、この日の総括から言いますと・・、
11時過ぎに入館して1時まで作品を観て、別棟レストランで食事し、ついでに、庭園を駆け足で見て、2時からの「ガイドツアー」に参加(10名ほど参加しました。)して、帰りは、3時29分発(14時42分東京駅着)のバスに乗りました(乗車したのは3人)。

 結論は、正直、時間が足りませんでした。
 すごく美味しく、景色と日当たりの良い、レストラン「ベルベデーレ」で食べた、ステーキのコース(3,300円)は急ぎましたし、広い庭園は入り口から少し歩き、ヘンリームーア【写真】のブロンズ像まで行っただけ、それに、とうとうお茶室には入りませんでした。
 ま、絵はじっくり観ましたが、音声アプリは使いませんでしたし、欲を言えば、もっと、後2時間は観たかった。

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 各論に入ります・・、
 入口までの屋外に、早速、フランク・ステラ(1936-)の彫刻(「リュネヴィル」1994)が設置してあります。写真です。
 遠目に知らない方が写真を見ると、正面入り口脇に廃棄物が積んであるように見える【写真右端】ので、ご注意ください。

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 建物に入ると、ステンドグラスが美しい、高い天井のエントランスには、マイヨールの「ヴィーナス」のブロンズ像があります。

 順路ですが・・、
 私は、モダン・アートのほうに興味があったので、ます、2階に行きました。

 2階に上がって、最初に対面したのが、2階エントランスにあった、横に長い、イタリア画家のエンツォ・クッキ(1949-)の「無題(黄色い壁)」1987)。
 行ったり来たり何度も観ました。

 続く、201展示室は「抽象表現主義からミニマリズムへ」で、私が力を入れて〈勉強〉しているアート分野です。
 ここには、フランク・ステラの作品がたくさんありましたが、「アカハラシキチョウ」(1979)は、初見で、面白い。
 アクション・ペインティングのジャクソン・ポロック(1912-1956)の「緑・黒・黄褐色のコンポジション」1951)や、ロバート・ライマン(「アシスタント」1990)の白シリーズの作品「正方形賛歌」があり、まるで、漆喰壁のよう。

 明るく外光の入る200展示室は、ロマンティックな象徴主義者「サイ・トゥオンブリー(1928-2011)」の部屋で、例の《目の専制を逃れて》、暗闇で描いたグレイ・ペインティング作品とブロンズ彫刻の2作品があります。
(室内写真は、撮影禁止なので、同館のホームページから掲載させていただきました。)

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 さっき、モダン・アートに興味があるので先に2階に行った、と言いましたが、展示の大半がモダンアートなので、実は、1階に目玉がありました。

 106展示室は、抽象表現主義の「ロスコ・ルーム」です。
 マーク・ロスコ(1903-1970)の、7点の《シーグラム絵画》、つまり、マンハッタンのシーグラムビルに出店したレストラン《フォーシズンズ》から委託され、ロスコが、店のイメージが違うと引き渡しを断った作品です。他の9点は、ロンドンのテイト・ギャラリー(現テイト・モダン)にあります。
 薄暗い部屋で、ソファに座って、石庭を味わうように、しばし、ロスコの世界に浸りました。

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 110展示室の、主観を退けた(余分な要素を削ぎ落とした)、かつ、《ハード・エッジ》(色面の輪郭が目立つ作風)の「エルズワース・ケリ-(1923-2015)」の部屋。
 105展示室の、キネティック・アートつまり、モービル作品(動くアート)の「アレクサンダー・カルダー(1898-1976)」の部屋。

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大岡敏昭 『新訂 幕末下級武士の絵日記 その暮らしの風景を読む』 ~江戸末期の下級武士の、今とは異なる、暮らしぶりもよく分かる、読んでいてタメになる面白い本です。

 昨日は、自治会の「新年会」がありました。ホテル12階の宴会場で、食事とビンゴを楽しみました。私の前の席には、赤ちゃんを連れた若い夫婦。戸建てに住む高齢者が多い中、マンションに住む若い人も出席するようになってきたようです。

