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オペラ『トスカ』(全3幕) ~私のオペラ好きの原点である、粟国淳さんの演出とトスカ役・岡田昌子とオーケストラの熱演で、心から楽しめました。

 11月10日(日)日比谷・日生劇場で、ジャコモ・プッチーニ作曲

オペラ『トスカ』(全3幕・イタリア語上演)

を観賞しました。席は、S席、中央・最前列です。

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 先日の、「カルメン」は、期待外れでしたが、きょうは、感動しました。「トスカ」は、2017年2月にもこのブログで書いています。
 それにしても、日生劇場のオペラで、ホール入り口には、いつも、スーツ姿の管理職っぽい人々が、大勢ズラリと、L字型に囲むように一列に並んでいます。初めての人は気後れするんでは。

 私事になりますが、私は、定年退職後、ある芸術文化財団の事務局長を勤めました。
 そこで、演出家の粟国淳(あぐに じゅん)さんに知り合いました。今日の、「トスカ」の演出家です。

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 私が、オペラ好きになったのは、事務局長だった時に製作・主催したオペラで、粟国さんが演出され、第一回目の顔合わせから、ピアノ・リハーサル、ズイッツプローベ(座り稽古)、オーケストラ付きリハーサル、ドレスリハーサル、テクニカルリハーサル、最後のゲネラルプローベまで、何回も、何回も、そして、本番も公演全公演、観てからです。
 それで、オペラが分かり、俄然、好きになりました。

 以降、粟国さんのファンともなり、氏のオペラは、東京以外、横浜は勿論、名古屋であろうと松山であろうと聴きに行っています。追っかけ、のようなものです。
 今回は、その粟国さんの演出です。昨年から、日生劇場の参与にもなられて、日生劇場では、イベントも含めて、頻繁に登場されるようになりました。
 10日も、ロビーでご挨拶しました。相変わらず、ダンディーな、トーン・オン・トーンのスーツ姿です。

 今回は、そのイタリアで育った粟国さんと、イタリアのキジアーナ音楽院出身で、ローマ歌劇場などで、ジャンルイジ・ジェルメッティの薫陶を受けた指揮者・園田隆一郎のタッグで、妙な読み替え新制作などしない、ヨーロッパの「風」に触れられました。

 そう、この間の「カルメン」の様な複雑な〈読み替え〉をせず、かといって、毎回、進歩があります。
今回は、カヴァラッドシの拷問されるところやナポレオン軍がマレンゴの戦いに勝利したところを、それとなく映像で見せ、一層、物語が分かりやすくなりました。

 つまり、ポイントを理解し易い演出だと、音楽のほうに集中できることに、改めて気づきました。耳に入るのです。例えば、今更ですが、「星はひかりぬ」のメロディーが何度も出てくるのも、気がつき、味わえました。

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オペラ『カルメン』(全4幕) ~《ゲネプロ》と《本公演》、2回観ました。予め、演出家の話を聞いていたので、《読み替え新演出》でも隅々までよく理解できました。〈結末〉まで熱演光るフラスキータ役・青木エマ。翌日、朝食の隣席に指揮者ケーニックさんが !!

 神奈川県民ホールで、ジョルジュ・ビゼー(1838-1875)作曲の

オペラ『カルメン』(全4幕)

を、
10月18日(金)14時から、《ゲネプロ(総仕上げリハーサル)》、
20日(日)14時から、《本公演
と、2回(2日)観賞しました。

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 本公演での席は、中央・最前列です。
 なお、リハーサルは、下手舞台に張り出した、2階最前列だったのですが、「音」は、確かに、こちらの方が良いですねえ。
それに、今回は、最前列だと、舞台上の〈レッド・カーペット〉は見えません。
 ただ、私は、視力も落ちているし、細かい表情を観たいので、これからも最前列にします。

 《ゲネプロ=ゲネラール・プローベ(総仕上げリハーサル)》は、チケット購入者約200名の参加で行われました。
 当日、リハーサル終演後、演出家・田尾下 哲さんのトークがあり、その後半の質疑では、結構、議論が白熱して有益でした(その内容は、後述します)。
 と、言うのは、後述のように、今回の演出は、物語を、21世紀のショー・ビジネスの世界に置き換えた新演出だからです。
 私も、演出家のトークを聴いて、始めて府に落ちたところや、見落としていた細部に気づきました。
 いきなり本番観賞だと、ちょっと理解出来なかったかも知れませんでした。その意味で、賛否両論ある公演だったと言えましょう。

 なお、18日(金)は、午前中、「神奈川近代文学館」(中島 敦展)に行き、
20日(日)終演後は、ほぼお隣の「ホテルモントレ横浜」に泊まって、ブログの下書きをして、
21日(月)は、「横浜美術館」(ルノワールとパリに恋した12人の画家たち)に行きました。そのお話は、後日にします。
 ところで、ホテルの朝食の隣席に、指揮者ジャン・レイサム・ケーニックさんが、連れの(お付き ?)若い男性と来られました。ここに泊まっておられたんだ・・。

 それはそうと、余談になりますが、オペラ「カルメン」については、青春の思い出があります。
 私が、ちょうど、クラシック音楽に興味を持ち始めた高校生の頃、カラヤン=ウイーンフィルの『カルメン』全曲盤レコードを買いました。確か、1963年収録版でしたか。

 分厚い全曲ヴォーカル・スコアや、美術冊子、解説書などが付録に付いて羊皮背表紙のボックスに入った超豪華限定版でした。演奏についても、今でも、「レコード史に残る金字塔」と言われています。
 私は、レコード店のおばさんに、おずおずと、「ポイント分の割り引き」を交渉し、清水の舞台から飛び降りた気持ちで大枚をはたいて買ったのを覚えています。
 それから、毎日、近所の迷惑も顧みず、ヴォリュームがんがんで聴いていました。
 因みに、私は、その後、バーンスタインのファンになり、カラヤンのレコードを買ったのはこれが最初で最後でしたが。

 さて、閑話休題。「カルメン」です。
 先ほども述べましたが、今回の公演は、21世紀のショー・ビジネスの世界に舞台を置いた《読み替え新演出》です。コンセプトは、《ショビズ・カルメン》とか。

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国立劇場十月歌舞伎公演 『通し狂言 天竺徳兵衛韓話』を、総文字数 約4,800字で詳説予習します。奇想天外、大仕掛け、ケレンの面白さに満ちた、まさに大〈芝居〉です。

 物語を読むと、ケレン【見た目の面白さや奇抜さを狙った芝居の演出】たっぷり、まさに、江戸の芝居を観るよう。
 主役が、火を吹く蟇(がま)に乗ったり、舞台の本水に飛び込んだら濡れずに揚げ幕から上下衣装に早変わりで登場したり、生首を抱えて花四天【捕り手】と争ったり、何度も蛇(蛙の天敵です。)が出たり、花道で蟇の縫いぐるみが割れて早変わりしたりと、面白さ満載です。
 だいたいが、世界初の廻り舞台を考案した、アイデアマン並木正三の台本が面白い上に、鶴屋南北が改稿したのですから、面白くないわけがありません。
 きょうは、国立劇場・十月歌舞伎公演

『通し狂言 天竺徳兵衛韓話』

を詳しく予習してみます。約4,800字になります。

 この原作は、四世鶴屋南北(1755-1829)の、
『通し狂言 天竺徳兵衛韓話(てんじくとくべえ いこくばなし)』
で、1804(文化元年)に初演されたこの作品を、1972年(昭和47)年に国立劇場が、74年ぶりに復活公演たものを、今回さらに補綴しています。
 その補綴の結果、新たな公演史がどう出来るか楽しみな公演です。

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 本作は、もともと、先日ご紹介した、大島真寿美 『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』に登場する、並木正三が書いた、
『天竺徳兵衛聞書往来』(宝暦7年【1757年】、大阪大松座初演)
を、近松半二が、人形浄瑠璃の丸本に書いた、
『天竺徳兵衛郷鏡(てんじくとくべえ さとかがみ)』(宝暦13年【1763年】)を、さらに、明和5年【1768年】、江戸中村座が、
『天竺徳兵衛故郷取楫(てんじくとくべえ こきょうのとりかじ)』として上演しました。

 それを、文化元年【1804年】、江戸河原崎座が盆狂言(夏芝居。夏期は、大名題差絵なし、書出しも2,3枚で、主要な役者一人、後は若手、下廻りだけが演じます。)として、初代尾上松助(後、梅幸)が、座の立作者(当時、奈河七五三助)では無い、二枚目の四世鶴屋南北(当時、勝俵蔵。49歳)を抜擢して書かせた、
『天竺徳兵衛韓話(てんじくとくべえ いこくばなし』
が当たったもの(7~9月)です。
 翌年(1806年)には、市村座で、
『波枕韓聞書(なみまくらいこくのききがき)』、
 その後、1808年市村座『彩人御伽子』、1809年森田座『阿国御前化粧鏡』・・と様々に面白い趣向で進んでいます。

