役所が職員を送り出すときに・・
民間財団であっても、役所の「出資比率」が高いと、当然、役所からの職員の「出向」者も多くなります。この場合、私のいたところでは、少なくとも、「出先」だからといって、人事が軽んじられることが無く、優秀な若手の人材が、数年サイクル(だいたい4年)で出向してきました。
ただ、役所側は、職員を「送り出す」ときに、管理者や一般事務職で送り出すならば、労働基準法、税法とか私会計、簿記などの最低限の基礎知識を与えてあげなければ、だいぶん本人も、周囲も、苦労してしまいす。
役所は、「公務員」ですから、地方組織ならば、例えば、「地方公務員法」が適用されますので、よほどのことが無い限り、「労働基準法」の精神や法令自体になじみがありません。よく芸術関係にありますが、組織内で、「兼職」の議論が出たとします。公務員法は、身分として原則禁止ですから、役所の職員は、その発想で、疑いなく議論して、結論を出しかねません。あらゆる場面で、「公務員法」の発想が出てくるのは、長年の生活、昇進試験のからみで仕方ありません。
ですから、36協定やその代替措置も知らないで、平気で、就業規則を変えたりもしてしまったりします。穿ちすぎかもしれませんが、役所の出資団体だと、もうちゃんとやっているものと思われているのしょうか、労働基準監督署もあまり目をつけないようです。労働時間管理もルーズになりかちです。
民間財団は、労働基準法を物差しとしなければならず、出向職員は、このあたりの発想の転換に苦労ています。上司も、「出向」公務員で、このあたりの問題意識が無いと、なおさらです。
公務員の事務職が出向して、事務(総務関係、予算・決算関係など)をこなすことになった場合に、貸借対照表も読んだことがないのに作らなければなりません。職員の労務関係や、社会保険関係、税法関係・・皆初見なことばかりで、大変です。
ですから、的確な予算、決算分析や他の職員、新規採用職員、退職職員などへの的確な労務アドバイスなど、なかなか出来ません。やっと慣れても、「応用問題」にはお手上げとなります。
このような、意味からも、「出向者」対応、役所がきちんと考えないといけません。盲点です。
もう一つ。トップに役所の管理職退職者の、いわゆる「天下り」が時たまあるのですが、全く芸術の門外漢などの人のときはちょっと考えさせられます。おまけに、その方が、「私は、素人で何もわかりません・・・。」などと、(謙遜されているのでしょうが、)このようなあいさつをされると、サポーターはがっかりします(余談ですが、例えば、現役で、福祉関係の職場に異動したときに「私は、素人で、福祉はわかりませんが」など言うでしょうか。)。経験と人脈を持った方の天下りは一概に否定しませんが、留意点する点は多いものです。
よく組織は、2割の優秀な社員が全体を動かす、などと言われます。しかし、私のいた、芸術関係の、外部の民間組織は、凝集力が高く、出来の悪いお客さんはあまりみかけませんでした。それだけに、もっと、組織的に知識の対応をすべきではないかと常づね考えていました。ま、どのような組織も固有の問題、課題、風土があるものですが。