 さて、本題です。
 江戸も末期になると、かなり〈煮詰まった〉時代と思われますが、そんな時代であっても下級武士は、勤勉に学問に励んでいたことにまず、感じ入りました。
 それに、今とは異なる習慣・・
 例えば、ソバは、年越しではなくて元旦の祝いに食べたとか、歳暮はお金だったとか、素人歌舞伎で演じるのは皆、女だったとか、等々たくさん知ることができる歴史書です。
 今日の書物は、

大岡敏昭 『新訂 幕末下級武士の絵日記 その暮らしの風景を読む』(水曜社)

です(2019年4月刊、2,500円)。

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 武蔵野の松平氏所領、忍(おし)藩(現在の埼玉県行田市)10万石の城下町(約1万5千の人口)の下級武士、尾崎石城(せきじょう。1829年・文政12年生まれ)が書き残した「石城日記 7巻」という絵日記をまとめたものです。
 忍城は、「のぼうの城」や「陵王」で有名で、私も、訪ねたことがあります。

 その石城一家・・石城と妹邦子、その夫進(石城は、養祖父にあたります。)、赤子きぬや母、兄、兄の妻・・と、下級・中級武士たちとの交友、当時の、貧しい子どもたち、料亭の女将たち、寺の和尚(武士のしがらみを捨てて僧になった者が多くいました。)たちの姿が、細かい説明とイラスト風日記に描かれています。

 日記の作者石城(本名は、隼之助。石城は号)は、安政4年(1857年)に、《上書》(藩に意見を言う)したことから、知行取り上げ、逼塞(昼間は、家の戸を閉じて謹慎する。夜は、潜り戸からの目立たぬ外出は可。)となり、やがて養子をとって29歳で強制隠居となりました。
 これ以前にも、23歳(1851年・嘉永4年)に江戸詰めから在所詰めとなったことがあり、尊皇攘夷の心情があったためではないか、と解釈されています。

 因みに、妹の夫進も、文久元年12月に、《過酒》(実際は、藩政批判が耳にはいったようです)で、180名の一人として、逼塞となったりしています。
 この時、石城は、上役を「呉れ竹の横にのみ根を張るように群れてばかりいて、一人では何も出来ない」、と忌々しげに書いています。
 何れも、逼塞になっても、大勢の友人が《見舞い》と励ましに押しかけたりしています。

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ローレンス・ブロック『短編絵画』 ~エドワード・ホッパーの絵画から着想した、贅沢な作家17人の作品を集めたアンソロジー。何という余韻。早いですが、「今年、最も気に入った」と言うであろう書物、が早速出ました。

 エドワード・ホッパー (1882-1967) の絵にも邂逅して、早いですが、「今年、最も好きな書物」と言うであろう作品が、早速出ました。
 その書物は、

ローレンス・ブロック『短編絵画』(ハーパーコリンズ・ジャパン)

です。

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 エドワード・ホッパーの絵画から着想した、17の《テーマ型アンソロジー》です。
 作者が、一流の作家ばかりで、中には、ライティングの教授も数名いて、短編の凝ったお手本のような上出来の作品ばかりです。
「子どもがドラクロワのパレットを使って描いたような顔をしている」とか、
「黄昏どきが、午後のセルリアンブルーを夜のプルシャンブルーへと変えはじめている」、
といった洒落た表現も満載です。
 歳をとっての癌は、「治療を受けても必然への道を悪化させるだけだ」という会話にも感じ入ります。

 因みに、パリのドラクロワ美術館にある「ドラクロワのパレット」は、色見本のように理路整然と様々な色が置かれています。

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 本書、口絵の絵「Cape cod morning」(1950)だけは、読者に創作を委ねています。
 あなたなら、この絵画からどのような物語を作るでしょうか。

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 まず、始めに、「City roofs」(1932 街の屋根)の絵から着想した、
ゲイル・レヴィンの「牧師のコレクション」から読みました。
 作者は、ニューヨーク市立大学教授で、ホッパーの絵画を沢山収蔵しているホイットニー美術館のキュレーターを勤め(1976-1984)、ホッパーの遺品調査をし、目録も完成しています(1995)。
 物語は、ホッパーの死後、屋根裏にあったコレクションを守ろうと(自分の利益も考えて)する牧師アーセイヤ・R・サンボーン(2007死去)の物語です。
 ホッパーの妻ジョー・ホッパー(1968年死去)やホッパーの姉マリオン・ルイーズ・ホッパー(85歳で死去)や弟エドワード・ホッパー(85歳で死去)も登場する虚実入り交じった物語です。

