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原作の世界観を弾く圧巻のカデンツァ、終幕のプロコフィエフ ピアノ協奏曲の大熱演に感動しました ~映画「蜜蜂と遠雷」(恩田陸・原作)は、近頃稀な良い映画でした。

 映画を見終わって・・、直接関係ありませんが、少年時代に読んだロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」の言葉、たしか・・〈誰であろう戦っている、やがて勝つであろう、自由な魂に捧げる〉を思い出しました。

 今日は、映画

『蜜蜂と遠雷』

を観ました。感動しました。本当に、良い映画だった。
監督・脚本・編集:石川慶(1977-)。

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 この夜、たまたまNHKーTV『らららクラシック 蜜蜂と遠雷』(Eテレ・9:00~9:30)で、主演の松岡茉優さんと、ピアノ〈吹き替え〉の河村尚子さんが出ていました。
 松岡茉優さんは、祖父が買ってくれたアップライトピアノで、消音して、指先の動きを練習したとか。

 河村尚子さんは、劇中の課題曲「春と修羅」を弾きました。
 その「春と修羅」、宮沢賢治の詩から作曲したものですが、その作曲者・藤倉大(1977-)さんも滞在先のポーランドから国際電話で登場しました。
 原作の該当頁を写真に撮って、壁一面に貼ってイメージを膨らませて作曲したそうです。映画を観た後、有益な番組でした。

 原作は、直木賞と本屋大賞をW受賞した長編小説、恩田陸(1964ー)の「蜜蜂と遠雷」です。
10年以上にわたって書かれました。
 私は、幻冬舎のPR誌「星星狭」、その廃刊後「ポンツーン」で連載時に、本当に長い期間にわたって読んでいましたが、あまりに長すぎて散漫な理解になってしまいました。それどころか、ずっと、「ミツバチと遠雷」と頭に入っていたんです。
 でも、それが、変に原作と比較したりせず、映画に集中出来てかえって良かったかもしれません。

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 物語は、4人の若者がピアノ・コンクールで、自分を見つけ、成長していく物語といえましょうか。
 誰が一位になったかなどは、蛇足です。映画も、最後、字幕でさらりと写しています。

 そう言えば、先のNHK番組の30分後に、
NHKドキュメント選『密着・カリスマ指揮者への道 国際コンペの舞台裏』(Eテレ・10:00~10:50)という、
フランクフルトでのゲオルグショルティ指揮者コンクール本選のドキュメントが放送されていました。
 誰かが言っていました、「これは、自分自身との戦いだ」、「作曲家という神が伝えた音楽を伝える役目が指揮者にある」、さらには、「これはコンクールだ、だから運が必要」とも。
 審査員カール・ラヒリスらの審査の模様も、今日の映画を観て、同じ雰囲気を感じました。

 で、「神」という言葉が出て来て思ったのは、『蜜蜂と遠雷』の題名の意味です。巷間様々に解釈されていますが・・、

・人間と神
という有力説が一つあります。他に、
・音符としての蜜蜂と胸の奥で鳴っているような遠雷
・登場人物の一人養蜂家の息子・風間塵とその師ユウジ・フォン=ホフマン
・世界に満ちている、命の躍動としての音楽
・外、喜ばしき世界を象徴する記号
などです。
 10年以上かかった小説に最初につけた題ですから、抽象的な中にも、全体に通じるものがあるのでしょう。

 さて、物語の4人とは・・、

(以下、下記の「続きを読む」をワン・クリックしてお読みください。)

 まずは、神童と言われながら、母親の死で演奏会をドタキャンして以来音楽の世界に遠ざかっていたが、未だトラウマを抱えつつ再起を期す、〈復活の神童〉、感性の演奏家といえましょうか、
栄伝亜夜:演ずるは、松岡茉優(1995-)、
そして、吹き替え?ピアノ役は、
河村尚子【ショパン国際コンクール二位など】
です。

 2人目は、楽器店に勤め、家庭を持ちつつ、年齢制限の最後に懸ける、
〈不屈の努力家〉、生活者の音楽を目指しています。
高島明石松坂桃李(1988-)
(ピアノ・福岡光太朗【クリーブランド国際コンクール優勝など】)

 3人目は、超エリート。ジュリアード音楽院出身で、現代での作曲家兼演奏家が理想の、
〈信念の貴公子〉
マサル・カルロス・レヴィ・アナトール森崎ウィン(1990-)
(ピアノ・金子三勇士【バルトーク国際ピアノコンクール優勝など】)

 4人目は、世界的ピアニストに見いだされ、推薦された、しかし、ピアノも持たず、無音ピアノで練習している、〈祝福の異端児〉
風間塵鈴木央士(2000-)
(ピアノ・藤田真央【チャイコフスキー国際コンクール二位など】)

 ・・と言った面々です。
 亜夜とマサルは、幼なじみです。

 映画で、凄いのは、この4人の弾く、課題曲「春と修羅」の後半、カデンツァです。
カデンツァとは、即興演奏ですが、それぞれの個性が出た圧巻の演奏です。

 途中、亜夜と塵とのドビッシーの「月の光」~ジャズ「It´s only a papper moon」~ベートーベンピアノソナタ第14番「月光」の連弾の美しいシーンがあり、

クライマックスのオーケストラとの協奏曲です

 マサルのプロコフィエフのピアノ協奏曲第2番第4楽章
 塵のバルトークピアノ協奏曲第3番

そして、

 まだ残るトラウマで、リハーサルに失敗した、亜夜の、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番、第1,3楽章の、会心の熱演に、身を乗り出して画面に引き込まれてしまいます。
 弾き終えた亜夜の笑みで映画は終わります。

 因みに、1位は、マサル、2位亜夜、3位塵。最終選考前に落ちた明石は、特別賞でした。

他に、出演は・・、

ステージマネージャー・田久保寛:平田満(1953-)
審査委員長・嵯峨三枝子:斉藤由貴(1966-)
世界的指揮者・小野寺昌幸:鹿賀丈史((1950-)
「春と修羅」作曲者・菱沼忠明:光石研(1961-)
・・それぞれの台詞で、巧みに物語を〈説明〉しています。クラシックに詳しくない人には親切です。

明石の妻・高島満智子:臼田あさ子(1984-)
明石のドキュメンタリー番組製作者・仁科雅美:ブルゾンちえみ(1990-)
ジュリアード音楽院在籍の超絶技巧ピアニスト・ジェニファ・チャン:福島リラ(1980-)
ピアノ修理師:眞島秀和(1976-)
クローク係:片桐はいり(1963-) 〜一見無駄な登場人物のようですが、うまく、〈のりしろ〉になっています。

・・などです。
 久しぶりに、興奮して映画を観ました。ホントに良い映画でした。

 さて、最後ですが、今日、国立劇場・11月歌舞伎のチケット発売日(会員先行日)ですが、いつもの同じ席を、買えました。ずっと、同じ席をとるというのも、結構、毎月のプレッシャーではあります。★ 
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Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

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