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熱演なんですが、何となく《華》、が感動が感じられないのは、私のコンディションでしょうか ~国立劇場・文楽公演『絵本太功記』



 まずは、余談です。前回、長時間の行列で美術展を見たおり、足腰が痛くならないか心配だったのですが、大丈夫どころか、かえって調子が良くなりました。

 18日夕から、東京・国立劇場で、

人形浄瑠璃・文楽『絵本太功記』
(1799年・寛永11年、豊竹座初演)、

を鑑賞しました。
 ついでながら、上演前に、お隣の「国立劇場伝統情報館」で、「歌舞伎・文楽入門展」を見たのですが、ここにも、歌川国貞の浮世絵がありました。

 さて、舞台のお話し。屈指の大曲で、変化に富む作品ですが、例によって、全13段中の2段の公演です。
 前の段がありませんから、戯曲で、光秀を智仁勇ある人格に仕立てあげている、ある意味、近代人的な人格にしているところは、観客に十分に説明できません。
 
 尼が崎の段(いわゆる「太十」)・竹本津駒太夫と三味線・鶴澤清介が熱演しました。極限の悲嘆を表す大落しの慟哭、続く怒濤の段切りです。

 それに至るまでは、私がファンの、本能寺の段の奥で、豊竹咲甫太夫が、妙心寺の段の奥で、豊竹呂勢太夫も、熱演し、相変わらずの成長ぶりを感じさせます。

 が、これだけ熱演なのに、見ていて何となくウキウキしません。 

 これには、個人的な伏線もあって、文楽は、ここ数か月間、ご無沙汰でした。
 ご無沙汰だったのは、このところ《(よりどり)みどり》公演ばかりの演目であることに加え、超重鎮が、何人も、引退、死亡等でいなくなったこともあります。それで、劇場への腰が、どうも、重くなっていたのです。

 でも、これらのことがあっても、さすが《太十》。チケットを得るのは、なかなか容易ではありませんでした。

(以下、下記の「続きを読む」をワン・クリックしてお読みください。) 


 脇にそれますが、今回の公演は・・・つまらない計算ですが・・・、太夫、三味線、人形、あわせた主要21人の平均芸歴は、33.85歳。太夫だけでは、27.42歳です。芸歴が長けりゃ良いものではありませんが、古典芸能・文楽では、やはり歌舞伎などと違うと思います。

 それに、今回、出遣い(でづかい)がほとんどですが、見ていると皆さん若い。
 ですから、舞台に、白髪の人形遣い、例えば、吉田玉也(芸歴45年)、吉田勘弥(芸歴42年)、吉田玉也(芸歴45年)などが出てくると、何かバランスよく、ほっとするような感じです。そんなの私の心の問題でしょうが。

 それにしても、ついでながら、顔を見せたい、のは分かりますが、最近、ほとんど、出遣いなんですね。
 人形遣いは、魚(うお)の如く沈黙を守り、黒い頭巾と衣装の中に自分を消し、足や左の手の〈手ッたい〉を経て、藝の年輪が加わって、〈じゃま〉〈うるさく〉無いようになって出遣いをした、と言うのは昔のことでしょうか。人形浄瑠璃のあり方なども併せて考える公演ではあります。
(同趣旨で、いささか古い意見ですが、文楽が、ちょうど今と同じような年代構造だった時代の意見があります。今、同じサイクルが巡って来たのでしょうか。浜村米蔵「文楽の「絵本大功記」《上演資料集 262》171頁所収))

 人形でも、足遣い20年・左遣い10年、と言われる文楽で、今、「長老」が少なくなっています。
 そこにきて、今回は、同時に公演されている「文楽鑑賞教室」(「曾根崎心中」)のほうに、名前が比較的知れた中堅どころを持っていかれたようで、こちらの公演は、どうも、今一つ、「華」が感じられないように思いました。
 これも、そんなの私個人の関心事なのでしょうが。

 さらに、あくまで私の感じ方ですが、冒頭・本能寺の段、竹本小住太夫(因みに、芸歴6年)の声がどうもひっくり返ったみたいなところが多くて、聞き苦しかった。
 やっと、腰を上げて、久しぶりに文楽を聞きに来たのに、まず、ここで、ガツン!となりました。

 さらに、妙心寺の段、豊竹芳穂太夫(芸歴13年)も、声が、表現が難しいのですが、薄い、ような感じ。

 これからの人を貶すつもりはありません。あくまで、今時点で、私は、気分的に、あまり乗って聞けなかったわけです。

 さらに、席です。今回は、太夫の長老もいないので、割り切って、文楽では、太夫が見にくくてあまり勧められない最前列(中央、上手寄り、通路際)の席にして、人形鑑賞重視としたのですが、やはり、これは、良くない。やはり、太夫もじっくり「見られる」席でなければいけません。

 もっとも、この最前列の席は、人形に近いし、前列の人の頭も無く、さすがに細かく人形の動きが見られました。
 が、これも善し悪しで、妻操・吉田簑二郎(芸歴40年)は、内面の怒りと悲しみを表現するには、あまりに小刻みに震えすぎでは・・とか、よく見ると、母・さつきもよく震えていました・・なんて気が散ります。
 ついでながら、「夕顔」の段など、もう少し、それらしい雰囲気に舞台セットの工夫など出来ないでしょうか。

 ところで、太夫の芸名については、1953年以来の「大夫」から、今年4月以降に、義太夫創始者の竹本義太夫(1651ー1714)と同じ、「太夫」に改められました。

 さて、あれこれ、ずいぶん言ってしまいましたが、今年後半の国立劇場・文楽は、スゴいようです。

 告知によると、今年の後半は、《国立劇場開場50周年記念公演》で、文楽公演のほうも、「一谷嫩軍記」と「仮名手本忠臣蔵」の通し2本です。
 素晴らしい。期待の萌芽がでました。
 そうですよね、周年記念公演で、《みどり》公演をやっていたんじゃあ貫禄ないですものね。
 本来、文楽は、このように朝から夜まで、一日、通して聞く、世界に類のない芸能です。
 11時頃から、夜9時頃まで、楽しみですねえ。

 通し、立て、にしろと言っておいて、いざそうなると、体力がついて行かないので、2日に分けて見る、なんてことにもなりそうですが・・。
 そう言えば、「仮名手本忠臣蔵」は、さらに、国立劇場・歌舞伎公演ともコラボ、同時公演というのが良いですね。
 是非、成功させてもらいたいものです。 
 
 年の前半は、最後に、この5月文楽公演で、これからの文楽に期待を繋いで終わりにします。
 いろいろ言いましたが、年寄りの戯言、でも、こう見ている人もいるんだ、と聞き流してください。
 来週は、上野鈴本に、寄席を聞きに参ります。★

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Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

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