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年末感動の2作。手に汗握る、《身替りの身替り》、しかも哀別離苦あふれた秀作、「大塔宮曦鎧」。二人遣人形、《くどき》の情趣、「恋娘昔八丈」~国立劇場12月文楽公演を堪能しました。

 2週間ぶりの観劇。まさに、「まちかね山の時鳥(ほととぎす)」(「大塔宮曦鎧」)です。
 あっ、そう。今回の文楽は、特に、このような面白い日本語が満ちていました。

12月11日(水)5時から、東京・永田町、国立劇場で、12月文楽公演、


大塔宮曦鎧(おおとうのみやあさひのよろい)』、

恋娘昔八丈(こいむすめむかしはちじょう)


を楽しみました。

 席は、文楽鑑賞にはあまりお勧めできない、大夫を見られない、最前列です。
 しかし、12月文楽は、若手に活躍の場を与える舞台のようですので、この際、舞台間近でじっくり人形を見られたのも良かったかもしれません。若宮のりりしい人形などよかったですよ。

 
 まずは、心ゆくまで楽しめました。

「大塔宮」は、120年ぶりの復活上演といわれますが、なぜ、これまで演じられなかったのか不思議なくらい楽しめました。三味線・野澤錦糸の復曲努力を賞賛します。
 「曦鎧」とは、朝日に、りりしく輝く鎧(よろい)の意味です。また、宮、と使うのをはばかって、芝居では「大平記曦鎧」とも名付けられています。


 前半・「六波羅館の段」の、灯籠(とうろう)や浴衣(ゆかた)模様を巡っての謎解きが面白く、かつ、日本語の妙を学べて有益です。

 三位(さんみ)の局にぞこんの、無骨で好色な常盤駿河守範貞(人形・吉田玉也)は、三位の局から送られて来た浴衣の模様を見て、「ほ、の字の恋い風を帆に受けた図」などと勝手に思ってしまうほどです。
 それを側で見ていて、まるで、《バカらしくて、やってられねえ》風の斎藤太郎左衛門利行(同・桐竹勘十郎~絶品です)は、「あほうの、ほ、の字、それは、流罪になっている天皇を思った図」と思っています・・・という等等。

 ところで、斎藤太郎左衛門利行の立場と今後の行動を理解するには、土岐頼員(ときかずより)の妻・早咲が、六波羅探題の奉行である父・斎藤太郎左衛門を味方にしようとして、倒幕計画を漏らしたことから、計画が露見し、頼員は自害、早咲は夫の名で討ち死にし、後醍醐天皇の若宮と母・三位局は、捕らわれて永井右馬頭の邸に預けられた前提、また、斎藤太郎左衛門利行の娘の子、斎藤の孫ですが、力若というのを知っておく必要があります。


 常盤駿河守範貞は、言うなりにならない三位の局に怒り、「切子灯籠」の謎かけに出て若宮暗殺を命じます。
 「切子(きりこ)灯籠」の真意は、「子を殺す」意味です。

 後半・「身替わり音頭の段」での、美しい盆踊りの舞台の中、手に汗握る、8歳の若宮暗殺のサスペンスとなります。
 若宮は殺されるのか、永井右馬頭宣明(人形・吉田玉女)、妻・花園(吉田和生)の子が身替わりで殺されるのか・・。

 背景には、武士の意地の張り合いで永井右馬頭宣明が子を殺させるのか・・、と思いきや、意表をつく(私の予習ブログでは、すでに、ネタをばらしていますが)、《身替わりの身替わり》、斎藤太郎左衛門利行が、自らの孫を殺す、思ってもみない展開です。

(予習は、http://kandoujin.blog48.fc2.com/blog-entry-472.html です。ワン・クリックでどうぞ。)


 孫の遺体にすがる斎藤太郎左衛門利行に、思わず感涙。
永井右馬頭宣明と子は、髪を落として出家します。
 地味な、「寺子屋」のような身替わりではありません。 見事な、竹田出雲、33才頃の処女作の戯曲です。
 共作者の松田和吉とは、後の、文耕堂
おまけに、近松門左衛門が添削しているのですから、侮ってはいけません。もっと、上演されてよいでしょう。


 20分の休憩の後は、

『恋娘娘八丈』。

 前半・「城木屋の段」で、番頭丈八(人形・吉田簑二郎)のチャリや、お駒(同・豊松清十郎)と才三郎(同・吉田文司)の、庄兵衛(同・吉田玉輝)の月代(さかやき)を剃りながらの目でのやりとり、見せ場、お駒の「そりゃあ聞こえませぬ才三様」のくどきなどをたっぷり楽しんだ後は、いきなり、「鈴ヶ森の段」。

 今公演は、「(よりどり)みどり」の抜粋で、途中の夫殺しはすっぱりとカット。
 
 でも、後半、縛られたお駒の、通常3人遣いの人形を2人遣いで、しかも、主遣い(豊松清十郎)は片手での遣い。なかなか見られない、しかも、情趣たっぷりの名場面です。


 刑場での、お駒が、父母や才三を捜してのくどきの場面の、人形、太夫(豊竹呂勢大夫)、三味線(鶴澤藤蔵)の三業一体の名演でした。
 特に、このところ豊竹呂勢大夫は、素晴らしい出来です。


 しかし、物語が、お駒が助かって大団円となるのは、ちょっと、あっけなくって・・・。

 ところで、余談ですが、前半、ひとり、若い人形の出遣いで、顔、視線がイヤに邪魔な動きをする人がいました。
まるで、人形と一緒に自分もコンビで演技しちゃっている風。なんでもかでも、修行の浅い人まで、出遣いに出世させるのはいかがなものでしょうか。
 
 この日は、終演後、「富山県赤坂会館」に一泊し、明日、もう一度、国立劇場大ホールで歌舞伎を見ます。

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Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

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