 ところで、主人公の天竺徳兵衛(1612-1695?)ですが、実在し、播磨国加古郡高砂町の塩商人の家に生まれ、1626年、15歳の時に京都角倉家の朱印船貿易に係わって書記役として、ベトナム、シャム(タイ)、さらには、ヤン・ヨーステンと天竺(インド)に渡り、帰国後、大阪上塩町に住み、外国商品店を営み、後、僧侶となり、幕府が鎖国政策をしいた後、見聞録「天竺渡海物語」を書いて、長崎奉行に提出した、知識人です。
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 因みに、高砂は、「百人一首」の「誰をかも知る人にせむ高砂の松も昔の友ならなくに」の松の名所です。 
 あまり珍しい経験をしたことから、いつの間にか、芝居で、妖術遣いの悪党にされてしまったのは、まことに気の毒ではあります。

 天竺徳兵衛は、並木正三作品では、高麗国の臣・正林桂の一子、七草四郞となっていて、三好長慶から妖術を授けらる物語になっています。近松半二作品では、吉岡宗観、実は、朝鮮の木曽官の子で、宗観から妖術を授る筋書きになります。

 物語梗概をご紹介しますと・・・、

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オペラ『ヘンゼルとグレーテル』(3幕)~最高 ! 素晴らしい演出。ダンスが融合して、もう、ミュージカルを超えた舞台です。

 昨夜、遅くまでソヴィニーの「フランス史」を読んでいて、起きたら8時過ぎ。雨があがって暑い陽ざしでした。
 6月16日(日)13時30分から、《日生劇場》の、
ヤーコブ(1785-1863)とヴィルヘルム(1786-1859)のグリム兄弟原作
アーデルハイト・ヴィッテ台本
エンゲルベルト・フンパーディンク作曲の

オペラ『ヘンゼルとグレーテル』(3幕)

を楽しみました。

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 席は、例によって、S席・中央最前列です。ただ、指揮者の真後ろから少し外しています。
 日曜日のマチネーとあって、若い人が多い。女性は、皆さんお洒落をしています。
 演目のこともあって、随分、子どもも来ています。綺麗なドレス姿の女の子もいます。ドイツでは、この演目は、クリスマスに家族で観劇するそう。
 開幕前には、大勢の子ども達がオーケストラ・ピットをのぞきに来ていました。

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 今日の舞台は、最高でした

 まずは、演奏が、縦の和音と横のメロディーのバランスが素晴らしく、良く聞こえ、多い楽器の種類で、色彩豊かな楽器奏法をし、打楽器も多く、また、バス・クラリネットも使って、「人間の奥底の声」を出しているなど、素晴らしい演奏です。こういう演奏は、まさに、クラシック演奏ならではで、ミュージカルを超えるところです。

 そして、振付け。ダンサーだけで無く、声楽陣も含めて、全シーン踊っています
 すでに、序曲からダンスを見せます。ダンスが見事に融合して、これは、ミュージカルです。楽しい民族風オペラをはるかに超えています。

 舞台セットも美しく、展開が早い。声楽陣は、客席も走ります。

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 今日、子どもが随分いましたが、この舞台を観たら、きっと、舞台がやみつきになるでしょう。
指揮・角田鋼亮(こうすけ)
新日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:C・ヴィレッジシンガーズ、パピーコーラスクラブ、松戸児童合唱団、初音の杜ジュニアコーラス、
ダンサー:久保田舞ほか13名

演出、振付・広崎うらん
 素晴らしい演出と振付けです。

舞台監督・幸泉浩司、音響・佐藤日出夫
美術・二村周作、照明・中川隆一、衣装・十川ヒロコ、ヘアメイク・田中エミ

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オペラ『コジ ファン トゥッテ』~ 「プレトーク」+「オペラ」+〈裏話満載〉の「フォーラム」、と約7時間を日生劇場で楽しみました。オペラ演出は、まさに、「転換可能な私たちの舞台」の趣で、動きも多いエンタメ舞台です。声楽では高橋薫子の声が良い。

 11月10日(土)14時から、日比谷・日生劇場で、
作曲・ヴォルフガング・アマデウス・モーツアルト(1756-1791)、
台本・ロレンツオ・ダ・ポンテ、による
ドランマ・ジョコーソ(愉快な劇=オペラ・ブッファ)、

『コジ・ ファン・ トゥッテ』

を鑑賞しました。
 会場で、久しぶりに演出家、粟国淳(あぐに じゅん)さんにお会いして、ご挨拶しました。氏は、今度、この劇場の〈技術参与〉に就任されました。

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 昔は、「コシ・ファン・トゥッテ」と言われ、粟国さんもそう発音されていましたが、今は、原音に近く発音し「コジ・ ファン・ トゥッテ」としています。
 初演は、1790年、ブルク劇場(ウイーン)です。
 今回は、演出上、『女はみんなこうしたもの』ではなくて、台本のように「コジ ファン トゥッテ あるいは恋人たちの学校」と言ったほうがよさそうです。
 観た席は、S席、1階最前列です。ところが、両隣以降5人、鑑賞マナーが最低で(計4回も出たり入ったり! 何度注意してもお喋りしたり、信じられないほどでした。招待客かな。 )

 今回は、オペラ鑑賞当初からのファン、高橋薫子と、近時注目している嘉目真木子が出演していますので楽しみにしていました。
 高橋薫子さんは、2011年11月に、「北とぴあ」で、寺神戸亮指揮・演出のバロック・オーケストラ公演で、同じデスピーナ役を演じていました。その時、ファンになったのです。今回も、最初の一声で、その艶のある良い声に感動しました。

 このオペラは、アンサンブル・オペラの頂点の作品と言われながら、初演後約200年間注目されなかったのは、2組のカップルの男性2人が、別人に化けて恋人の女性を誘惑して試す、という女性蔑視、軽佻浮薄と思われる内容だからでしょうか。
 しかし、リヒャルト・シュトラウスが認めて以来、現在では、「喜劇文学の珠玉の作品」とも、「無比の」作品とも言われています。
 オペラ自体のこのブログでの《予習》は、2011年7月21日付けで詳細に書いてありますので、是非、ご一読ください。

 さて、この日は、開演前12時40分から・・、
(余談ですが、劇場入り口には、12時30分に入場させるまで、ずっと「開演:13時00分」の看板が出ていたので、来場者が皆、戸惑っていました。不手際 !  私、チケット売り場の職員に看板のことを話すと、「心得ております」と。何を心得ているのかな。どうも、この日は最先が悪かった。)

・・演出・菅尾友×ドラマトゥルク・長島確の「ミニ・トーク」
があり、

・・さらに、終演(17時15分頃)後、一旦劇場を出て、再び18時半から(20時半過ぎ頃まで)は、同じホールで、主に若手舞台関係者向けという、
『日生劇場舞台フォーラム・オペラ「コジ ファン トゥッテ」転換可能な私たちの舞台』
が開催されました。

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 この「フォーラム」は、演出・菅尾友、美術・杉山至、照明・吉本有輝子、衣装・武田久美子、映像・山田晋平がパネリストで、司会は、新たに日生劇場参与になられた演出家・粟国淳(写真、左から2人目)さんです。
 この催しは、昨年までは、オペラ初日の前日に行われていて(で、いつもは、近所のホテルに泊まっていて、これも楽しみではありましたが。)、今年からは、公演後の夜となったものです。オペラ鑑賞後の連続は、ややキツいものがありますが、粟国さんが出られるのでは見逃せません。
 実際、粟国さんは、演出家なので、司会、質問が水際立って巧い。収穫です。
 余談ですが、オペラ後、フォーラムまでに、慌てて、近くの〈フレッシュネスバーガー〉を食べましたが、バーガーもポテトも、失礼ながら〈マック〉よりも、実に美味しい。

 さて、肝心なオペラのお話しです。

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オペラ『アイーダ』(4幕) ~やはり素晴らしいバッティストーニ。格段に成長して貫禄が出て来た清水華澄。いきなり引き込まれた情感豊かなモニカ・ザネッティン。迫力あるバレエと・・文句なく楽しめた公演でした。

 よほど会心の出来だったのでしょう、清水華澄
2度目のカーテンコールで、舞台床に、えっ、何、正座するの ? と思ったら、床をポンポンと、叩き、会心の笑みでした。

 このオペラ、当初、10月上旬に、札幌文化芸術劇場のこけら落とし公演で、バッティストーニ指揮で、ファンである清水華澄の「アイーダ」公演があると知った時に、是非観たい、「行くか・・」と思っていましたら、神奈川公演もあったのです。良かった。

 20日(土)14時から、神奈川県民ホールで、ローマ歌劇場との提携公演(新製作)、

オペラ『アイーダ』(4幕)

作曲・ジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)、初演:1871年カイロ、
を観ました。
 席は、S席、1階最前列です。

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 この日は、横浜に行ったら必ず買う、「喜久屋」の〈ラム・ボール〉を買いました。

