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人形芝居は文楽だけではありません~「横瀬人形芝居」と「竹間沢車人形」に感嘆しました。

 きっと、文楽に興味がなく、説経節の本も読んでいなければ、このような催しは、気にもとめなかったかもしれません。現に今まではそうだったのです。
 気づく、ということは、こちら側が、相応の興味と知識を持っていなければ、「見てはいても、気づかない」、のでしょう。
 それに、「紙の」新聞を、つまり電子版では無いということですが、暇に任せて、隅から隅まで眺めるというのも、まだ、捨てがたいものです。


 さて、埼玉県にある「彩の国さいたま芸術劇場」で、
「埼玉伝統芸能フェスティバル」として、


横瀬(よこぜ)人形芝居」、
の《小栗判官実道記(おぐりはんがんじつどうき)・親子対面矢取の場》と、

竹間沢(ちくまざわ)車人形芝居」、
の《日高川入相花王恋闇路(ひだかがわ いりあいざくら こいのやみじ)・渡場(わたしば)の段、鐘楼(しょうろう)の段》、


を観ました(聞きました)。
 昨年、「首都大学東京(文楽講座)」で、車人形の映像を少しだけ見たことがあったのですが、こうして、きちんと見ると印象が大違い。なかなかどうして、素晴らしいものです。何でも、ライブが重要です。


 ちなみに、ここの大ホールは、770名(オーケストラピット使用時は680席)の実に良いホールです。
 以前、小ホールで、寺神戸亮さんのヴァイオリンを2日にわたって聞きましたが、やはり素晴らしいホールでした。
 惜しむらくは、不便な地にあるんです(埼京線「与野本町」下車、徒歩10分ほど)。
 

 この日の公演は、大ホール。しかし、「横瀬人形芝居」の人形芝居舞台は、2m強です。
 人形は背中から手を入れ、1人遣いで、50cmほど、頭は拳(こぶし)大で、小さいので、よく見えるように、最前列に座りましたが、正解、幸運でした。

(この日、後ろの席の人のためには、大型スクリーンで照射されましたが、映像があまり良くない。また、正面前列数列は、「招待者」席エリアで、議員用などだとか。公主催だと、いまだにこう、無骨なやり方、なんですね。)
 

 話が逸れましたが、人形舞台が小さいので、例えば、背後の障子に会話している人物の影を写す、といった細かい演出もできていました。

 
 この人形芝居で特筆すべきは、彫り物の凝った美しい人形舞台が、なんと「回り舞台」であることです。
 人形芝居に回り舞台があるのは、日本で、これだけとか。
 
 回り舞台は、約2.3m×2.3mの正方形で、それは、回る1点を上まで通っていない芯一つで支えているので不安定で、大変のようです。

 
 小栗判官の物語は、最近では、塩見鮮一郎『中世の貧民』(文春文庫)でも、細かく述べられていますが、この日の舞台は、後半の、小栗復活後の親子対面です。
(最近、必要に応じて繰り返し読んでいる、岩崎武雄『さんせう太夫考ー中世の説経語りー』では、もっと詳しいですが。)


 回り舞台が、母(御台所)との対面から一転、父・兼家からの矢取りの場面となりました。
 
 クライマックスの矢取の場では、判官・政清が、父の放った3本の矢を左右の手、口で受けると会場が沸きます。
(余談ですが、矢取りは、最近の、葉室麟『さわらびの譜』にも矢取りの場面が出てきます。こういうことがあったのでしょうか。)

 文楽の芸術的に完成された人形を見慣れていると気になるのは、この人形の両手が、常に、前にハの字型に広がっていることでしょう。
 
 ちなみに、人形の首(かしら)は、胴体(胴輪)に人差し指と中指を入れて、遣い、左右の人形の手は、親指と小指を人形の手に裂いた手ぬぐいで縛りつけるそうで、手が痺れて大変だとか。近時は、指が少しでも痺れないように、女性物のストッキングを使ったりもするそうです。
 
 もう一つ、この説経節が、腹からの力でなく、甘い声で、浄瑠璃のようではなく、しかも、マイクに頼っているのが、好みなんでしょうが、違和感がありました。
 ま、これは、伝統芸能であって、芸術ではありませんから、そこまで目をつけるのは酷ですが。


 驚いたのは、次の、「竹間沢車人形芝居」です。
これは、すこぶる感嘆し、楽しめました。人形が大きいし、語りにユーモアもあるし、しっかりした浄瑠璃的な語りです。

 こちらの人形は、1m位、10kgの大きなものです。この人形を、前後に車の付いた小さな箱のような(江戸の箱枕を大きくしたようなもの)車にまたがって乗って、体を縛り、全身で人形を遣います。

 特に、人形の足も、左右の遣い手の足の指の間に人形の足の裏にある突起を挟んで、ちょこちょこと歩きます。日本では、ほかに、八王子と奥多摩に同系統の人形芝居があるそうです。こうなると、歌舞伎的になるわけです。

 清姫は、「花道」から登場し、クライマックスの大蛇は、中華祭りの竜のようで、迫力満点です。
 こちらの説経節は、浄瑠璃のようです(三代目若竹若太夫)。語りも面白いところがあるし、メリハリが利いています。あまりマイクに頼りません。
 
 
 ところで、この日は、《前座》で、皆野町立小学校児童の、大神楽囃子などが行われました。
 余談ながら、近頃は、小学生の女の子まで、顔の両脇に少し毛をたらす流行のヘア・スタイルをしている子が多いのですね。江戸以前の女性に、こういう髪型を見かけますが、ご存じでしょうか。

 余談は兎も角、児童たちの演奏と舞は、なかなかのものでした。

 1時から4時まで、たっぷり、得難い舞台でした。
 東京都でも、春に、伝統芸能のフェスティバルが2日間にわたってあるので、見過ごさず、葉書で申し込んでいます。

 明日は、映画『東京家族』を観に行きます。

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Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

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