 次に、「Room in NewYork」(1932)の絵から着想した、
大家、スティブン・キングの「音楽室」

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 モダン・ホラーの大家らしい物語で、奥のクローゼットには、街で会って連れてきた男を閉じ込めて、死ぬのを待っています。こうして、夫婦は金を〈稼いで〉生活しているのです。

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原田マハ『風神雷神』上・下巻 ~天正遣欧少年使節メンバーに宗達が参加したという、壮大な《ファンタジー》《少年冒険小説》的作品。しかし、ここまで「何でもあり」の歴史小説、フィクション作法には疑問を感じます。

 今日、読み終えたのは、私の好きな作家の一人である作品、

原田マハ『風神雷神』(PHP)上・下巻

です。

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 余談ですが、以前(2018年1月29日)、本ブログで紹介しましたが、
柳広司「風神雷神」(講談社・2017・8刊)
という同名の小説を読んだことがあります。
 同書も上・下2巻の大部でしたが、《風神雷神》は、たしか、最後の10頁しか出てこなかったように記憶しています。
 今日の本書には、宗達の《風神雷神》は、出て来ません。父やカラヴァッジョのそれらしい作品が出て来ますので、《風神雷神》は、一種の象徴でしょう。
 で、誤解して、俵屋宗達の物語に期待する読者も出てくるかもしれないので、この書名は如何でしょうか、疑問です。

 と言うことで、まずは、本書から外れて、俵屋宗達と、作品《風神雷神》について・・、 
《風神雷神》の作者・宗達は、生没年も不明で謎の画家です。
ただ、《風神雷神》だけは、当時、宗達にしか描けない作風の絵だと言われています。

 いつ頃に描かれたかについては、学者の、山根有三説、山川武説、水尾比呂志説、源豊宗・橋本綾子説(私の持っている、集英社「日本美術絵画全集」の説です。)などがあります。
 何れも、宗達が、〈法橋〉になった前か後か、晩年か、が主眼となっています。勿論、法橋叙位年についても争いがありますが。

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ナカムラクニオ 『世界の本屋さんめぐり』 ~想像以上に各国の実情を知ることが、また、将来の書店を予測することが出来て面白い書物でした。

 年末年始に旅行で食べた青森りんごの美味しかったことを思い出しています。

 まず、年末に、映画「スターウォーズ / スカイウォーカーの夜明け」を観ました。
 映画館で、上映約3時間前にチケットを買ってから、パンフレットを買い、それを喫茶店で熟読した後観ましたので、登場人物も骨格もすこぶる理解できました。
 少々、好戦的で、オカルト的な、スカイウォーカー家の物語でしたが、さすが、最後の台詞、「レイ・スカーウォーカー」には感動しました。
 カイロ・レン役のアダム・ドライバーは、個性があって印象的です。しかし、レイ役のテイリー・リドリーは、白い薄物で良く動き回りました。失礼ながら、胸もほどほどで目立たないのもいいのかもしれません。
 ジョン・ウイリアムズの音楽は、ヴァグナー的なライト・モチーフも遣っているんですね。いずれにしても、40数年、一つの時代が終わりました。ただ、それほど大騒ぎする映画かな・・とも思いました。

 本題です。
 年末・年始に読んだ、

ナカムラクニオ 『世界の本屋さんめぐり』(産業編集センター)

です。薄く、著者のイラストが満載の取っ付きやすい書物です。

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 イラストにしたのは、印象が古くならない為だとか。
 スイスでは、教養の無いのは病気、だそうで、それを癒やすのは図書館、だそうです。(スイスの「ザンクト・ガレン修道院付属図書館には、「魂の病院」という看板が掲げられています。)

 世界の本屋さんを巡っての感想的な結論は・・
 今後、大きなチェーン店的な書店の経営は厳しく、書店×カフェ・レストラン的な書店が増えるかもしれない。また、無人書店や電子書籍も増えていくかもしれない。
 しかし、一方、世界にはまだ沢山の特色ある書店、図書館があり、また、書物の自動販売機のようなものも広まるかも知れない。
 ・・ということですが、具体的に各国の書店事情を読んでいくと想像以上に面白い。知らなかった、各国の特色も分かっていきます。

