FC2ブログ

『講座日本風俗史 旅風俗(宿場編)』 ~詳細な《飯盛旅篭》の話、近世の辛い、憂い旅の話に引き込まれてしまいました。

 引き続き、家居をしています。
 不要不急、と言われますが、これも不要不急で、読んでいなかった本が、結構、沢山あるんです。
 一番多いのが、古書店で目について面白そうだと思って買った本ですが、読むのが、ずっと後回しになって、いまだに読んでいない本。
 これからご紹介する、

『講座日本風俗史 旅風俗(宿場編)』(雄山閣)

も、そのような本で、2,3年書架に置いたままになっていました。

20200504215944cce.jpg 

 家居が長くなり、書店の人混みも嫌なので、不要不急だった本を読むことになりました。
 余談ながら、いよいよ、アマゾン《Kindle Oasis》を注文しました。品切れ中、とかで待っています。同じ考えの人が多いのでしょうか。
 買うことにしたのは、思ったよりも、読みたい本が電子書籍化されているのに気付いたのと、目が悪くなって来たし、ま、万一コロナでホテルに幽閉されてもこれがあればいいか(冗談)と思ったのです。
 これを境に、アマゾンプライム会員になって、紙の書籍の注文も、アマゾンですることにしました。コロナをきっかけに、生活が、大きく転換したのがこのことでしょうか。

 でも、まずは、折角なので、たまっている書物を読み尽くそうと思っています。

 本書は、サブタイトルに、《旅の宿浮世のサービス物語》とあり、元値は4,200円・・1989年刊行当時は、高価だったと思います・・、大部な書籍で、写真、図版も豊富です。 因みに、買値は、1,500円。

 これを買った時は、多分、歌舞伎を観る知識の補強にと買った本だと思いますが、読み始めるとすこぶる面白い。

(以下、下記の「続きを読む」をワン・クリックしてお読みください。)

 旅が楽しいもの、というのは近代になってからで、それまでは、辛い、憂いもののようでした。
荷物はあまり持てないし、現金を持つ心配や、宿の心配もあるし、胡麻の蠅、野犬の心配もあるし、雨で何日も川を渡れない心配も・・所持金とあわせて・・心配ですし。
 そう言えば、読み終えて、今、考えると、所持した現金の相場や盗人対策には触れられていませんでした。残念ですねえ。

 書かれているのは、宿の話・・これが一番丁寧です・・、特に、飯盛女の話や、鉄火場、それに川渡し、巡礼、飛脚、関所・・と知らないことばかり出て来て新鮮な感動でした。
 宿でも、船着き場でも、人が集まると、必ず遊女、となるんですねえ。この本でも、えらく詳しく書かれています。

 さて、その宿の話の一端などをご紹介しますと・・、

 昔、普通の旅人は、このブログでも述べた「み堂」・「惣堂」に泊まり、官吏は駅家(「うまや」と言い、厩のことです。因みに、早馬は、「駅使」〈はゆまつかい(早馬使者)〉と言い、ゆっくりした馬は、「伝馬」と言いました。)に泊まりました。
 食べ物は、調理して《旅篭(はたご)》という旅具に入れて持参していました。やがて、この旅篭を宿の目印にして「旅篭屋」と言われました。

 少し立つと、〈宿〉とは、食に飢えて難渋する旅人を無料で民家に泊める「布施屋」を言いました。
 それが、やがて、自炊する燃料費だけ払う「木賃泊まり」となり、さらに、賄いが付き「木賃米代」を払う「はたご屋」に転じて行きました。

 ところで、「はたご屋」に女郎(娼婦)がおかれるのは時間の問題です。
 そう言った宿は、「飯盛旅篭(めしもりはたご)屋」と言われ、そうで無い宿は「平はたご屋」(「諸人宿」)と言って区別されるようになりました。

(余談です。品川宿の女郎は、飼料よく元気の良い御伝馬から転じた「おてんば娘」と言われ、天保5年には、500名を超えました。)

 後日ご紹介する・・これも不要不急だった・・別の書物『大江戸曼荼羅』によると(332頁)、例えば、千住宿では、文政10(1827)年、旅篭62軒中、47軒が飯盛旅篭、15軒だけが平旅篭です。すごい数なんです。

