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国立劇場「大人のための声明入門」・「大人のための雅楽入門」  ~奈良・長谷寺の声明を《役者節》と言うのを知りました。雅楽の儀式音楽も、楽しく《勉強》しました。

 先週は、前回ご紹介した、マイケル・バードの美術書にマネが載っていないことに気づき、それから絵画史に没頭して、このブログのアウト・プットを、少しご無沙汰してしまいました。
 調べる中で、「マネの《酒場》に関する12の意見」(邦訳不明)という、9月から、「コートールド美術館展」で観られるマネの絵画《フォリー=ベルジェールの酒場》に関する書物などを知り、知らなかったマネの位置づけに気がつきました。

 さて、今日は、久しぶりの国立劇場、おまけに、昼食には、隣の「ホテル・グランドアーク半蔵門」のレストラン(ホテル・オークラ経営)「パティオ」の松花堂弁当まで予約したので、張り切って出かけました。
 7月20日、午前中と午後、国立劇場で、

午前11時から12時半、「大人のための声明入門」、
午後14時半から16時、「大人のための雅楽入門}、


を観賞しました。
 席は、中央、3列目と6列目です。

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 午前中は、10時から、ロビーと舞台で行われた、10種類の法音具(鳴らし物)に触れられる《体験コース》の、
ロビーのAコース(磬(けい)、錫杖(しゃくじょう)、柝(たく)、鈴(れい)など)、

20190720133722106.jpg 

舞台上のBコース(木魚、鉦鼓(しょうこ)鈸(はち)、磬子(きんす)など)、

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にも参加しました。木魚以外は、鳴らし方は勿論、持ち方も覚束きませんでした。
(因みに、午後の体験コースは、パスしました。既に、本を数冊読み込んで研究していることもありますが、昼食をゆっくり味わいたいという本音もありました。)

 ところで、奈良県桜井市の長谷寺(真言宗豊山派総本山)の声明は、《役者節》などと、高野山金剛峯寺などから言われていることなどを、始めて知りました。

 それだけでは無くて、《しょうみょう》という呼び方も、国立劇場が名付け親とか(それまでは《せいめい》だったとか)、国立劇場で声明、つまり「お経」を詠むのは、「憲法違反では無いか」と言われたとか、客席を向いて声明を唱えるのは、「仏に背を向けてけしからん」とか、今日に至るまで随分と苦労があったようです。

 その意味で、日本文化の承継を経営の重点に置いた国立劇場の功績は素晴らしいものがあります。(余談ながら、国立劇場でお経が憲法違反なら、国立博物館に仏像を展示するのもダメ、という議論になります。)

(以下、下記の「続きを読む」をワン・クリックしてお読みください。)

 まずは、声明(しょうみょう)公演。
 簡素ですが、魅力的な舞台と照明です。
 茂手木潔子(聖徳大学教授)氏の解説・司会で、3種の声明・・、
サンスクリット語の旋律的な「四智梵語(しちぼんご)」、
漢語の旋律的な「対揚(たいよう)、
日本語の「涅槃講式(ねはんこうしき)」、
を聴きました。

 「講式」は、平家の平曲、謡曲、浄瑠璃に発展したものです。
 この日の、真言宗豊山派の講式は、高野山などと違って、《役者節》と言われる、ある種派手さ、というか芸術性的なものがあります。

 後半は、「新作声明」で、詞・草野心平、作曲・石井眞木の、
蛙(かえる)の声明」(全6章)
で、今回は、昭和61年にベルリン公演されたときの版によるものです。

 「しりりん げむだあ げぶりろろ うん らんぶりあ けすてんびる すらっく・・・」と、まさに、お経のように続く中に、現代的な詩が入ります。
 伴奏は、現代音楽のような、ただし、何れも珍しい何種類もの、世界の金属打楽器です。
出演は、迦陵頻伽声明研究会(真言宗豊山派)、山口恭範・吉原すみれ(打楽器)。

 午後の部は、雅楽
 まずは、楽器紹介、拍子解説、平調「越天楽」の《唱歌》(この日は、稀な、龍笛の唱歌です。)体験、そして・・、
 平調「越天楽」の演奏。

 出だしは、序曲のような、約1分の「平調 音取(ねとり)」で、笙(しょう)から始まります。
 次に、本編である「当曲(とうきょく)」。龍笛(りゅうてき)のソロ、羯鼓(かつこ)、太鼓、鉦鼓(しょうこ)、さらに、笙と篳篥(ひちりき。約18cmの縦笛です。)が加わります。さらに、琵琶(びわ。「楽琵琶」とも。)、箏(そう)が加わっていきます。
 箏(そう。「楽箏」とも。)は、「こと」のこと。余談ですが、昔、中国で、相続争いで琴を2つに切り、13弦と12弦になった争いがあったことから、「箏」の字になったとか。 最後は、主奏者以外演奏を止める「止手(とめて)」です。

 なお、越殿楽は、『盤涉調(ばんしきちょう)越殿楽』もありますが、これは、移調された(「渡物」【わたしもの】)、葬式用ですので、注意が必要です。知らずに、結婚式場で流していることもあるとか。

 最後は、楽曲解説の後・・、
 舞楽・右方「還城楽(げんじょうらく)」(「見蛇楽」とも)
です。
 右方は、高句麗・百済・新羅の朝鮮半島系、左方(さほう)は、中国大陸系楽舞です。

 インパクトのある《吊り顎(あご)》の面と華麗な衣装で、蛇を見つけて愛でる、動きのある舞です。伶楽社(1985創立)による演技です。
 吊り顎の面は、予習した書物の写真では気づきませんでした。やはり、本物を見なければダメですね。

 余談ですが、清少納言「枕草子」に、
「陀羅尼は、暁(明け方に聞くのがよい 経(梵音のままの呪文)は夕暮れ」、
「遊び(奏楽)は、夜。人の顔見えぬほど」とあります(119、200の各段)。
 因みに「奏が夜」と言うのは、「笙(しょう)のように、苦しそうに顔を歪めて強い呼気をしているのを、夜なら見ずに、音楽だけ楽しめるから」という理由です。

 きょう一日の国立劇場での〈勉強〉で、新たな知識、興味の領域が広がりました。
72歳になっても、体力不必要な好奇心は旺盛ではあります。

 さて、それにしても、さすが国立劇場、と言うべきか、アンケートに答えると綺麗なチケット・ファイルをくれたり、舞台に上るときに靴を入れるビニール袋が厚手の良質なものだったりしました。
 午前中の劇場内は、寒いほどの冷房でしたが、午後はさほどでもなく、上着を着たり脱いだり忙しかったこと。★
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Re: コメントありがとうございます。

> 暑いですねえ。いやーわかりませんよ。結構、誤っているようですから。これから、よく聞いてみましょう。

早速YouTubeで越天楽の平調と盤渉調を聞いてみましたが、ひょっとしてバックグラウンドミュージックとしては盤渉調のほうがよく聞くかも…。
気のせいですよね、きっと。
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Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

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