 まずは・・、
 米国第2の大型書店「ボーダーズ」の経営破綻(2011)、「バーンズ・アンド・ノーブル」の1800人解雇(2018)、英国の「ウオーターズスト-ンズ」の経営難、独取次ぎ大手「KNV」の破産(2019)、仏国の「シャピトル」の倒産(2013)、「ブックオフオペラ店」の閉店(2015)、独国の「シュターンベラーグ」や大手取次ぎ「コッホ・ネフ&フォルクマール」の経営破綻(前者2016と後者2019)の一方、
 独立系書店の新しい形の書店の健闘や、仏国での「反アマゾン法」(ネットでの割引、送料無料を禁ずる)が制定されたり(2014)と、世界は動いています。
 フィンランドでは、図書館で貸し出された本1冊について、約15円の印税が著者に入ります。スエーデンの「本読み放題サービス」が話題です。

 アジアの書店事情を見てみますと・・、
《書店バブル》に沸く中国。巨大書店、無人書店24時間営業の、個室利用や宿泊付き書店(広州の「1200bookshop」)、

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ブログ始め。今年も、よろしくお願いします。まずは、大湯温泉で過ごしたことなど。

 ブログ始めとなります。今年もよろしくお願いします。

 年末30日から、新年3日まで、秋田県 鹿角(かずの)市の「大湯温泉」で過ごしました。
 近頃は、手当たり次第、見たものを土産に、と手を出すことは無くなりましたが、それでも、伝統こけしを蒐集している妻が、こけしを見ている脇で、ぼっとしていると、小さくて、ちょっと面白い顔の伝統こけしがあったので、引き寄せられるように買ってしまいました。

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 宿では、一晩目、床と空気感が変わると寝付けないのは相変わらずです。
 常連で、いつも伺っている、4,5のブログをゆっくり拝見していました。
 主に、年配の方のブログですが、皆さん、生活感豊かで読んでいて感じ入るものがあります。中には、「スター・ウォーズ」を、随分、綿密に分析されているご婦人がいて、感心しました。

 さて、宿で寝てばかりではいけないと、2日は、ユネスコ無形文化遺産登録(2009)された、大日霊貴寺院神社(おおひるめむちじんじゃ。718年創建)の、
大日堂舞楽」、
(718年(養老2年)元正天皇の勅命で行基が遣わされて、大日堂が再建された際の落慶の式礼での舞楽が起源で、以後1300年間伝えられて来たとのこと)に行きました。

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 底冷えのする大きなお堂の中で、大里、小豆沢、長嶺、谷内の《能衆》が舞う、伝統的な舞が行われていました。じっと見ていると、さすがに、腰から下が冷えてきます。

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 余談ですが、良いカメラを持っているにもかかわらず、最近は、めったに遣いません。
 スマホのカメラの方が、「ストーリー」(音楽入り)を作りやすく、「ライン」で孫たちにも送り易く、時には、コマの色調を自動修正してくれたり、さらに、どういう仕掛けか、踊りのコマなど、数秒動く写真にしてくれるからです(頼みもしないのに、です)。
 今回も、沢山撮ったのですが、孫達に送ったのは、ドコモが、自動作成してくれた動くコマ一枚。沢山の写真よりも、それ一枚で全て語り尽くせるんです。f2ブログは、試みませんが、容量の点でダメかも。

 その日、午後は、1時間ほど、バスで雪深い発荷峠を越えて、十和田神社に初詣。行列するようなことはありませんでした。

 期間中、日常から離れるように、本は持っていかず、読書はしませんでした。きょうは、これくらいで・・・。★

謹賀新年 本年もよろしくお願い申し上げます。

謹賀新年 本年もよろしくお願い申し上げます。

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 年末年始は、老夫婦で、秋田県の最北東にあり、青森・岩手・秋田三県の真ん中あたりにある、鹿角(かずの)市の『大湯温泉』で、寛いでいます。
 折角ですから、明日は、ユネスコ世界遺産に登録されている、《大日堂舞楽》(大日霊貴神社・おおひるめむちじんじゃ)を観て、十和田神社に初詣でする予定です。

