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『DIC川村記念美術館』コレクション展 ~素晴らしい絵画、広大な庭園、素敵なレストラン、で充実した一日を過ごしました。なお、現代アートは、言葉と結びついたイズムですから解説を読むことが必要です。

 『DIC川村記念美術館』(千葉県佐倉市坂戸63)のコレクション展に行って来ました。
 「コレクション展」が26日まで、また、台風被害で閉鎖されていた庭園が21日から開園し、しかも、この日(21日)は絶好の快晴。行くならこの日を逃せない、と勇んで出かけました。

 さらに、もう一つ。私自身のモダン・アート〈勉強〉の初期総仕上げ的な、
海野弘『二十世紀美術 1900-2010』(新曜社)
を読み終えたこともあります(この本のご紹介は、次回にでもします。)。この美術館は、二十世紀美術のコレクションが充実しているのです。

 館名にある「DIC」とは、大日本インキの新社名です。2代目社長の川村勝巳氏が、1990年に開設しました。
 3万坪の広大な庭園を抱えていて、池には、白鳥が泳いでいます。

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 東京駅八重洲口前から、9時55分発の直通バス(千葉グリーンバス・1,360円)で、約1時間10分です。この日、乗客は、私を含めて2名。

 美術館に到着してバスを降りると、女性係員が、来て、親切にチケット購入案内をしてくれます。
 料金は、俗に言うシルバー割引に加えてセゾンカード提示割引の両方で300円引きの700円。

 さて、この日の総括から言いますと・・、
11時過ぎに入館して1時まで作品を観て、別棟レストランで食事し、ついでに、庭園を駆け足で見て、2時からの「ガイドツアー」に参加(10名ほど参加しました。)して、帰りは、3時29分発(14時42分東京駅着)のバスに乗りました(乗車したのは3人)。

 結論は、正直、時間が足りませんでした。
 すごく美味しく、景色と日当たりの良い、レストラン「ベルベデーレ」で食べた、ステーキのコース(3,300円)は急ぎましたし、広い庭園は入り口から少し歩き、ヘンリームーア【写真】のブロンズ像まで行っただけ、それに、とうとうお茶室には入りませんでした。
 ま、絵はじっくり観ましたが、音声アプリは使いませんでしたし、欲を言えば、もっと、後2時間は観たかった。

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 各論に入ります・・、
 入口までの屋外に、早速、フランク・ステラ(1936-)の彫刻(「リュネヴィル」1994)が設置してあります。写真です。
 遠目に知らない方が写真を見ると、正面入り口脇に廃棄物が積んであるように見える【写真右端】ので、ご注意ください。

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 建物に入ると、ステンドグラスが美しい、高い天井のエントランスには、マイヨールの「ヴィーナス」のブロンズ像があります。

 順路ですが・・、
 私は、モダン・アートのほうに興味があったので、ます、2階に行きました。

 2階に上がって、最初に対面したのが、2階エントランスにあった、横に長い、イタリア画家のエンツォ・クッキ(1949-)の「無題(黄色い壁)」1987)。
 行ったり来たり何度も観ました。

 続く、201展示室は「抽象表現主義からミニマリズムへ」で、私が力を入れて〈勉強〉しているアート分野です。
 ここには、フランク・ステラの作品がたくさんありましたが、「アカハラシキチョウ」(1979)は、初見で、面白い。
 アクション・ペインティングのジャクソン・ポロック(1912-1956)の「緑・黒・黄褐色のコンポジション」1951)や、ロバート・ライマン(「アシスタント」1990)の白シリーズの作品「正方形賛歌」があり、まるで、漆喰壁のよう。

 明るく外光の入る200展示室は、ロマンティックな象徴主義者「サイ・トゥオンブリー(1928-2011)」の部屋で、例の《目の専制を逃れて》、暗闇で描いたグレイ・ペインティング作品とブロンズ彫刻の2作品があります。
(室内写真は、撮影禁止なので、同館のホームページから掲載させていただきました。)

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 さっき、モダン・アートに興味があるので先に2階に行った、と言いましたが、展示の大半がモダンアートなので、実は、1階に目玉がありました。

 106展示室は、抽象表現主義の「ロスコ・ルーム」です。
 マーク・ロスコ(1903-1970)の、7点の《シーグラム絵画》、つまり、マンハッタンのシーグラムビルに出店したレストラン《フォーシズンズ》から委託され、ロスコが、店のイメージが違うと引き渡しを断った作品です。他の9点は、ロンドンのテイト・ギャラリー(現テイト・モダン)にあります。
 薄暗い部屋で、ソファに座って、石庭を味わうように、しばし、ロスコの世界に浸りました。

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 110展示室の、主観を退けた(余分な要素を削ぎ落とした)、かつ、《ハード・エッジ》(色面の輪郭が目立つ作風)の「エルズワース・ケリ-(1923-2015)」の部屋。
 105展示室の、キネティック・アートつまり、モービル作品(動くアート)の「アレクサンダー・カルダー(1898-1976)」の部屋。

(以下、下記の「続きを読む」をワン・クリックしてお読みください。)

 103展示室の「初期抽象派」と104展示室の「シュルレアリズムとその展開」は、メリハリが効いていて観ていて面白い。

 前者の、〈抽象画の創始者〉、ヴァシリー・カンデンスキー(1866-1944)の色彩・構図は、やはり素晴らしいし、
指揮者ゲオルグ・ショウルティの従兄弟、ハンガリーから独、さらには米国に亡命し、「フォトグラム」を命名したラースロー・モホイ=ナジ(1895-1946)の作品(「全てのものは、見たとおりではない。」と言いました)や
ロシア・アヴァンギャルドのナウム・ガボ(1890-1977)の立体彫刻も面白い。