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スタッフは・・、

指揮・アンドレア・バッティストーニ
=東京フィルハーモニー交響楽団、二期会合唱団
演出・ジュリオ・チャバッティ
(原演出・マウリツィオ・デイ・マッティア)
装置・アンドレア・ミーリオ
照明・パトリツィオ・マッジ
衣装・アンナ・ビアジョッティ

 やはり、アンドレア・バッティストーニ。
激しく首を振る指揮ぶりで、オーケストラを見事に鳴らせます。かといって、声楽陣を妨げない、繊細さ。凄い指揮ぶりです。
(どうでも良いのですが、「イル・トヴァトーレ」以来2年ぶりにお見受けして、随分、太られたのでは。)

 余談ですが、オーケストラ・ピットの中を見ると、激しい金管楽器が多いせいか、弦楽器奏者の脇には、いろいろな種類・大きさの、透明プラスチックの遮音板がありました。始めて見たので、脇の方とひとしきり会話が弾みました。写真を撮ろうとしたら、会場整理のおねえさんに止められました。

 装置では、4幕第2場の、 上部の、黄金に輝くウルカヌス【火の神】の神殿内部と、下部の、地下室の2段に分かれているところの舞台装置が、やや曖昧で分かりにくいとも思えましたが。

声楽陣・・、

アイーダ・モニカ・ザネッティン
ラダメス・福井敬
アムネリス・清水華澄

 繰り返しますが、アムネリス役の清水華澄が、格段の成長、上出来で、〈貫禄〉すら感じました。
 この役は、たしか、2011年に、粟国淳さん(この方も、私は、ファンです。)演出で、アムネリス役だったのですが、東日本大震災の計画停電で、神奈川公演が中止になったのでしたね(びわ湖ホールは上演)。いまだに残念に思っています。

 以来、私が観た、「メデア」、「ドン・カルロ」、「イル・トヴァトーレ」、「ローエングリーン」、「ルサルカ」・・で実力を重ねて来られましたが、今回は、主役級で、しかも、若いながら、〈貫禄〉がついてきました。これからが、ますます楽しみです。

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オペラ『魔弾の射手』を鑑賞しました ~オペラ・ファンと宝塚「大和悠河」ファン、熱狂のスタンディング・オベーション。コンヴィチュニー演出にしては、楽しさ満載の一夜でした。

 危険な暑さ・・、7月18日(水)、18時30分から、上野・東京文化会館で、
3幕のロマンテック・オペラ、

 『魔弾の射手』(3幕)

作曲・カール・マリア・フォン・ウエーバー(1786-1826)、
台本・フリードリヒ・キント、
を鑑賞しました(1821年初演)。席は、S席中央最前列です。
 英語と日本語の字幕付き原語歌唱/日本語台詞で、〈新演出〉です。

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 余談ですが、以前観た、
映画「魔弾の射手」(2010年)、指揮・ダニエル・ハーティング=ロンドン交響楽団、
制作、監督、台本・イェンス・ノイベルト、
は、正統派で、良く出来ていました。

 今回、
演出は、ペーター・コンヴィチュニー
指揮は、アレホ・ペレス
 =読売日本交響楽団&二期会合唱団
 テンポの速い演奏で、迫力があります。

 鑑賞前には、相当〈構えた〉コンヴィチュニー演出ですが、この日は、若干予習の成果もあるのか、すこぶる分かりやすく、楽しめた演出でした。

 私は、コンヴィチュニー演出のオペラを、すでに、
2013年5月1日「マクベス」(指揮・アレクサンドル・ヴェデルニコフ)、
2011年2月22日「サロメ」(指揮・シュテファン・ゾルテス)
を観ています。また、
6月27日(水)には、「ペーター・コンヴィチュニー『演劇についての新たな考察」も聴講しています。

 この舞台で、元宝塚スター、大和悠河(ゆが)
が、悪魔(猟魔)ザミエル役(台詞役)で出るので、客席では、「キャー!!」とか、日頃のオペラに無い声援が入ります。
 冒頭、最初の登場で、2列目の一団の「キャー!!」と拍手で、これからの鑑賞を心配した位です。
 余談ですが、12本のスタンド花がありました。「増田惠子さん贈」のもありました。

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 で、自然と、オペラ声楽陣も対抗心 ? が入るのか(私の印象です)、出来が素晴らしい。特に、
クーノーの一人娘アガーテ・嘉目(よしめ)真木子
親戚の娘エンヒェン・冨平安希子
は、熱演が光りました。
 私、嘉目さんのファンです。
 冨平さん、台詞で、「白い鳩」を「白い鷹」と言い間違えましたが、ご愛敬です。

 もう一人、ヴィオラ・ソロの、
ナオミ・ザイラー(ハンブルグ州立歌劇場管弦楽団主席奏者・客演)
の演奏と演技は光ります。良かった。
 ザミエル役ですから、大和悠河がヴィオラを弾ければこの役もやったのでしょうが、勿体ない。

 で、まずは、大和悠河の感想は・・、

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東京二期会『魔弾の射手』プレトーク」、ペーター・コンヴィチュニー「演劇についての新たな考察」を聴講しました ~コンヴィチュニー演出の醍醐味が理解でき、多くの《謎》が解けました。宝塚の、大和田悠河さんも飛び入り出演しました。

 6月27日(水)19時から21時過ぎまで、東京ドイツ文化センターホール(GOETHE INSTITUT。青山一丁目)で、

ペーター・コンヴィチュニー「演劇についての新たな考察」

を聴講しました。席は、最前列。

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 話も、通訳も的確で、実に充実した2時間余でした。
 こんなに、《立ち入った》解説があるとは、予想外で、嬉しくなりました。コンヴィチュニー(敬称略)は、通訳が心配するのもお構いなしの《ネタバレ》満載です。いいんですよ、オペラの舞台なんですから、演出意図の話は、《ネタバレ》とは違います。その点、通訳は、誤解しているのでは。この話が無ければ、講演の意味がありません。

 宝塚の、大和田悠河さん(悪魔ザミエル役)も飛び入り参加です。何と美しい。
 大和田さんの役どころも、コンヴィチュニーから詳細な解説がありました(後述)。
 聞き手は、森岡実穂(中央大学経済学部准教授・英文学。写真、向かって左端。何れの写真も許可ある撮影です。)

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 ペーター・コンヴィチュニーは、指揮者・フランツ・コンヴィチュニー(1901-1962)の息子で、1945年生まれ。ライプツィヒ歌劇場主席演出家です。
 私は、既に、2013年5月に「マクベス」を、2011年2月に「サロメ」を観ています。
「サロメ」の時は、凄いブーイングでしたが、コンヴィチュニーにとって、ブーイングは勲章のようなものです。

 今回は、7月18日に観劇する予定の、3幕のロマンテック・オペラ・『魔弾の射手』(3幕)の《プレ・ソワレ》です。
 この日は、19時から開演で、ゆっくり楽しみたいので、終了後は、お隣の、「富山県赤坂会館」に1泊しました(シングル、朝食付き8100円)。いつものことです。15時にチェックインして、一休みしてから会場に向かいました。

 話の前半は・・、
 過去にコンヴィチュニーが演出した3つのオペラを中心に、どのような演出意図があるかを、映像で〈解明〉していきました。
 その要諦は、「世にある多くの演出の様に、テキストだけ、物語だけを舞台化しない」ということでしょうか。その意味で、原台本のト書きは、無視されます。

 まず、1995年にライプチヒで公演された、チャイコフスキーのオペラ「エフゲニー・オネーギン」2幕2場での、普通行われるバレエシーンが、コンヴィチュニーは気に入らない。
 で、オネーギンが、親友レオンスキーを殺しての「ポロネーズ」では、バレエでは無くて、オネーギンが死体を抱いて、慟哭して、ダンスします。
 通常、この後の休憩後に演じられる、親友の死を悼む心情を、休憩前にポロネーズに重ねて見せたわけです。
 オネーギンの嘆きと音楽のコントラストで、感情の摩擦が描かれます。

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ヘンデルのオペラ『アルチーナ』 ~2組の恋が成就し、すべてを失った女王の物語を、新鋭歌手陣の渾身のダ・カーポ・アリアと、美しい古楽演奏で堪能しました。

 5月20日(日)14時から、「めぐろパーシモンホール」で、〈二期会ニューウェーブ・オペラ劇場〉、
ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル(1685-1759)作曲の、

オペラ『アルチーナ』(HWV34)

を鑑賞しました。
 席は、S席最前列。このホールは、実に、観やすく、座席も少しスライドして楽です。

 物語のあらすじは、《予習》の、3月9日をご覧ください。
 余談ですが、前日の19日の公演を選んでいたら、夜、冷たい北風の中を帰宅するところでした。20日は、抜けるごとき晴天、暑からず寒からずの絶好の外出日和でした。
 ホールは、渋谷駅から東急東横線で約10分、「都立大学駅」徒歩7分のところにあります。