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 今年も、観劇の予習・感想、美術展の感想、読書感想・批評が中心になりますが、お読みいただければ幸いに存じます。★

藤田令伊 『現代アート超入門 ! 』 ~いままでの知識をまとめることが出来ました。あわせて、年末雑感も。

 今年も残りわずかです。
 遣っていたボールペンが、どうもかさついて書けない、と思ったら、インクが無くなっていました。
今までに、一本きれいにインクをつかったことはあまり無く、始めてです。我ながら、歳をとってからの真面目な、メモぷりに驚いています。

 原田マハ『風神雷神』上巻を、3日で読み上げましたが、まだ、「下巻」があるので、ブログでのアップは、お正月が済んでからにします。
 この本は、えらく、壮大なフィクションになっていて、宗達の「風神雷神」が描かれた時期に関する《山根有三説》がどうの、なんて言う知識を知っていてもあまり役に立ちません。しかし、いきなり「白象」が出て来たり、このところ読んでいた、現代アートのジャクソン・ポロックの《ドリッピング技法》のことが出て来たりで、驚きました。

 お正月には、分厚い本を離れて、ナカムラクニオ 『世界の本屋さんめぐり』、でも読むつもりです。載っている本屋さんが、写真では無くて、イラストなのは、少し気に入りませんが。
 今は、パラパラと、佐伯泰英 『惜櫟荘(せきれきそう)だより』(岩波書店)を読んでいます。このようなエッセイは、気にいった頁を、気にいった時に読めるので、何かと慌ただしい時期向きです。

 このところ、リビングに、映画「スターウオーズ」の過去のパンフレットを持ってきて、暇な時に、筋を復習しています。
中から、前に書いたメモが出て来て、重宝しています。毎回、同じことをやっているんですね。映画は、字幕では無くて〈吹き替え〉で観ようか、と考えています。内容に追いついていけますから・・。

 昨夜、寝る前に、シュルレアリズム・超現実主義の画家ダリの本を読んでいたら、夢で抽象画が出て来ました。
 ダリは、フロイトの「夢」を、特に、先入観、深層心理、手を加えないイメージ・偶然、といったものを大切にしていましたが、それにしても、この夢は出来過ぎ、よくこんな夢を見ました。
 余談ですが、私、72歳なのに、睡眠時間は、9時間前後です。調子の良いときは、11時に本を置いて電気を消し、すぐ寝付いて、トイレにも行かず、8時過ぎまで寝ていることがあります。
 妻には、「遅くまで寝ていても、生きているから」と言ってあります。

ここで一句・・
  「まださめぬ この世の夢に 夢を見て  沢庵」。

 やっと本題です。今日、読み終えたのは、やはり、このところ続いている、現代アートの本で、

藤田令伊 『現代アート超入門 ! 』(集英社新書)

です。

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 それから、さっき夢に見た話をしましたが、
《芸術家たちの素顔》シリーズ

第6巻、『僕はマティス』(パイ・インターナショナル)
第2巻、『僕はダリ』(パイ・インターナショナル)

も読み終えました。実に、良いシリーズです。
 著者は、何れも、キャサリン・イングラムです。イラストの美しい本です。

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現代アートを〈身近にする〉チャンスを逃さないように、またも、「ニューヨーク・アートシーン」展に行き、キュレーターの解説を聴きました。読んだ本は、やはり、『僕はウォーホル』。

 原田マハ『風神雷神』を読み始めたのですが、そのお話は後日にして・・、
 この1か月ぐらい、お気づきでしょうが、〈現代アート〉に凝っています。
 むしろ、このチャンスを逃さず、身近にしたい、というところで、少しでも、《現代アート》に近づきたいと思っているのです。(ですから、本当は、現代アートの本を、4冊平行して読んでいるところなのです。結構、もっと時間が欲しい。)

 ところで、すでに、二度行っている、『ニューヨーク・アートシーン』(埼玉県立近代美術館)で、今度は、キュレーター(学芸員)の解説があるというので、また、出かけました。 マメ、というか、もの好きというか・・・。

 ところで、余談ですが、この美術展出口ロビーに、子供用の「ニューヨークのステキな作品ぬり絵」シートと机が置かれています。
 たまたま、一人の小さい女の子が、そのぬり絵をしているのを見て驚きました。
 巧いし、色が正確なのです。

