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4月・大阪文楽公演『菅原伝授手習鑑』(通し)~約10時間。満点の戯曲に、満点の三業熱演の舞台。さらに、大阪、最後の住大夫の名演に感動しました。

 6日(日)、7日(月)と、大阪・国立文楽劇場(写真。ワンクリックで、拡大できます。)に行ってきました。

 竹本住大夫の大阪での引退公演、ということも無くはありませんでしたが、むしろ、通し(「立て」る、ということを、歌舞伎流に「通し」、と言うようになっていますが。)狂言のときは、大阪であっても必ず行くことにしています。

  余談ですが、土曜日が、東京・国立劇場文楽公演、のチケット先行発売でした。それこそ、住大夫引退公演なのですが、私は、ネットで、10時きっちりに接続出来て、2分ほどで第一部、第二部のよい席を買えたのですが、ネット画面を見ていると、震えるほど、どんどん売り切れていくのが分かりました。
 
その後、お節介にも、残席の様子見をしてみようとネットに繋ごうとしましたが、とうとうお昼の12時近くまで接続出来ませんでした。おそらく、15分ほどで完売だったのでは。

 閑話休題。大阪では、


菅原伝授手習鑑』を鑑賞しました。
(2枚目の写真は、ロビーの芝居絵です。)

【下記の、「続きを読む」をワン・クリックしてください。】


 6日(日)、大阪には、昼に着いて、その日は、

午後4時からの第2部(3段目・車曳~4段目・寺子屋)、

翌7日は、午前10時半からの第1部(初段・大内~2段目・丞相名残)を鑑賞しました。

 竹田出雲《合作チーム》の、毎年、連続して作られた、「義経千本桜」、「仮名手本忠臣蔵」などの、最盛期の頭を飾る名作です。確かに、良く出来た戯曲です。(物語は、このブログで、少し前に全段予習していますので、そちらをご覧ください。
http://kandoujin.blog48.fc2.com/blog-entry-502.html  です。ワン・クリックでどうぞ。)

 今回、心ならずも、両日とも、文楽ではあまりよい席とは言えない最前列の席でした。でも、ま、少なくとも上手、「床」寄りです。
 
 さて、今公演は、ホントに、太夫が皆、上出来でした。
 これは、「満席」で力が入ったのか、「住大夫」への惜別効果でしょうか。

 聞いた(文楽は、こう言います。)順、1日目の第二部から書きます。

 その住大夫。いや、やはり良かった。
「桜丸切腹」。竹本住大夫(三味線・野澤錦糸

 最前列なので、かえって、太夫の語りは耳だけで鑑賞しているようになったのですが、重く、渋く、味わいのある、年輪に満ち、緊張に満ちた、性根の語り口はさすが素晴らしいものがあります。
 若い太夫の、よく通る声量、美声とは違った人間味。これは、なかなか出ないのですよね。来月の東京で、公演もサイゴとなりますか・・・。
 感じたのですが、引退公演は、このようにタテ(通し)でするのが、戯曲の重さも併わさって、より感動的かもしれません。その意味で、大阪公演を聞いて本当によかったと思います。

 さらに、この時、舞台での人形遣いは、
立役、桜丸(切腹)・吉田簑助
女房八重(桜丸切腹)・吉田文雀
 3人間国宝揃い踏み。まさに、歴史の一頁の一つ、となりました。

 それにしても、相変わらず、単に人形の出で拍手して、太夫の語りをじゃまするようなことは止めてほしいな。
 拍手ならむしろ、「車曳」、時平・豊竹松香大夫(三味線・鶴澤清治)の「ワッハッハ・・・」に拍手があってもいいのではないのかな。

 第二部のお話しを続けますが、
切り「寺子屋」、豊竹嶋大夫(三味線・豊澤富助)、
も素晴らしい、圧巻の熱演でした。

 難しい「源蔵戻り」→気分を変えるチャリがかった村の子の「寺子改め(呼び出し)」→首実検の語りのスピード→「松王泣き笑い」→名曲「いろは送り」。その間、「門の戸ぐはらりと引明ければ」で西風から東風に変わる、と、まさに、住大夫に負けない舞台でした。