 またしても余談ですが、同書によると、江戸四宿の一つ、内藤新宿は、浅草阿部川町の名主・喜兵衛(後、高松喜六)ら5名の浅草町人が、5千両(約6億)もの大金をかけて開発しました。旨みがあるんですねえ。

 女郎(宿場女郎。「道の者」・「杓子」とも凡称されました。)が旅館にいるのが「枕付飯盛」付きの宿。
 外で客を拾わせて泊まる風を装わせた、いわゆる〈連込宿〉を「小宿」といいました。後者では、勿論、別途、宿泊料を取ります。

 なお、京では、酒宴遊戯の後に残って床入りするのを「お茶漬」ともいいました。

 なお、飯盛女を全く抱えない宿場もあり、箱根、原、丸子、掛川です。しかし、その代わり私娼がはびこっていました。何のことはありません。

 さて、飯盛女郎の料金は・・現在金額価値への換算は、非常に難しいのですが、私が、ごく単純換算してみると(以下同じ)・・
品川宿では、やや高く、1万5千円くらい、川崎宿で、5千円くらいでしょうか。他も、京を除いて、大体、5千円前後でしょうか。

 その《玉代》の配分は、大体。四六(抱主が四)ぐらい。

 話が飛びますが、女郎は、大体、親兄弟の苦境を救うため身売りされた者で、
18~20歳位、年季6年で、おおよそ10~20両(100万~200万位)、
年季9年で、15~30両くらい、で売られました。
 中には、親の年貢米支払いや賭博借金で、4歳位で身売りされ(14歳頃から客をとります)、年季13年以上、1~5両(10~50万円弱)。というのもありました。

 因みに、よく聞く、「身請け」ですが、この時、抱え主は、身請け代金の20~50%を「身洗い祝儀」として本人に渡しました。これは、知りませんでした。特に、50%というのは初見です。

 ところで、年配の名主などは、良いように女郎に蕩尽されられることも多く、
「女郎のまことと卵の四角 あれば晦日(みそか)に月が出る」と言われたりしましたが、一体に、堅気に馴染めない芸妓よりも、女郎上がりは、世話女房的になったとか。

 話を宿泊に戻して、大名や公家が泊まるのは、幕府が定めた「本陣」で、食料・食器から風呂桶まですべて持ち込みでした。
 風呂桶まで持参とは知りませんでした。
 当然、先に着いて風呂を沸かす必要がありましたから、出発も一足早く出ました。
 なお、本陣に泊まりきれない家臣たちは、は一般旅篭に分宿しましたが、これを「下宿」と言います。

 宿場には、女郎だけで無く、飛脚などの人足部屋もあり、賭場もあります。
 本書では、丁半賭博についても詳説されています。もう少し知りたいのですが、今ひとつ理解が容易ではありませんでした。

 総じて、本書は、歴史書の通史を読んでいては知れない知識を沢山得ることが出来・・、例えば、「狼煙(のろし)」は、狼の糞を燃やしたところからきたとか、
狼の糞の無いところは薬品を使い、やがて、両国の花火に発展したとか、
・・随分、楽しく読むことが出来ました。

 次回も、「不要不急で買った本の話」が続きます。★
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

Re: 残念無念

 本を買うって、めぐりあい、ですからねえ。あらかじめ読もうと思って入手する時以外の本って考えてみると結構、その時の人生に関わっているのでしょうね。
 私も、大量に処分してから、後になって後悔することが何度かありました。皆さん本にはいろいろな思いがあるんですね。

残念無念

今から15年ほど前、それまで読もうと思っていた大量の本があったのです。
「食欲の湧く本」と言ったらいいのでしょうか「読書欲の湧く本」といったらいいのでしょうか。
寝室の書庫にズラーと並んでました。
それを夫が、本なんて読みたいとき図書館から借りてくればいいんだと言って、
みんな市の図書館に寄贈してしまいました。

もう一生かかったってあれだけ食思の動く本は集められません。
夫に言わせれば私の読む本はみんな悪趣味だそうで・・・。
そのことで今でも少し夫を恨んでいます・・・。
プロフィール

感動人

Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

最新記事
最新コメント
FC2カウンター
検索フォーム
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

記事のカテゴリ
読みたいテーマを選択してください。
リンク
RSSリンクの表示