 その子は、会場にあったトム・ウェッセルマンの「シースケープ #8」の足や背景を正確に塗っています。きちんと、覚えて会場を出て来たのですねえ。
 小さい頃から、気軽にこのような展覧会に連れて来るものです。感動しました。

 さて、キュレーターの解説は、現代美術だから参加者が少ないかな、と思っていましたが、約30人以上集まりました。
 会場を35分ほど、解説を聞きながら作品を観賞しましたが、気が付かなかったことが随分あり、有益でした。

 帰宅後読んだ本は、展覧会にも出ていたウォーホルの画集です。

キャサリン・イングラム /絵・アンドリュー・レイ《芸術家たちの素顔》シリーズ 1

『僕はウォーホル』(パイ・インターナショナル)

です。

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 展覧会場の「キャンベルスープ」、「モンロー」の絵を観て、考えると、その時代を的確に掴み、それをポップな作品にしたことが理解できます。
 そして、自らも、破天荒、というよりか、58年の、ポップな人生を駆け抜けた。アンディー・ウォーホル(1928-1087)のイラスト満載の伝記です。

 著者・キャサリン・イングラムは、現代絵画からこのシリーズを進めているのが注目すべきところです。しかも、指摘は、短く、的確で、文章は読みやすい。イラストも、凝っています。

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歌舞伎『近江源氏先陣館(盛綱陣屋)』・『蝙蝠の安さん』 ~近松半二とチャップリンの練り上げられた名作を、芸達者な役者陣で楽しみました。

 春のように暖かい、12月12日(木)、国立劇場で歌舞伎を観賞しました。
 出し物は、「大阪の陣」を当て込んだ趣向の、近松半二の悲劇、

『近江源氏先陣館(全九段)』(1769)の八ッ目(八段目)、
盛綱陣屋」と、

 テャールズ・スペンサー・チャップリン(1889-1977)、42歳の映画
『街の灯(City Lights)』(1931)からの、

蝙蝠の安さん』(1931)

です。

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 まずは・・、
 『近江源氏先陣館(八段目・盛綱陣屋)』。
 この時代、江戸幕府を題材にした芝居は許されませんでしたから、物語を鎌倉時代に設定しています。
 作者・近松半二は、巧い。この日、国立劇場で、休憩無しの2時間弱の芝居の緊張が緩みません。今回は、良かった。
なお、舞台写真は、国立劇場HPから拝借しています。

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 物語の設定は、源頼朝の死後、二代目将軍となった源実朝(徳川秀忠)に対し、兄でありながら側室・宇治の方(淀君の読替え。以下同じ。)の子であったために後を継げなかった源頼家(豊臣秀頼)が謀反を起こします。

 実朝の祖父であり、天下の後見である北条時政(徳川家康)は、近江源氏嫡流の佐々木三郎兵衛盛綱(真田真幸)に江州一国を与えて謀反の押さえ役を命じました。
 盛綱には、四郎左衛門高綱(真田幸村)という弟がいますが音信不通です。
・・という背景を元にしています。

 近江坂本城(大阪城)を本陣に、鎌倉側(徳川側)・盛綱(真田信幸)と、京(大阪側)・高綱(真田幸村)兄弟間の争いが切っておろされました。

 幕開き。捕らえられた高綱(真田幸村)の子・小四郎高重(13歳)を、大胆にも単身引き取りに来た(大阪方の武将)和田秀盛(後藤又兵衛)の《詰め開き》。最初の見所です。
 佐々木三郎兵盛綱・二代目松本白鸚【昭和17-・高麗屋】
 和田兵衛秀盛・板東彌十郎【昭和31-、大和屋、初代】
 北条時政・板東楽善【昭和18年-・音羽屋・初代、市村羽左衛門⑰の長男】

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メイ・サートン『82歳の日記』など、心に染みいる書物のこと、そして、キャサリン・イングラム『僕はポロック』 ~何れも、素晴らしい書物です。ポロックの本では、現代絵画への興味はますます広がって来ました。

 12月7日(土)の「朝日新聞」読書欄の書評に、
メイ・サートン 『74歳の日記』(みすず書房)
が紹介されていました(評者・都甲幸治)。

 心臓病を抱えつつ、自然に囲まれて一人で生活する、不自由でありながら満ち足りた日々を綴った日記です。
 おやっ! と思ったのは、
『82歳の日記』(みすず書房)
を、私が以前書いていたブログで、10年近く前に紹介したことがあるからです。