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 二期会公演は、大概そうですが、この日は特に、〈ニューウェーブ・オペラ劇場〉という、二期会オペラ研修所を出て3年以内の若手俊英歌手を中心にしたキャスティングで、出演者の知り合いが来ているのでしょうか、ドレスアップした女性が目立ちました。
 舞台も、超ベテラン勢のオペラとは違った、新鮮で懸命な盛り上がりと、発見のある、印象に残る、良い公演でした。
 〈ニューウェーブ・オペラ劇場〉では、過去に、『ジューリオ・チェーザレ』(2015-5-23)や『子供と魔法』(2012-5-23)などを観ています。

 演目は、《バロック・オペラ》です。〈バロック〉とは、〈いびつ〉なを意味するポルトガル語〈バロッコ〉が語源ですが、17世紀以前の端正な古典的建築作品と比して、18.9世紀の建築作品の揶揄から来ています。
 レチタチーヴォダ・カーポアリアの組み合わせで、心象風景を描いた演出です。
今回、私は、アリアを徹底的に楽しもうと、十分な予習をして行きました。

 若手歌手陣は、皆、頑張っていました・・、

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ヘンデルのオペラ『アルチーナ』をもう一度《予習》します ~今度は、物語の〈場〉ごとの進行を詳述してみます。

 5月20日(日)に鑑賞予定のヘンデルの

バロック・オペラ『アルチーナ』

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 すでに、3月9日に、〈予習〉していますが、大幅に〈増補〉し、場ごとの進行を書きました。
 この物語は、恋と嫉妬と騙しが錯綜する、心理的な物語です。
しかも、ダ・カーポ・アリアが、25曲近くありますので、話が混乱してしまいがちです。

 〈ダ・カーポ・アリア Da kapo aria〉とは、歌詞が、AーBーAの三部形式で、Bで、最初のAに戻るアリアです。
 歌手は、2度目のAに、楽譜に書かれていない装飾的パッセージを自分で作って歌います。
 〈ダ〉は、英語のfromと同じ「~から」という前置詞です。余談ですが、ダ・ヴィンチは、ダヴィンチ村から来た、のイメージがあります。
 
 鑑賞が間近になりましたので、ここで、人物と物語を整理して、再予習してみます。まさに、《手習帳》です。

 「物語」の大きな流れ自体は、既に予習していますが、それを再録したうえで、その後に、さらに詳細に、舞台の進行にしたがって、「場」ごとの流れを詳しく書いてみます・・

 ◆まず物語の大きな流れは・・・、

 パレスチナにおける十字軍の聖地回復の頃、とある魔法の島。
 この島では、女王で魔女のアルチーナが、男達を島に誘い込んでは誘惑し、飽きると、その姿を石、木や動物に変えてしまいます。
【アルチーナは、ホメロスの「オデュッセイア」のキリケの様な妖女】

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オペラ『ノルマ』~ベルカントの競演に、熱演の大村博美。《コンチェルタンテ・シリーズ》って、単に演奏会形式のこと ?

 人、人、人・・の渋谷駅周辺は、あまり行きたくない場所です。
 人をかき分けるのが嫌なので、ハチ公前から、東急百貨店本店行きの無料シャトルバスに乗りました。同店7階のジュンク堂書店を見てから、同店8階から3階に降りるエスカレータで、
Bunkamura、オーチャード・ホールへ。

 3月18日(日)、2時から、
オペラ『ノルマ (2幕)』(ヴィンチエンツオ・ベッリーニ)
を観賞しました。

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 席は、《見にくい》このホールでは、極めて良い席の、20列上手席。
 しかし、毎回、最前列で観ているので、やはり遠い感じがします。
 
 第一回の、《コンチェルタンテ・シリーズ》公演、と銘打たれていますが、見終わってみると、単なる、演奏会形式、セミ・ステージ公演です。
 舞台のオーケストラ後部に、さらに高い舞台がしつらえてあって、そこで歌われます。合唱団は、その後ろです。
 ・・と、そういう意味では、いつもの最前列だったら、見上げる感じだったでしょう。そこは、この席で良かった。

 《コンチェルタンテ・シリーズ》。確かに、舞台背面に動画、写真が照射されますが、クライマックスの炎(ま、これもありふれていますが)を除いて、あまり関係の無い画像です。
 音楽と釣り合わない、緊迫感あふれる序曲に長閑な風景・・、などと、今、流行の、もっと凄いプロジェクションマッピングを期待していましたが期待外れ。期待させるような、新しいネーミングは止めてほしいところです。
 演奏会形式、でいいじゃあありませんか。音楽に集中できる長所があるんですから。(でも、演奏会形式なら、わざわざ行かなかったかも・・。)
 演出は、菊池裕美子。先日、プレ・イベント(ミニ・ライブとトーク)で話を聴いたところですが、今回、あまり評価しません。

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ヘンデルのオペラ『アルチーナ』 ~愛する男の心を操れなかった魔女の悲劇。〈二期会ニューウェーブ・オペラ劇場〉を予習します。

 5月20日(日)に鑑賞予定の

オペラ『アルチーナ』(HWV34)

を予習します。

 物語は・・・、

 パレスチナにおける十字軍の聖地回復の頃、とある魔法の島。
 この島では、女王で魔女のアルチーナが、男達を島に誘い込んでは誘惑し、飽きると、その姿を石、木や動物に変えてしまいます。
【アルチーナは、ホメロスの「オデュッセイア」のキリケの様な妖女】

 アルチーナが、人間の男、騎士・ルッジェロに恋をして、魔法をかけて、官能の絆で、島に止めおいています。
 ルッジェロを探しに、恋人ブラマンテが、弟・リッチャルドに男装して、供のメリッソと来ます。迎えたアルチーナの妹・モルガーナは、男装と思わずにリッチャルドに一目惚れの恋をします。

 モルガーナを恋しているのが、アルチーナの部下の軍司令官・オロンテで、さまざまな〈策略〉をして妨害します。
 一方、魔法をかけられて島にいる【ライオンにされています】であろう父・アストルフィを探しに少年・オベルトも島に来ました。

 やがて、魔法を解く指輪で、目覚めたルッジェロは、アルチーナを捨てて、恋人・ブラマンテとの愛を蘇らせ、島を取り囲む兵士や魔物を倒し、島を去る決意をアルチーナに伝えます。
 魔法の壺を壊すと、宮殿や美しい庭は、荒野と化し、アルチーノやモルガーナの姿は消え、姿を変えられていた人々も元の姿に戻りました。
【ヘンデルは、アルチーナを、厭うべき存在では無く、傷つきやすい、一人の女性として共感を持って描いています。】
 
 さて、細かく予習です・・、

 バッロクオペラですから、〈予習〉の観点も、物語の筋だけでは無く、オペラ上演史の歴史も重視し、それに伴う、鑑賞のポイントも述べてみます。

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二期会オペラ、ヴァグナー『ローエングリン』 ~深作健太、2回目のオペラ演出は、大胆で意欲的な〈読み替え〉でした。良く理解するために、もう一度、観てみたいと思う公演です。



 2月21日(水)18時から、上野・東京文化会館で、
リヒャルト・ヴァグナー(1813-1883) 作曲のオペラ、

ローエングリン』(全3幕)

(1848作品)を鑑賞しました。席は、S席最前列です。
 ワールド・プレミエ(新制作初演)です。

 お隣に座った、かなり御高齢のご婦人、「白鳥が出てこないねえ・・」と。
 深作欣二の息子・健太(1972-)が『ダナエの愛』に続いて、2度目のオペラ演出は、大胆、かつ、意欲的な〈読み替え〉新演出でした。
 確かに、御婦人の言うように、2幕で上から落ちて来る以外、白鳥は登場しません。しかし、考えてみると、今さら、白鳥は、よほど巧く出さないと、興ざめしてしまいかねません。

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『深作健太が、オペラ『ローエングリン』演出で考えていること』、を聴講しました。あっと言う間の、実に楽しい2時間でした。

 1月21日(日)、14時から、東京・青山にある、ドイツ文化会館OAGホールで、二期会主催の、

深作健太と『ローエングリン』~今、僕が考えていること」、

を聴きました。

 二期会2月公演の、リヒヤルト・ヴァグナー(1813-1883)のオペラ「ローエングリン」(1848作品)のプレ・イベントです。会場は、満席でした。

 前半は、演出した深作健太(写真)への、石川了(クラシカ・ジャパン)のインタビューで、冒頭から核心を突き、スピーディで、聴いていて、すこぶる楽しく、有益でした。

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 後半は、林正子(エルザ役。下の写真中央)、福井敬(ローエングリン役。写真右から2人目)、
菅野敦(ブラバントの貴族役。写真左から2人目)、土屋優子(エルザのカバー役。写真左端)、大藤玲子(ピアノ)の歌の後、深作健太(写真右端)も加わっての、やはり石川了のインタビュー。このインタビューも、肩肘張らない《本音》で、すこぶる面白かった。
(下の写真は、インタビュー終了後の、写真撮影許可の出た、挨拶のスナップです。インタビューは、着席で行われました。)