「茶筅酒」、竹本千歳大夫(三味線・竹澤團七)
「喧嘩」、豊竹咲甫大夫(三味線・野澤喜一郎)
も良かった。次の時代が楽しみです。

 ところで、住大夫が終わると25分の休憩ですが、これで帰っちゃう人が、結構、いるんですね。戯曲なんかおかまいなしの、住大夫の最後を聞いたゾの、ミーちゃん見物みたいな。
 どっこい、休憩後の
天拝山の段」(豊竹英大夫(三味線・鶴澤清友))

タテ、通しでなければなかなか見られない、見せ場。迫力満点、道真が口から火炎まで出します。これを見逃して損しましたよ。

 タテでよくわかりますが、第二部ではとりわけ、松王丸の心底を隠しての行動(伏線を張った、「戻り」)が見所ですが、
立役、松王丸・桐竹勘十郎(かしらは文七)、
が、相変わらず、見事な遣いです。

 むなしい悲劇のクライマックスを2つ見ると、やや重たくて、歳のせいか、どっと疲れてしまいます。

 いくつか、雑談を・・。最前列なので、杉王丸のかしらと目が合った !? のですが、斜めから見た目は可愛いですな。

 目、といえば、最前列で見ると女形人形の目がなんと本物っぽく色っぽいのでしょうか。あの瞬きなんてたまりません。

 失礼ですが、桐竹紋壽(もんじゅ)さん、表情が一挙に老けたのでは ? この方の老練さが好きなんですが、お体ご自愛ください。
 吉田幸助さんの袴は、ずいぶんお洒落ですね。若さ。

 
 二日目に聞いた第一部。

 全体を通して、戯曲を味わう「通し」の場合には、「初段」に注目です。その重要な「初段」から、「築地の段」までは、割合に淡々と進みますが、その中で、左中弁希世(人形・吉田玉佳)が、面白く、場面を盛り立てます。

 そして、「筆法」、竹本津駒大夫(三味線・鶴澤寛治)
は、前段までの伏線を受けて、後半に重厚に繋ぎます。

 その後、

「折檻」、豊竹呂勢大夫(三味線・鶴澤清介)、

「東天紅」、豊竹咲甫大夫(三味線・竹澤宗介)、

切、「丞相名残」、豊竹咲大夫(三味線・鶴澤燕三)

と、私がファンの3人、まさに怒濤の名演

 それでもやはり、年長の、豊竹咲大夫は頭一つも、二つも、素晴らしい。

 相三味線の鶴澤燕三も、冴えて、重厚さがあります。

 それに、舞台装置や人だまなどの細かい仕掛けも魅力満点です。

 ただ、一カ所。「名残り」で、上手が重厚な悲劇なのに、下手では池からあがった仕丁がさかんにチャリで観客を笑わせているのは、感動を倍加させるのでなくて分散させてしまっているではないでしょうか。なぜか、太夫の熱演の邪魔になっているような気もしなくはありませんでした。
 オペラのアンサンブル・フィナーレのようにはいきません。

 最後。大阪の国立文楽劇場では、「上演資料集」をどうして販売しないのでしょうか。作っていないのかな、そんなことないでしょう。
 売店のお嬢さんは、資料集のことを知らないし、1階の展示コーナーのボランティアの方も知らない。でも、あれ、文楽に関わる人なら読んでいますよね。「(奥の図書コーナーにある東京国立劇場の現物を見てもらうと)あれは売ってません」って。いや、これは、余りに不勉強、あるいは井の中の蛙すぎますぞ。

  ところで、大阪に着いてすぐ、道頓堀「今井」の《きつねうどん》を食べました(写真。これは、笹寿司、葛餅が付いた休日のセットです。)。太夫さんもよく行かれるお店とか。美味しい !! 翌日に、おみやげにも買って帰りました。
 その道頓堀の通りは、アジアの外国人の団体さんがすごいラッシュ。大半が、たこ焼き屋さんなどで行列していました。

 さて、帰りは、地下鉄の「女性専用車」に乗っていて、降りるまで気付きませんでした。どうも、カラフルな電車だと思った。
 いつも、大阪・文楽劇場の帰りは、劇場ロビーでかかっているお囃子のメロディーがずっと頭の中で鳴っているので、ほかのことに注意が行かなかったのでしょうか。★


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Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

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