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5月、国立劇場・文楽、二代目吉田玉男襲名披露公演(第一部)、登場から悲嘆を漂わせる玉男の直実に感動しました。文末に、近況も少しまとめました。

 このところ、新刊、

 高木浩志 『文楽に親しむ』(和泉書院)、

 魚川祐司 『仏教思想のゼロポイント 「悟り」とは何か』(新潮社)、

が面白くって読んでいます。

 特に、後書は、36歳の著者の初著作。
 仏教の行学の知見を統合的に扱い、出家者の、渇愛を滅尽して解脱、涅槃に至る、と、・・これでは、難しい言い方ですが、仏教の根本のところの思想をまとめた良書です。この書は、改めてまとめてみる予定です。
 何よりも、日本古典の理解には、絶対に、仏教の理解が欠かせません。

☆ ☆ ☆ ☆

 さて、この日は、東京・国立劇場・文楽公演、
人形遣い、吉田玉女(たまめ)改め二代目吉田玉男襲名披露公演を楽しみました。
 昼の部(11時から15時半)、席は、7列目、やや上手寄り。完売、満員御礼とか。

 (以下、下記の「続きを読む」をワン・クリックしてお読みください。また、写真は、ワン・クリックしてご覧ください。)

 平成18年9月24日没の、師匠、初代玉男は、〈玉男徳兵衛〉といわれ、〈簑助お初〉とのコンビで〈曾根崎心中〉の人気を高めたり、また、難しい〈弘明〉や、〈文七〉、〈若男〉のかしらに長けた名人です。
 玉女は、昭和43年3月に入門しています。キャリア47年。

 昨年、4月国立劇場開場30周年記念公演で、玉女は、菅丞相を遣いましたが、どちらかというと、こちらのほうが、意義、としてはあったかも。

♯ ♯ ♯ 

 この日の舞台は、まず、「一谷嫩軍記」の「組打」を五条大橋の牛若弁慶に擬した、いわば、先駆けの意味か、

五条橋」で始まり、

続いて、お染・久松物の集大成、

新版歌祭文」(作・近松半治。1780年初演)、中の巻・野崎村の段

 お染の久松への〈口説き〉、久作の強意見、お染・久松を見送るお光「兄さん・・」の悲しさ。

 豊竹呂勢大夫(三味線:鶴澤清治)
 竹本津駒大夫(三味線:鶴澤寛治)

 ~三味線は、人間国宝で固めた豪華さ。
でも、もう太夫、住大夫【26年5月引退】が聞けないのは寂しい限り。
 呂勢大夫が、熱演し、聞かせました。

人形は、
 小助、吉田文哉
 みつ、勘彌

♯ ♯ ♯
  
 そして、休憩後に、

襲名披露口上」、

 文楽は、歌舞伎のように世襲ではありませんが、襲名や名前変えは、結構あります。
 世襲は少ない、といっても、近くでは、平成22年に、同時に、祖父の名を次いだ、九代源大夫【平成26年7月引退】、その父の名を次いだ2代鶴澤藤蔵らの例もあります。

 口上では、通例、本人は、何も言いません(もっとも、昭和41年、豊竹咲大夫などは、「お客様に喜んでほしい」と、言葉を述べています。)

竹本千歳大夫
豊竹嶋大夫
鶴澤寛治
吉田和生
桐竹勘十郎

らが口上を述べました。
 余談ですが、全員、額を床につける深いお辞儀です。

♯ ♯ ♯

 休憩後、玉男の登場する、戯曲史上の最高傑作、

一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」
(熊谷桜の段、熊谷陣屋の段。作・並木宗輔。浅田一鳥ら補作。1751年初演)です。
 
 切は、豊竹咲大夫(三味線:鶴澤燕三)
さすがです。

 ~ちなみに、この三段目切を謡うのは、「文楽の大幹部太夫」という格別の意味があります。
 登場人物の過去・未来を彷彿させる、スケールと人生経験の深みが要求される、東風(ひがしふう)の白眉です。

 後は、竹本文字久大夫(三味線:鶴澤清介)