 それに、シックな黒スーツで登場した、チャーミングな林正子の話が面白く、すっかり気に入ってしまいました。
 Wキャストで、私の観る予定の21日は、オルトレート役が清水華澄ではなかった事を悔やんでいましたが、その日は、エルザ役の林正子の日で良かった、と、やや節奏の無い、移ろいやすい私。

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 深作健太(1972-)は、オペラ「ダナエの愛」(2015公演)に続く、2作目のオペラ演出ですが、先ほどの、林正子談では、オペラの指揮者と演出家は、角突き合わせて仲が良くないことが普通なのに、演出家・深作と指揮者・準メルクルの仲の良さに驚いたとか。

 今回の演出は、思い切った《読み替え》に挑戦し、ローエングリンをルートヴィッヒⅡ世(即位1864年)に仮託するのだとか。楽しみです。

 「ローエングリーン」は、ヴァグナーの「リエンツイ」(1840)、「さまよえるオランダ人」(1843)、「タンホイザー」(1845)の次の作品です。因みに、もう、この頃(1848)、「ジークフリートの死」の台本も書かれたとされています。
 「ローエングリン」は、所謂、ナンバーオペラから、ヴァグナーらしい切れ目の無い音楽に移行していった最初の作品ですが、ヒトラーが好んだ為に、ある種〈汚れた〉のは残念だと、深作氏は何度か語っていました。

 この日にも話に出たのですが、ヴァーグナー作品は、ヴァグナー自身が台本作家なので、切れ目の無い音楽と相まって、歌や演技の難しさ、台詞と台詞の間を〈埋める〉音楽の解釈の難しさがあり、逆に、聴衆からすれば、そこを聴ける楽しみに満ちています。

 さて、この日は、開場前に、近くの「伝統工芸 青山スクエア」で、「宮城県の伝統的工芸作品展」で、伝統こけしなどを沢山見ることが出来て、充実した一日でした。
 天気予報では、明日は、東京地方も雪になりそうです。そういえば、我が家の、鉢植えのチューリップが咲きました。春も、もう近いのでしょうね。★

1月国立劇場・歌舞伎『世界花小栗判官』を〈予習〉し、説教節「おぐり」も詳説します  ~豊穣神の犠牲と巫女による再生、あるいは漂白民の定着現象という民族的説話を壮大な物語に転化しています。

国立劇場の1月歌舞伎、

世界花小栗判官(せかいのはなおぐりはんがん)』

を〈研究・予習〉してみます。約7千字です。

 『世界花小栗判官(せかいのはなおぐりはんがん)』は、以前、2000年(平成12年)に、国立劇場で、『小栗判官譚ー姫競双葉絵草紙』として上演されています。
 作・近松徳三、奈河篤助で、今回と同じですが、相当、補綴されると思います。 

 今まで、よく上演されたのは、梅原猛作、猿之助の『オグリ』で、1998(新橋演舞場など)、1992(同)、1991(同)・・で、国立劇場でも、2006年に『猿之助18番の内 當世流小栗判官』が上演されているところです。

『世界花小栗判官(せかいのはなおぐりはんがん)』(初演は、1800年(寛政12年))
または、
『姫競双葉絵草紙(ひめくらべふたばえぞうし)』、『小栗判官譚』は、
『説教節』(正本は、1675年(延宝3年)頃)の「小栗判官」をもととしつつ、狂言作者が、腕を見せて、また、役者に合わせて、多彩に改変しているのは当然です。そこで、いろいろな筋に発展しているわけです。

 後ほど、物語の筋を読んでから見ていただくと、発展形態が分かるのですが、例えば・・・、

「當流小栗判官」(1698(元禄11)年)、作・近松門左衛門は、ほぼ説教節をなぞっていますが、
「小栗判官車街道」(1738(元文3)年)、作・文耕堂は、「3の切」が傑作で、大膳は、浅香に命じて長男・太郎で毒を試みる筋があり、太郎の実父が現れたり、浅香が自害したり、阿呆を装っていた太郎が大膳を庭に蹴落としたり、さらには、小栗は生きて藤沢寺に逃げていたりします、
「小栗鹿目石」(1703(元禄16)年)では、小栗の妻・名月が、嫉妬で、蛇の本性を現したり、
「小栗十二夜」(1703(元禄16)年)は、横山三郎の妻・夜叉竹が小栗に恋したり、
「東海道温泉汲(ゆくみ)車」(1736(元文元)年)は、荒事中心になり、
「満月小栗車」(1747(延享4)年)は、勇士劇調になり・・、
・・・と、多彩です。

以下・・、
まず、 「説教節」のあらすじを、《留意すべき注意点》を入れて、
次に、 「世界花小栗判官」のあらすじに、《留意点》を入れて、
・・述べていきます。

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「・・どうしようもないことは 忘れりゃそれでしあわせさ・・」。小森輝彦、超熱演。それに、芸達者な声楽人の快演 + イッセー尾形の〈怪演〉で、音楽も素晴らしく、ワクワク楽しい舞台でした。それに、なんと美しい女性陣。 ~オペレッタ『こうもり (全3幕)』



 夜から、オペラに。
 寒い小雨。でも、隣席のお嬢さんは、ノースリーブ。その隣の、杖をついて、やっとの歩行の、相当年配のご婦人は、舞台が始まると、大乗りで、拍手は率先、ブラボーも連発で、心から楽しんでいる風。

 ところで、まずは、現在、道中も、読書中の本は、
原田マハ 『アノニム』(角川書店)
と、再再読で、来年2月の鑑賞に備えた、
高辻知義 『ローエングリーン』(新書館)
です。

 ・・本題に戻って、
 11月22日(水)18時半から、日比谷。日生劇場で、

オペレッタ『こうもり (全3幕)』(ヨハン・シュトラウス)

を鑑賞しました。席は、中央最前列です。

 このオペラは、2013年2月に、白井晃演出、大植英次指揮で、やはり大いに楽しんだ記憶があります。

 この日は、初日、プレミア。S席の客に、スペインのシャンパンのハーフボトルが進呈されました。
物語中・・、
「劇場の舞台で楽しい晩餐会を演出するためには、観客の皆さんにもシャンパンをサービスして、男性のお客さんは、だれでも隣の女性と抱き合ってよろしい・・」(台詞・フランク~2幕フィナーレ前)、
とあるのに因んだのでしょうか。または・・、
終幕、「みんなシャンパンのせい」、
「万歳 シャンパン1世」からなのでしょうか。何れにしても、しゃれたセンスの贈り物です。

 本作は、ヨハン・シュトラウス二世による、1874年初演作品です。
 この日は、台詞は、日本語で、歌は、原語(独語)による上演です。ひと頃と違って、訳詞も歌手陣も巧くなったせいか、日本語も良く聞き取れ、全く違和感がありません。
 3幕目などは、歌より芝居が多いのですが、声楽陣の演技も、抜群の巧さでした。総じて、皆、芸達者で、畳みかけるようなスピードでラストに向かいます。

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素晴らしい演奏と歌。清水華澄、最高。舞台空間は、相当、苦労をされた舞台装置製作の割には、そう見えないのが残念でした ~オペラ『ルサルカ (全3幕)』(ドボルザーク)

 11月9日(木)午後13時半から、日比谷・日生劇場で、オペラ『ルサルカ (全3幕)』(ドボルザーク)を鑑賞しました。席は、中央最前列です。

 2幕目冒頭は、舞台ではなくて、最前列通路での演技で始まりました。
 で、私の真ん前、膝(ひざ)前で、デニス・ビシュニア(森番)と小泉詠子(料理人の少年)の歌と演技がありました。冗談じゃなくて、ツバが飛んでこないか、心配していました。力演でした。以前、よくこのような趣向があったのですが、久しぶりでした。

 前夜、このオペラの《フォーラムを聴講し、細かい演出意図は理解しているつもりです。その夜は、ホテル(家は、遠くないのですが、2日連続なので、ホテルに泊まってしまったのです。)で、夜12時過ぎまで、その感想をこのブログにアップしていました。
 余談になりますが、翌朝(オペラ鑑賞の日)は、またもや、先日まで、温泉に行っていた時の習慣から、5時過ぎに目覚めたので、7時頃から、風が強かったのですが、日比谷公園を散歩しました。一度、朝、ここを歩いてみたかったんです。

 公園は、黄落、紅葉の落ち葉が美しく、秋の終わりを感じました。
 道ゆく人は、時間が早いせいか、ヘルメットを被った工事の職人さんが沢山目につきます。都内は、工事が多いんですね。

 さて、本題です。

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〈学生席〉を求める多くの若者に感動。本編は、大村博美が圧巻の熱演でした。観終っては、そろそろ画期的な《新演出》で観たい気もしました ~オペラ『蝶々夫人』(プッチーニ)



 10月6日18時半から、東京文化会館で、

オペラ『蝶々夫人』(プッチーニ)