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 著者は、1995年に亡くなっています。
 素敵な本を紹介するのは、もし、新刊ではなくても、新聞評は好ましいものです。評者は、余程感動して、紹介せずにいられなかったのでしょう。
 皆さんにも、お薦めします。

 ついで、と言っては語弊がありますが、その時に、ブログで同じように紹介した本は・・、

ケニー・ケンプ 『父の道具箱』(角川書店)
ユベール・マンガレリ 『おわりの雪』(白水社)
リディア・フロム 『親の家を片づけながら』(ヴィレッジブックス)
沢木耕太郎 『無名』(幻冬舎)

 ・・いずれも、父と子、季節の移ろい、親と娘・・、心に染みる一冊で、私が、特別養護老人ホームの施設長(120床。別にショートステイ40床)だった頃に、皆に薦めた本です。考えたら、昔のほうが良い本を読んでいたかな・・。
 もっと、あるんですが、本日は、これくらいに・・・。

 さて、本日の本題。
 これも、素晴らしい書物です。
《芸術家たちの素顔》シリーズの3巻目、

キャサリン・イングラム /絵・ピーター・アークル 『僕はポロック』(パイ・インターナショナル)

 80頁の小冊子ですが、イラストと絵が満載で、内容が濃いが、文章は分かりやすい。
聞いたことの無い出版社ですが、良い本を造りました。

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 前回の、埼玉県立近代美術館で、《ニューヨーク・アートシーン》を観た時に、気になった、抽象表現主義で、ドリッピング技法の画家、《オールオーバー(全体に及ぶ)》な作品を描く、
ジャクソン・ポロック(1912-1956)
の資料を探していて見つけた書物です。

 アメリカの現代美術の風土を説明するに、冒頭、広島・長崎の原爆投下で終わった第2次世界大戦終結後の米国人のやや虚無的なムードから入っているのが、類書にありません。
 これって、日本人が書いたのでは無いよなあ・・と思わず確認してしまう、導入部です。
 そうか、アメリカ美術の始まりは、こういうところも大きいんだ、と納得してしまいます。
 本書の著者は、美術史家で、今、上野・東京都美術館で展覧会が開かれている、コートールド美術館の研究所で修士号をとっていて、また、オックスフォード大学で哲学博士もとった英国人です。
 イラストは、スコットランド出身で、ニューヨーク在住のイラストレーター。 
 なお、早速、次は、このシーリーズの『僕はウォーホル』を読むことにしました。

 先日の、菅原教夫『やさしい美術 モダンとポストモダン』で理解できなかった各論箇所が、いくつか理解できました。
 歳をとっても、日々、このような楽しみがあれば、楽しいものです。

 それに、本書にあるように、東洋思想は、《孤独》の人生哲学を勧めるところがありますものね。このあたりとアメリカ現代美術も、少し心得て置くところかもしれません。
 と、わずか80頁から多くのことが類推出来ます。

 写真の作品は、ポロックの方向転換となった作品、「燭光(りんこう)」、ホイットマンの詩、「肌身に感じる健康の感覚、真昼のトレモロ 私がベッドから起き上がり太陽に挨拶する時の歌」を描いたと言われる作品ですが、後述します。

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 因みに、この日は、現代美術の書籍を探して、図書館・・我が家から、歩いて10分のところに中核図書館があります・・に行って、新書中心に6冊ほど借りました。

千住博・野地秩嘉 『ニューヨーク美術案内』(光文社新書)
小山登美夫 『現代アートビジネス』(アスキー出版)
宮津大輔 『現代アートを買おう!』(集英社新書)
『現代美術の教科書』(美術出版社)

が面白かった。
 しかし、美術出版社は、もう少し、平易に分かりやすく書けないものでしょうか。
それとも、現代美術は、やはり理解が難しいから、書いているうちにこうなってしまうのかしら。
 余談ですが、同時に、
古田亮 『俵屋宗達 琳派の祖の真実』(平凡社新書)
も借りました。この本については、本文末で触れます。

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プロフィール

感動人

Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

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