FC2ブログ

「ギュスターヴ・モロー」展 ~〈サロメ〉やギリシャ神話絵画の〈色彩の衝撃〉と、二人の女性たちへのあたたかい眼差しに感動しました。

 《平成》の世も、大詰めと相成りました。

 まずは、10月の、神奈川県民ホールのオペラ「カルメン」の最前列席をゲット。その日は、鑑賞後、ホテルで寛ごうと、お隣のホテルエドモント横浜も予約しました。現役の昔から、一段落後は、ホテルで一人になって休むのが好きなんです。
 もう一つ。澤田瞳子『落花』を読み始めました。そこに、〈梵唄(ぼんばい〉、つまり、〈声明〉(経典の読誦(どくじゅ)法)のことがさかんに出てきます。
 で、国立劇場で、7月に〈声明〉の公演があるので、チケットを買うことにしました。

 さて、4月25日(木)、雨の合間をぬって、妻と《パナソニック 汐留美術館》で行われている、

「ギュスターヴ・モロー」展

を鑑賞してきました。

20190412132414aeb.jpg 

 因みに、この美術館は、ギュスターヴ・モロー(1826-1898・72歳)の教え子であった、ジョルジュ・ルオー(1871-1958)の作品を蒐集しています。
 ルオーは、《ギュスターヴ・モロー美術館》の初代館長も1903年から勤めました。

 この日、まずは、行きつけの《新橋第一ホテル》のランチ・バイキングで腹ごしらえしてから、パナソニックビル4階にある《パナソニック 汐留美術館》に行きました。
 ポスターは、ギュスターヴ・モロー晩年の「一角獣」(1885)、つまり、けがれなき女性にしかなつかないユニコーンです。
(ユニコーンについては、このブログ、2019年2月20日の記事をご参照ください。)

 美術館に到着して、まずは、広いロビーで、映像「ギュスターヴ・モロー美術館」(制作・NHKエデュケーショナル)を観てから、入館しました。

 本展は、フランスの、
《ギュスターヴ・モロー美術館》(パリ9区、ピカール広場から、約500mのラ・ロッシュフーコー通り14番地にあり、26歳から死ぬ72歳まで住んだ、石造り4階建てのモローの元邸宅で、油彩850点、水彩350点、デッサンなど7,000点が展示されています。)
の協力を得た展覧会なので、美術書でよく観られる主要な作品は。ほぼ展示されているのが、素晴らしい。

 作品を観ていくと、神話からの幻想世界を描いた作品が大半ですが、やはり、同時期にエドヴァール・マネ「草上の昼食」(1863)らのパティニヨール派~印象派の画家も出た頃で、一昔前の歴史画(物語画)とは違うのは一目で印象づけられます。

(以下、下記の「続きを読む」をワン・クリックしてお読みください。)

 会場に入ってまず遭遇するのは、初期の油彩画「パルカと死の天使」(1890)です。
1890年3月28日には、後述する、〈恋人〉ドュルーが死んでいて、それを悼んだものでしょう。

20190426223010de5.jpg 

 展覧会では、モローの愛した二人の女性母のポリーヌと30年間交際のあったアレクサンドリーヌ・ドュルー(1835-1890)のデッサンや資料が展示されています。
 モローとドュルーが雲の上を天使のように歩んでいくカリカチュア(戯画)が微笑ましい。
 ドュルーは、10歳年下で、モローが33歳の頃、知り合ったとか。モローは、生涯独身ではありました。
 余談ですが、クリムトも、エミリエ・フレーゲと結婚しませんでしたね。

 モローの母は、1881年に81歳で、ドュルーは1890年3月に54歳で死にます。その落胆やさぞ、と思います。
 さらには、1891年には、友人の画家エリー・ドローネも死に、ドローネから、遺言で、国立美術学校教授を引き継ぎ、6年間教鞭をとりますが、ここで、先ほどの、ジョルジュ・ルオーアンリ・マティスなど125名を育てたというわけです。
 「私は、君たちが渡っていく橋だ」という名言が残っています。

 さて、展示では、やはり、
サロメを描いた油彩「出現」(1876)が見逃せません。ちょうど、普仏戦争で7年間の空白があった後に描かれたものです。
 様々な習作も展示されています。
 血のしたたるヨハネの首は幻影で、サロメにしか見えていないとか。
 晩年に手を入れた部分は、やはり、原画を見て光にすかしてわかります。

20190426223357605.jpg 

 サロメのほか・・、
コルキスの王女メディア(裏切ったイアソンを殺します)、
セイレーン(船人を美しい声で引き込む3姉妹で、上半身女・下半身鳥。ドビッシーの「夜想曲」第3に「シレーヌ(セイレン)」があります。)、
スフィンクス(女の顔・蛇の尾・鷲の爪・ライオンの体で、旅人に謎を問い、答えられなかった者を呑み込む)など、
ファム・メタル〉、つまり、男を破壊に導く宿命の女たちを描いた作品などが、静かなうちにも神話の情念を感じさせます。

 トロイア戦争の元になった、トロイア王子パリスに掠奪された、スパルタ王妃ヘレネの姿も、凜々しい美しさで「トロイアの城壁に立つヘレネ」などで描かれています。
 「エウロパの誘拐」(1868)の、牡牛に化けたゼウスによって掠奪される美女エウロパ(フェイニキア王女)目線の情念。これは、普仏戦争前年の作品ですね。
 因みに、「エウロペ」は、掠奪されて誰もいないクレタ島に連れていかれ、将来のミノス王を生みました。エウロペの名は、「ヨーロッパ大陸」になりました。

 一方、晩年の、「ユピテルとセメレー」、「死せる竪琴」など、異なった信仰を結合させた、シンクレティズムの絵も見逃せません。

 最後に、この美術館に常設されている「ルオー・ギャラリー」の部屋では、「手品師またはピエロ」(1907)「秋の夜景」(1952)が観られました。

 心から、絵画を堪能し、「色彩の衝撃にうたれ」帰宅しました。楽しい一日でした。
 次は、連休を過ぎてから「クリムト展」に行く予定で、万全の予習も終わっています(このブログでは、2019年1月4日付けの記事です)。
 近時、美術の横断的な歴史的知識が付いてきましたので、鑑賞していても、以前よりもずっと楽しいひとときとなっています。★ 
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

感動人

Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

最新記事
最新コメント
FC2カウンター
検索フォーム
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

記事のカテゴリ
読みたいテーマを選択してください。
リンク
RSSリンクの表示