を観ました。席は、中央最前列です。

 〈蝶々〉柄のものを身に付けていけば、先着100名に、記念品を頂けるというので、妻から、蝶柄のハンカチを借りて行き、開場45分前から行列して、《オリジナル和手ぬぐい》(写真)をゲットしました。

 行列していて気づいたのですが、学生席(2,000円)売場に、次々と高校生、大学生らしき若者がやって来ました。将来が、楽しみな人々ですねえ。感動しました。

 さて、この日の、

指揮は、ガエタノ・デスピノーサ=東京交響楽団

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演出は、栗山昌良

 ~2014年4月23日に、同じ、栗山昌良演出で観ています(当時の感想は、ココから。)。14年の指揮は、ダニエル・バッティストーニでした。二期会初演の1957年も同じ。現在、91歳かな、お元気ですね。

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作曲のワークショップが楽しかった。本番での清水華澄のイェジババに期待します 〜オペラ「ルサルカ」、日生劇場・音楽レクチャー



 9月16日(土)14時から、日比谷・日生劇場大会議室で、

オペラ「ルサルカ」関連企画・音楽レクチャー

を聴講しました。
 3日の「ドラマトゥルク・レクチャー」に続いての企画です。今回のゲストは、いずれも、すこぶるチャーミングな、
清水華澄(しみず かすみ オペラ歌手)さん
加羽沢美濃(かばさわ みの 作曲家)さん
です。

 加羽沢さんの、ドボルザーク「ルサルカ」音楽の分析は、ピアノとホワイトボードを使って、《ヨナ抜き》を詳細に指摘されます。
 《ヨナ抜き》とは、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド、の4番目ファと7番目シをぬかして5音で音楽を作ることで、《47抜き》とも言います。ドボルザークは、ファとシが嫌いっだのではないか、との話です。
 ちなみに、《ヨナ抜き》作の例は、リンゴ追分、上を向いて歩こう、昴、恋するフォチュンクッキー・・まで、多彩にあります。

 その後が素晴らしい !!

 聴衆に、《ヨナ抜き》5音を使った〈作曲ワークショップ〉です。
 5音を、8つ並べたものを、加羽沢さんが、ピアノで音楽を付けます。それが、いずれも、素晴らしいメロディの音楽になるのです。加羽沢さんの、作曲の神髄に触れた思いで、感激してしまいました。

 清水さんのほうは、11月公演「ルサルカ」で、魔法遣い・イェジババを演じます(写真・二期会リーフレットから)。また、来年2月には、「ローエングリン」(深作健太演出)にも出演されます。
 この日は、女子会でのノリのような面白い会話とホワイトボードに漫画を描いてストリーの説明をしたり、反対に、歌を歌う時の真面目な迫力の、そのギャップ !? が傑作(失礼)でした。

 イェジババは、一昨日の、METライブでのジェイミー・バートンの名演が強く印象に残っているところで、清水さんには大いに期待しています。

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《童話》に隠された人間の闇と二面性を見事に描いた演出・演技でした 〜『ルサルカ (3幕)』 (「METライブビューイング」)



 9月14日(木)、11時から、東銀座・東劇で、「METライブビューイング」の、

ルサルカ (3幕)』

を鑑賞しました。

 11月の日生劇場公演が、「ルサルカ」なので、去る3日に、プレ・イベントに参加し、本演目を、演出面からじっくり予習《研究》していました。
 この後、16日にも同イベントの2回目があり、音楽面からの予習をします。今日は、MET(メトロポリタン歌劇場)公演で、オペラ全体を味わったわけです。

 11時から4時まで、本当に、心から楽しめました。
 冒頭、楽屋の機械室から、「マエストロ、時間です。出てください。」という呼びかけから始まって、オペラ本編の間には、声楽陣・演出家・指揮者へのインタビューがあります。
 いつも、このインタビューは、内容が濃く、速射砲のような会話も機知に富んでいるのですが、今回は、特に、このインタビューが、すべて優れていました。

 舞台は、人魚の《童話》を淵源とした物語を土台に、人間の持つ《闇》を描きます。そして、舞台の《闇》は、ドボルザークへのヴァグナーの影響でしょう。装置にも、演技にも見事に表れていました。ルサルカ役のオポライスは、これを、「コントロール可能な心では無く、魂で演じた。」とインタビューで答えていました。
 童話と闇、同時に、ルサルカの可憐さ、と怖さの二面性

 イェジババも素晴らしい出来。このイェジババには、魔法をかけ損なって失敗したという手下が3匹います。ネズミ、カラス、ネコ(顔半分が人間で、手には羽が生えています ! )。なお、この役のJ・バートンの明るく、開けっ広げなインタビュー対応は、印象深く残りました。

 ダンスの振り付けも、物語に溶け込んで、素晴らしい。 

指揮・マーク・エルダー (英国)
〜 インタビューでの答えは、すこぶる熱がこもっていました。
演出・メアリー・ジマーマン (米国)

水の精ルサルカ・クリスティーヌ・オポライス (ラトヴィア)
〜 第2幕の、声楽家ながら、声の無い演技は見事でした。

王子・ブランドン・ジョヴァノヴィッチ (米国)
魔法使いイェジババ・ジェイミー・バートン  (米国)

外国の王女・カタリーナ・ダライマン (スエーデン)
水の精ヴォドニク・エリック・オーエンズ (米国)


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「私の作品〈ルサルカ〉は、何なのだ」、ドボルザーク痛恨の3幕目ではないか!? ~オペラ「ルサルカ」 ドラマトゥルク・レクチャー  



 秋の芸術鑑賞シーズンが、始まりました。
 まずは、9月3日(日)13時から、日比谷・日生劇場大会議室で、オペラ「ルサルカ(3幕)」上演関連企画のドラマトゥルク・レクチャーを聴講しました。講師は、

阿部賢一(チェコ文学者、本公演字幕担当)氏
宮城 聡(本公演の演出家)氏

です。(チラシの写真は、ワン・クリックで、拡大出来ます。)
 素晴らしく、充実した約2時間余でした。

 『ルサルカ』は、(作曲・アントニン・レオポルド・ドヴォルザーク(1841ー1904))、
台本・ヤロスラフ・クヴァビル(1868ー1950)による、
1901年3月プラハ国立劇場初演のオペラです(参考に、「あらすじ」を、当日のお話のコメントを入れて後述しておきます)。
 ちなみに、アレクサンドル・ダルゴムイシスキー(1813ー1869)にも、オペラ「レサルカ」(1856)があります。

 ルサルカは、スラブ民謡に登場する水の精霊です。例えば、
カレル・ヤロミール・エルバン(1811-1870)「スラブの民話と伝説」
 それに、他にも、
フーケ(1777ー1843)「ウンディーヌ」、
アンデルセン(1805ー1875)「海の小妖精」
ハウプトマン(1864ー1946)「沈鐘」
スタインバーク「物言わぬ森の乙女」
フランスのメリジューヌ(蛇女)伝説、
カレル・チャペック&ヨゼフ・チャペック「カッパのお話」
と言ったものがあります。

 宮城氏は、このようなメルヘンは、ありのままの実話で残しては、あまりに辛いので、例えば、若く死んだ花嫁、事故で死んだ女性などが幽霊となり、暗い水底に住んで若い男性を魅了して、水に引き込むといったメルヘンという形で残ったのではないか、という話で口火を切られました。

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圧巻の三重唱、心地よい余韻。リチャード・ジョーンズ演出の細部まで計算しつくされた、軽快で、現代的センスの素晴らしい舞台 ~オペラ『ばらの騎士』

 驚くほど、涼しい。
 7月26日(水)18時から、東京文化会館で、グラインド・ボーン音楽祭と二期会の提携公演、

オペラ『ばらの騎士』(作曲 R・シュトラウス)

を鑑賞しました。席は、中央、S席最前列です。

 これだけ、《役者》が揃うと、つまり、演出、声楽陣、オーケストラ、合唱だけでなく、舞台装置、衣装も含めてですが、さすがに、素晴らしい舞台です。
 おまけに、3幕の舞台装置など、美しいだけでなく、三角形の天井部分によって、音響の反射に工夫がこらされていて、声楽、オーケストラとも、見事な音響です。

 《ばらの騎士》とは、婚約の証の〈銀のばら〉を届ける者です。
 その役をオックス男爵から仰せつかったオクタビアンが、届ける先の娘ゾフィーに恋をしてしまいます。

 オクタビアンの愛人である元帥夫人は、自分の老いを悟って、オクタビアンをあきらめ、身を引きます。
 しかし、32際の夫人は、多分、この後、別の愛人を持つのではないか。それは、舞台に、6,7回登場する黒人少年・モハメッドでは・・・、とほのめかしています。

 開幕、冒頭は、よくあるベッドでの語らいでは無くて、元帥夫人が、シャワーを浴びています。そのシャワーの、光の工夫は、見事です。余談ながら、そこを、先ほど触れたモハメッド少年が覗いています。