 ロシアのカジミール・マーレビッチ(1879-1935)は、シュプレマティズムですが、私は、絶対主義と知っており、ここでは至高主義と訳していました。
 自然から意味を汲み取る印象派に対して、精神や空間の絶対的自由を主張しました。

 後者の、マン・レイ(1890-1976)の彫刻「夢/育児法」や、
ジャン・ティンゲリー(1925-1991)の廃棄物で造ったような「真夜中です、シュバイツアー博士」は、思わず笑ってしまいます。
 マックス・エルンスト(1891-1976)の、ドアに描かれた「入る、出る」も面白く、「石化される森」はインパクトがあります。

 ルネ・マルグリット(1898-1967)の「冒険の衣服」(1926)は、14歳の時に入水自殺した母親との関連が語られる名画ですが、そういうことを聞くと、この絵にぐっとひかれてしまいます。後で述べますが、現代絵画は、解説と画家の伝記を知る必要がある由縁です

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 ここに来るまで、各部屋1~2名いる監視の女性以外、人に会いませんでした。

 最後に、101展示室「印象派からエコールド・パリへ」、102展示室「レンブラント」(「広つば帽を被った男」1635)。
 本当に、素晴らしい作品を収集していますね。
 ここでは、いわゆるモダン・アートでは、無いので(萌芽の画家はいますが)、取っ付きやすく、入場者も他に3,4名いました。

 ロダンピサロモネ(「睡蓮」1907)、ルノワール(「水浴する女」1891)、マティスボナールブールデルブラックピカソ藤田嗣治(レオナール・フジタ)、シャガール(「ダビデ王の夢」1966、「赤い太陽」1949)、ブランクーシ・・・。

 私は、藤田嗣治の「アンナ・ド・ノアイユの肖像」1926)にひかれました。未完成ですが、かえって背景の白が印象的です。

 充実した、楽しい一日でした。

 欲を言うと、館所有のコレクションなのですから、解説パネルを、一度きちっと作って、それを機会あるごとに絵の近所に掲げたほうが良いと思います。その理由は、次に述べます。館のホームページには、よく書かれた解説がアップされていますので、それを発展すれば難なく出来るでしょう。

 なお、老婆心ながら、もし、解説パネルを掲げるときは、高齢者も苦労せずに読めるように、大きな太い活字で、明るい位置で、お願いします。

 毎月第3土曜日に行われるという「対話型ギャラリートーク mite!」と言うのに興味があります。〈勉強〉して、今度、是非参加してみたいと思っています。

 それにしても、良い一日でした。やや気合いが入って、さすが、腰が痛くなった。歳ですねえ。

 最後、余談ですが・・、
 現代美術の見方で、よく「自由に味わいなさい」、という識者がいます。
 味わうのは、確かに自由で良いのですが、「理解する」ためにはこの言い方は不親切です。「現代アートは、解説も見なさい、画家の伝記も知りなさい」と言うべきでしょう。
 
 現代アートは、言葉、イズムと結びついているのです。
 ですから、現代アートは、解説・批評が必要で、また、作家の伝記も、作家の表現の元を知るために必要です。ある程度〈勉強〉が欠かせません。

 このようなことから、現代アートの時代は、クレメント・グリーンバーグハロルド・ローゼンバーグハーバート・リード・・等等「批評家の時代」でもあったのです。
 解説、批評を見つつ観賞すれば良いのです。
(ただ、1960年代に〈コンセプチュアル・アート〉が出て来て、画家自身が自分の絵を解説するようになって、批評家の出番はなくなったという時代がありましたが(「美術批評解体」)。)

 この様な背景を知って、批評家の解説・批評は知る必要があると、理解しておいてください。

 ただし、その批評家が、また、いろいろな言葉を作りました・・、
 ポスト・ペインタリー・アブストラクション、ハード・エッジ、カラー・フィールドなど、
同じようなことを、人によって違う言い方をするものですから一般人はますます混乱します。

 私なりのアートの見方の勘所と思うのは・・、

 まず、その絵が表現(対峙)しているのは、外の世界か、内なる世界(つまり作者自身)か。それは、対象美術(具象・形象)か、非対称美術(抽象)かでもあります。

 さらに言うと、外の見える世界をとらえたリアリスティック(現実的)な絵画か、 
ロマンティック(抽象表現的)な、感情・主観・内面を描いた、感情移入(表現)的な絵画か、でもあります。

 ロマンティック(抽象表現的)な絵画には・・、
ゴッホ、ゴーギャンからカンディンスキー、フォービズム、ドイツ表現主義(1910-22)、象徴的シュルレアリスム(ミロなど)、
さらには、抽象表現主義、アクション・ペインティング、カラー・フィールド・ペインティング、ポスト・ペインタリー・アブストラクション、などがあります。源流に印象派もあります。

 〈表現主義〉など、1910~22年代、1940年代(抽象表現主義)、1980年代(新表現主義)など3時代ほど出て来ますが、描く人の内面を表す、という基本を押さえておけば、だいたい後は想像出来ます。

 次に、絵の構造が、美的な法則をとらえたものか・・、
セザンヌ、点描主義、キュビズム、さらには、ミニマルアート、構造主義、
 現実の彼方をとらえたシンボリックなものか・・、
ムンク。キリコ、さらには、形象的シュルレアリスム(ダリ)などです。

 これらは、近日、このブログでアップする、
海野弘 『二十世紀美術 1900-2010』(新曜社)
に詳しく書かれています。
 もし、理解が間違っていたら、ご寛恕ください。これからもっと、勉強します。★ 
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プロフィール

感動人

Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

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