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7月・国立劇場公演に備えて、「雅楽」の基礎を予習してみました ~寺の梵鐘の音の調子の話や「徒然草」の逸話を知って、「時代」の理解には、音楽も含めた広範な知識が必要と改めて感じました。

 息子から、「3L」の大きなビワが送られて来ました。
 私の好物と知ってから、ここ数年、5月始めには温室物、6月には露地物、と、2度送ってくれます。
 それまで、大好物ながら、自分では買わず、周囲も気に止めなくて、我家の庭のビワの木にも実がならず、ほとんど食べませんでした。晩年にこんなに食べられるとは。死んでも、位牌に供えてくれ、と言っています。

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 さて、今日は、楽器の琵琶(びわ)の話もします。
 7月に国立劇場で、午前中「大人のための声明入門」、午後「大人のための雅楽入門}があります。
 午前と午後の間に2時間ほどあるので、お隣の「ホテル・グランドアーク半蔵門」で、「松花堂弁当」を予約して、食べるのが楽しみですが、それは兎も角、本題の予習を始めました。

 書斎から取り出して来たのは、一度は読んだ、
東儀秀樹 『雅楽ー僕の好奇心』(集英社新書)
です。
 (なお、誤植があります。この時点で第4刷ですが、「篳篥(ひちりき)は、いとかしがましく、秋の虫をいはば、轡虫(くつわむし)などの心ちして、うたて、け近くきままほしからず。」は、清少納言「枕草子」の、218段では無くて、204段です。)

 もう一冊、
笹本武志 『はじめての雅楽 笙・篳篥・龍笛を吹いてみよう』(東京堂出版)
CD付きです。こんな高価な本、買っていたんだ・・。

 前者は、2割くらいある、著者の自慢話がやや鼻につきますが、雅楽の説明は、詳細で役にたちます。
 ここで、「徒然草」などが引用されていましたので、
新潮日本古典文学集成『徒然草』(新潮社)
も座右に置きました。219,220段に、大徳寺や神護寺の寺の鐘が、「五行説」の影響でしょうか、雅楽の「調子」に調製されているなどの話があったからです。

 手取り早く、その段の要約を知りたいと、
橋本治 『絵本 徒然草 上・下』(河出書房新社)
を繰ってみましたが、219、220段は、省略されていました。雅楽は、専門的な話になりますものね。で、仕方なく、原文で読んでいきましたので、後述しておきます。
 一応、基礎知識がついて後に読むと、219段は、「楽器を責めず自分の腕を責めよ」的な、なかなか合築のある話です。

(以下、下記の「続きを読む」をワン・クリックしてお読みください。)


 まずは、一通り基礎知識を得てから、国立劇場でも演じられる『越殿楽(えてんらく)』のCDを何度も聞きました、
 聞いた『越殿楽(えてんらく)』は、「平調 越殿楽」です。
盤涉調(ばんしきちょう) 越殿楽』もありますが、これは、移調された(「渡物」【わたしもの】)、葬式用ですので、注意が必要です。知らずに、結婚式場で流していることもあるとか。

 このCD、合奏だけでは無くて、口でメロディーを口ずさむ「唱歌」も楽器別に録音されています。
 例えば、
篳篥(ひちりき)は、「チラロル タアラア・・」、
龍笛(りゅうてき)は、「トラロル タアラア・・」と言った具合です。

『越殿楽(えてんらく)』。「平調 越殿楽」です。
 まずは、序曲のような、約1分の「平調 音取(ねとり)」で、(しょう)から始まります。

 次に、本編である「当曲(とうきょく)」。龍笛(りゅうてき)のソロ、羯鼓(かつこ)、太鼓、鉦鼓(しょうこ)、さらに、笙と篳篥(ひちりき。約18cmの縦笛です。下の写真)が加わります。さらに、琵琶(びわ。「楽琵琶」とも。)、箏(そう)が加わっていきます。

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 箏(そう。「楽箏」とも。)は、「こと」のこと。余談ですが、昔、中国で、相続争いで琴を2つに切り、13弦と12弦になった争いがあったことから、「箏」の字になったとか。
 最後は、主奏者以外演奏を止める「止手(とめて)」です。

 宇宙に包まれる感じ、なるほど。

 さて、先述しました・・、
 「徒然草」に、寺の鐘や雅楽の音の「調子」の話が出て来ます。

 「徒然草」第220段に、
 聖徳太子以来、天王寺の鐘の調子は、「黄鐘調(おうしきちょう)」に調製してある、後嵯峨上皇の仙洞御所(嵯峨殿)も、西園寺家の北山殿もそう、という話があります。
 「黄鐘調(おうしきちょう)」は、A(ラ音)で、五行思想では、南、夏、赤色、火、心臓を表します。

 なお、有名な祭祀の雅楽『越殿楽(えてんらく)』は、たいてい『平調 越殿楽』で奏されます。「平調(ひょうじょう)」の調子の鐘の寺は、勝林院や神護寺です。
 G(ソ)音で、西、秋、白色、金、肺臓、鼻を表します。

 他に、「黄鐘調 越殿楽」もあり、また、『盤涉調 越殿楽』もありますが、これは、葬式用です。
盤涉調(ばんしきちょう)」は、H(シ)音、北、冬、黒色、水、腎臓、耳を表します。

 なお、他に、「壱越調」(D(レ)音)、「双調」(G(ソ)音)、「太食調」(E(ミ)音)とあり、全部で、6調音あります。

「徒然草」第219段には・・、

 四条黄門(黄門とは、中納言の唐名。ここでは、藤原隆資【1292-1352】)が、笙(しょう)の名手で師である豊原龍秋【1291-1363】が言ったことを話ました。
 曰く、龍笛(りょうてき)は・・、
 7つある穴の中で、「上、双調」と「五、下無調」の間だけ、「一律」(半音)無くて、巧く吹けない人が多い、と。

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 その話を聞いた、龍笛の名手・大神景茂【1292-1376】は・・、
「笙は、調整して、ただ吹けばいいだけだが、笛は、口伝で教わったことの上に修業が必要。呂律(りょりつ。調子が合うこと。「ろれつ」はこの語由来です。)が合わないのを器の欠点にするものでは無い・・と言いました。

・・と言うものです。

 古典を理解するなら、さらに言えば、この「時代」を理解するなら、雅楽、声明といったものも含めて、広い知識が必要なのですね。
 楽しもうと思えば、死ぬまで勉強ということでしょうか。★ 
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Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

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