 この演出が初演された、グラインド・ボーン音楽祭は、ロンドン近郊ルイスの、広大な敷地の、貴族の館にあるオペラハウスで開催される音楽祭です。幕間には、ピクニックも楽しめ広大な敷地です。
 今回の、日本プレミアでは、工夫の跡が見受けられます。

 オペラ『ばらの騎士』の、この日の、
指揮者は、セバティアン・ヴァイグレ(独。1961ー)
同じ演目の、MET(メトロポリタン歌劇場)の5月17日公演を、ライブ・ビューイングで観たばかりです。

 演出は、リチャード・ジョーンズ(英国。1953ー)
その演出も含めて、先日、このブログで詳説したばかりです。
 この日の舞台を、《事前勉強》にそって、ゆっくり楽しみました。

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METライブ・ビューイング、オペラ『薔薇の騎士』 ~シーズン〈ラスト〉に、2つの〈ラスト〉もあって、圧倒的な感動の新演出でした。



 MET、ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場でのオペラ、先月、5月17日公演のライブ・ビューイングです。
 今シーズン〈最後〉の演目です。上映時間は、4時間24分。


 リヤルト・シュトラウス『薔薇(ばら)の騎士』


指揮・セバスティアン・ヴァイグレ
演出・ロバート・カーセン

 もう2つ、〈最後〉がありました。
 元帥夫人のルネ・フレミングが、ほぼ70回演じたこの役を、これで最後とするもの。
 まるで、ロッテ・レーマンのように。

 さらに、ズボン役、オクタビアンのエリーナ・ガランチャが、17年間演じて来たこの役を、若い世代に譲りたいと、〈最後〉とするものです。

 で、最後のカーテン・コールは、観客総立ち、割れんばかりの尋常ならざる大拍手でした。

 オペラって、当たり前ですが、演劇などと違って、複数人が、同時に気持ちを吐露できるんですね。このオペラの、最後の、2重唱、3重唱なんて、歌も、内容も、涙が出るほど素晴らしい。

 ところで、余談ですが、このライブビューングで、いつも感じるのは、幕間での舞台裏のインタビューの質の高さです。

 短時間に、的確な質問と答えを、ユーモアを交えての、速射砲のようなやり取りで、いつも、感心してしまいます。
 今回は、第1幕で出番を終えた、マシュー・ポレンザーニ(テノール)がインタビュアーでした。

 さて、このオペラは、「二十世紀オペラの最高傑作」と、後述の書などで、広瀬大介氏が述べているオペラです。

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10月、国立劇場・歌舞伎公演 『霊験亀山鉾』 を詳説します。冷血漢、水右衛門を、片岡仁左衛門がどのように演ずるか楽しみです。




 少し早いのですが、10月国立劇場・歌舞伎公演『霊験亀山鉾』(れいげんかめやまほこ)を予習します。約8,000字になる、長文です。

 尋ぬる人の人相は・・
 脊(せい)の高さは常体(つねたい)にて、
 目の内するどく、鼻筋とおり、
 青ひげ有って色白く、
 左の眉(まゆ)に壱つのほくろ、・・・

 悪の藤田水右衛門です。 

 四世鶴屋南北(宝歴5年〈1755〉ー文政12年〈1829〉)、68歳の代表傑作で、化政歌舞伎の頂点の作品。
悪のエネルギーに満ちた、《返り討ち》物、


霊験亀山鉾』(11幕・文政5年〈1822〉江戸河原崎座初演)


 南北が、実悪の名人、鼻高幸四郎(写楽の役者絵)こと、五世松本幸四郎の為に書き下ろした作品で、元禄14年〈1701年〉5月に起きた仇討ち事件が元になっています。

 次々、討手の変わる、5回の敵討ちで、追う《石井》側の討手8人が、悪の藤田水右衛門(江戸狂言では、「藤川」とするのが多かったようです。)に、返り討ちで殺されたり、自害します。
 さらには、石井側も水木の父を殺し、「相狙い」の様相となります。

 結局、敵(かたき)が討たれたのは、発端である父の死後29年目、兄の死後21年目となりました。

 本作は、「岩倉宗玄恋慕琴」や「お妻・八郎兵衛」(「桜鍔恨鮫鞘」)の物語も、「ない交ぜ」にされています。

 余談ながら、南北の『月出村』(文政4年)は、敵討ちではなくて、心中の繰り返しです。そういう作品もあるのです。


 では、返り討ち、仇討ちの大筋を分かりやすく述べます・・・、
 各番号の段落の前に、「・・まず」ということで、登場人物を整理解説します。
 これを「」にでも書いて、整理していただくと、一層理解が深まります。


 幕開の舞台展開から・・

 発端です。浅黄幕。甲州石和河原、八ツ時分(14時頃)。
 敵討ちが見られるというので、百姓、旅人が5、6人、通りかかった飛脚・早助(2幕にも出ます。)も集まっています。

 次の1、2で詳説しますが、石井右内を殺して、捕らえられた藤田水右衛門への、右内の弟・兵介の正式な仇討ちが行われるのです。

 この地には、藤田水右衛門を助けたいという、水右衛門の下部(しもべ)伴介や、水右衛門の父と昵懇である了善和尚も嘆願の為に来ています。

 ところで、伴介は、水右衛門から預かっている、右内殺害の折りに盗んだ、神影流の秘書「鵜の丸の一巻」を了善に預けます。


 筋の詳説をはじめます・・・、

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文楽五月公演『加賀見山旧錦絵』を詳しく〈予習〉します。 【アクセス数 14万記念記事】

 東京・国立劇場、文楽・五月公演は、

加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)』。

 本公演も、どうせなら、江戸時代の如く、弥生狂言として、さらに、文楽・歌舞伎競演にすれば、もっと評判になったと思います。

 私の予習は、まずは、NHKーDVD『加賀見旧錦絵』(2016刊)、長局の段、奥庭の段を観て、尾上の遺骸を見て、お初のクドキに涙ぐみました。
 映像内容は、昭和50年代の道頓堀・朝日座の舞台ですが、これが良い。
 太夫は、四代目竹本越路太夫(三味線・竹澤弥七)
 人形は、初代玉男、二代目勘十郎、若かりし簑助、玉女で、圧巻でした。皆、きりりとしています。
 DVD付録映像のインタビューで、越路太夫は、出だしの「テモおそろしい たくみごと・・」からは、素人が考え及ばぬ、脂汗の出る難曲と述べています。

 さて本題の予習に入ります。
『加賀見(鏡山)旧錦絵』。大昔から、上方と江戸で名題を代えたり、作者や建(たて)役者が集まっての《世界定め》では、アイデアを盛ったり、作者が、見せ場を《ないまぜ》したり、見せ場を2つを合わせてサービスしたり・・いろいろ考えたのでしょう。
 その上方と江戸では、省略する場も異なります(例えば、上方では「竹刀打ち」が無い。)。

 それやこれやで、結果として、だんだんこの狂言が面白くなっていったのでしょう。
 が、反面では、いろいろ混ざって、どこがどう混ざっているのか、どこが、どういう背景を持ってきたのか、我々は、からくりを理解するのに苦労します。しかし、そのからくりが分からなくたって、芝居は、十分楽しめます。でも、まあ、からくりを解き解すともっと楽しめるのは否めません。
 ・・と、いうスタンスで、この予習をしてみました。
 約7000字になります。ゆっくり、お読みください。
 このブログも、おかげさまで、14万のアクセス数となりました。改めてご愛読を心から感謝申し上げ、お礼をかねて、本記事を書かせていただきました。

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二期会公演・オペラ『トスカ』 ~迫力ある演奏、華麗な舞台、美しく歌いあげた木下美穂子。感動しました。が、劇の《不条理》は、あまり感じられませんでした。



 15日(水)、18時半から、上野・東京文化会館で、二期会公演、


オペラ『トスカ』(3幕)
(ジャコモ・プッチーニ(1858ー1924)作曲)


を鑑賞しました。ローマ歌劇場との提携公演です。
 席は、S席・中央最前列。満員の盛況。
 
 開幕冒頭から、オーケストラが、力強く鳴ります。指揮者の「うー」とか、《気合い》もすごく、演奏に迫力あって、突出して良かった。
 そう言えば、指揮者がピットに入って来たときから、オーケストラメンバーが、拍手に代わる足踏みで迎えて、両者の信頼関係がよく出来ているのが伺え、好感が持てました。
指揮・ダニエーレ・ルスティオーニ
兎に角、若く、元気一杯なのです。

息があっていたのは、
東京都交響楽団。
 それに、二期会合唱団、NHK東京児童合唱団も熱演しました。

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小さな宝石箱をひっくり返したような楽しいオペラ演出でした ~二期会公演・日生劇場、歌劇『ナクソス島のアリアドネ』