人形は、
 熊谷直実は、吉田玉男
 藤の局は、桐竹勘十郎
 相模は、吉田和生

 ~今回は、〈同期〉と、玉勢、幸助、玉也、玉輝、ら一門が脇を固めます。
 したがって、通常期待の文雀、簑助は、登場しません。
 玉男は、登場の時から、直実の悲哀を見事に漂わせます。ただ、ここで、襲名ご本人への盛大な拍手で、戯曲としては感度が削がれてしまいますが、今回は、仕方ないか・・。
 余談ですが、歌舞伎では、12代団十郎が言っていたのは、舞台に出るときに、息を吐いてから出る時と、吸ってから出る時があって、熊谷は、吐いてから出る、とか。 

 義経が平家方に寄せる温情と、その意を汲んだ、柊(ひいらぎ。モクセイ科の常緑喬木)に例えられた、トゲのある武将・熊谷直実を中心とした、武家社会の悲劇、が仏教的な無情感を背景に描かれています。

 名題にある「」(ふたば)は、桜の葉が、二枚同時に発芽するところから、同月に生まれた敦盛と小次郎を「嫩」に例えています。

 直実が、藤の局に、敦盛の最後を語って聞かせる、主役が、過去の出来事を語る、「物語」という見せ場。
 
 首実験になり、そこで、熊谷の子、小次郎の首と分かり、悲嘆にくれる、相模の「クドキ」の見せ場。

 「惜しむ子を捨て、武士を捨て、住どころさえ定めなき、有為転変の、世の中じゃなあ」の終幕。
 ここのところ、また、余談ながら、歌舞伎の成田屋・12代団十郎は、幕を閉じた後、一人、花道で、「引っこみ」をじっくり見せたところ、文楽では、人形すべてが悲嘆を漂わせ幕です。
 また、この日は、段切りの力強い弾きに備えてか、三味線・鶴澤清介が、三味線を床に置いて、糸を繰(く)って準備?されていました。

 平時忠と梶原景高の陰謀で、兄・頼朝から疑われている主人・義経から出た命令(大序「堀川御所の段」)で、弁慶に書かせ、熊谷に与えた制札(弁慶若木桜の制札)に、

「桜の一枝を切れば、一指を切る」、

という句の、「枝」を「子」と解釈し、「院の子を切るならば、一子小次郎を切れ」が真意と解釈して、「院の子を生かして」我が子を殺した直実と、母・相模の悲哀が描かれます。



  ♯ ♯ ♯

 最後に、このところ、新記事のアップの間が開いてしまいました。
 連休を挟んで、ほかのところにリズムが傾斜してしまったせいです。

 孫(6歳と4歳)と水遊びしていて、「ねえ、ねえ、よその子が水をかけるから、一緒に来て、戦って・・」と言われたり、

 民生委員の仕事に関係して、

柏木ハルコ 『健康で文化的な最低限度の生活』(小学館)、
の劇画1、2巻を読んだり、

(同書は、新聞等で評判の劇画ですが、生活保護制度を全く知らない方には、読みようによっては、誤解してしまう余地のある書き方もあります。それに、このような初任者研修の不十分の役所は、無いのでは。)

 同じく、地域への、自家製、民生委員〈新聞〉(表題は「お元気ですか。○○です。」)を作るのにパソコンで苦闘したり、

 岩波文庫の新訳に凝って、昔の映画dvd風と共に去りぬ』を探したり(見つけました。でも、もう少し本を読んでから観ます。)、

 新しい枕を買ったり(横向いて寝る人用、なんてあったので、それにしました)、ナイキのスポーツ・シューズも買ったり、

 暑くなったので、高齢者宅を延べ50軒以上回ったり、
 
 蚊のでる前に、と庭掃除したり、

 自治会の総会があったり、

 持ってもいないのに、「ipad Ari」の本を買ったり、

 ギャラクシーのスマホの新製品が出たので、代えようか、と店に偵察に行ったら、なんだ、画面サイズが小さくなっているようで、きっぱり止めたり、

 ・・・これらの出来事を、マメにアップすればよかったのですが、リズムが崩れてしまいって、それに、芸術分野じゃないし・・・。という事情です(言い訳)。
 今週は、この後、オペラの観劇もありますので、そう間を置かずにアップします。
どうか、ご愛読、よろしくお願いします。★

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Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

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