 ところで、
長木誠司 『オペラの20世紀 夢のまた夢へ』(平凡社・2015年刊)、
を読みはじめました。
 9,200円のスゴく分厚い書物です。字も、細かい2段組で、目を悪くするのが心配です。
 項目によっては、岡田暁生(あけお)『バラの騎士の夢』(春秋社。サブ・タイトルは、「リヒャルト・シュトラウスとオペラの変容」)と、構成が似ているところもあって、最初、岡田暁生の本かと、勘違いしていました。

本題です。

 11月23日(水)、17時から、日比谷・日生劇場で、


歌劇『ナクソス島のアリアドネ』(プロローグと1幕)


を鑑賞しました。席は、S席中央最前列です。
 二期会、ライプツィヒ歌劇場(1693年創設)との提携公演です。

 リヒャルト・シュトラウス作曲(1912年)のコメディア・デラルテ・ブームの頂点の作品です。台本は、フーゴ・フォン・ホフマンスタール(1874ー1929)。

 きらきら光る、美しい、小さな宝石箱の様な舞台でした。
 まずは、当然ながら、シュトラウスの音楽が良い。
 その演奏は、小編成のオーケストラ、約30人位で編成されたオーケストラで、指揮者の〈名人芸〉が要求されるところです。とりわけ、オープニングやクライマックスの高まりは、実力が要求さるところです。

指揮は、シモーネ・ヤング
【前ハンブルグ国立歌劇場総支配人・音楽総監督です。】
=東京交響楽団

 オーケストラの人数は少なくても、舞台の出演者がすこぶる多い。
 そして、一人ひとり、しゃれた服で個性を出したしぐさ、しかも、舞台全体は、精密に《統制》というか《制御》された細かい演技をしています。
演出は、カロリーネ・グルーバー

 外国人の指揮者と演出者で、気があって楽しんでいる感じです。
 
 舞台装置も、照明も細かく、展開します。
 背景や舞台頭上の変化や、影絵(この時のライトは、客席に眩しくて、やや工夫の余地がありましたが。)、果ては机下のライトまで変化に富んでいます。 
装置・ロイ・スパーン
衣装・ミヒャエラ・バルト
照明・喜多村貴

 で、後半のオペラは、観客も、雇い主の命じた喜劇と悲劇の同時上演を一緒になって観ることになるのですが、この同時上演が成功ですね。

 もっとも、基礎知識が無いと、何をしているのか、どうなっているのか、誰が誰で、どういう関係なのか、わかりかねる観客もいたかも。
 それに、楽しくする意図の割には、堅い演技、が伺えます。そこが、外国人の指揮者と演出者で、気があって楽しんでいるのが、歌手と観客まで伝播していないのかも知れません。

 この日、何よりも、見事なのは、
まずは、コメディ一座の花形ツェルビネッタ・高橋維のまさに体当たり演技と歌唱。
 開幕後、1時間22分くらいからの、超難曲アリアを歌いきりました。

 それに、プリマドンナ、アリアドネ・林正子のアリア。
貫禄の歌唱です。

【補足します。クレタの王女・アリアドネは、クレタの王・ミノスの后・パシファエが牛に恋して生まれた怪物・ミノタウロスを退治した、アテナイ王・アイゲウスとトロイゼンの姫・アイトラの間に生まれた英雄テセウスに協力し、結ばれましたが、彼の故郷アテナイに帰る途中、ナクソス島に置き去りにされたのです。】

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アイディア満載、コミック漫画のような、めまぐるしい舞台展開を楽しみました ~日生劇場、オペラ「後宮からの逃走」(モーツアルト)



 日生劇場のお隣にある「東京宝塚劇場」前は、昨夜も、今夜も、スター出待ちでしょうか(18時だったのですが)、小雨の中、スターごとのジャンパーなどを着た女性が大勢、各3列縦隊くらい整然と、ぎっしりで壮観でした。

 さて、11月10日(木)、18時半から、日比谷日生劇場で、

オペラ「後宮からの逃走」(モーツアルト・3幕)

を鑑賞しました。席は、S席、最前列中央です。
 このジングシュピールのオペラは、特に、ヴァグナーなどを観た後ですと、音楽がとぎれとぎれで、少し感動が薄れるのですが、今回は、違いました。

 アイディア満載、めまぐるしいほどのてんこ盛りの舞台でした。

 例えば・・、
 序曲で演じられる、20年前アルジェリアで起こった、若い頃の太守セリムの悲劇の説明、
 オスミンが5人(まあ、他の4人は〈軍団〉ですが。)、
 逃亡は、床下から鋸で侵入しての救出、
 太守セリムは、再三しつこく、コンスタンツェの体を求める・・などです。

 もう一つ。歌手を観客に向かって歌わせるために、文楽などのいわゆる〈遠見〉、背後にいる船が、さらに上手の裾で、Uターンして、舞台も降りて、観客席を通過したりもします。
 ちょうど、オーケストラピットの、前の私が座っている前の通路を、セリム(の人形)が乗った、1m弱の船が通りましたが、その人形の顔の可愛いこと。こればかりは、最前列の大いなる役得でした。

 演出意図は、許し(赦し)

 過去の自分の辛い、苦しい経験の、復讐の連鎖を断ち切る許しです。
 したがって、過去、自らが経験したトラウマを越えて、「許し」を与えるのは、一つの自己犠牲でもあります。
 今日の、テロと憎しみの連鎖を踏まえた新演出です。

演出は田尾下哲

 このことを表現する、クライマックス、十数分のインパクトを強めるために、全編3時間15分のうち、それまでの前半2時間半以上が使われているようなものです。
 最後の、許しの決断をする、太守・セリム、宍戸開の背中を魅せる演技が光ました。

 ただ、ジングシュピール、のシュピール部分、芝居部分が総じて、アイデアが多彩で、それはそれで楽しいのですが、ジング、歌、のほうが圧倒されてしまっている感がなきにしもあらずに感じました。

 さて、この公演は、台詞は日本語、歌はドイツ原語上演でした。
 ここですね、好みが分かれるのは。
 私は、日本語で台詞が語られ、ドイツ語の歌に入ると、まるで、CDのスイッチを入れたか、あるいは、往事の、レコードに針を乗せたような感覚で、歌を聴いている感じでした。それに、台詞部分が、どうも、薄っぺらな感じがしてしまうんです。

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日生劇場・第23回舞台フォーラム「物語る舞台空間」を聴講しました。



 まずは、孫の、男の子も学習院初等科に合格しました。このブログの6,7回前の回で、私と遊んでいる写真の孫です。
来年からは、姉弟で通学することになります。

 さて、11月10日(木)、18時半から、日比谷・日生劇場で、


第23回舞台フォーラム「物語る舞台空間」


を約2時間、聴講と舞台見学しました。
明日、観るオペラ、「後宮からの逃走」の関連イベントの一つです。

 ドラマトゥルクの、庭山由佳さんのオペラ概要からスタートし、
 今年の2月に、美術の、幹子・S・マックアダムスさんのニューヨーク事務所で、演出の、田尾下哲さんらが結集して構想を重ねた話からです。

 「トルコでテロが頻発するなかで、今、どうしてこのオペラを上演するのか」をマックアダムスさんが、納得するまで皆で考え抜いた話が印象的でした。

 さらには、日本ではまだうまくいかない、裏から光をあてるルーセント幕、トウモロコシの澱粉を使った背景幕の米国での作成過程や日米の消防法(幕の防火加工)の話と、制作過程の映像は貴重でした。

 「白模型」(立体的にどう見えるかの最初の模型)や、舞台「仕込み」映像を(後者は、早回しで)見せたり、この写真にある、歌手か客席側に向かって歌うために柵を回転させて、後ろの海にいる船を客席側に持ってくる工夫の実演をみせたり、なかなか演出は、手が込んでいます。

 衣装の、前田文子さんからは、日本のシルク業界が、もう疲弊していて、海外に良品を求めに出かけざるを得なかった話、その衣装デザインを作りあげるまでの話、特に、フロックコートやドレスの色、デザイン、ボタン位置までの詳しい話は有益でした。
 ちなみに、当夜の服装は、さすが衣装デザイナーです。

 照明の、沢田祐二さんの、台本にある日暮れの時期をを変えた話、「照明仕込帳」の説明、

 肝心の、演出の、田尾下哲さんの「演出意図」の話の内容は、明日のオペラ感想と共に記します。と言うのは、いわゆるネタばらしになってしまうからです。
 序曲での工夫や逃亡方法なども・・、言いたいところではあるのですが・・・。
 進行は、劇場参与の高島勲さん。

 若い、舞台分野に携わる人向けにも参考になるようにしているこのフォーラムだそうですが、いつもながら充実した内容でした。★

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1月・国立劇場公演 『しらぬい譚』 を予習・研究してみます。



 さて、今年の「十三夜の月」は、10月13日です。「後の月見」とも言って、一月前の「中秋の名月」を見たところと同じ場所で、月を見るのが良いとか。
 別の場所で見るのは、「片月見」とか「片見月」と、嫌われるそうなのです。もっとも、これは、昔、吉原に客をよぶ手だてだったとも言われますが。
 ところで、私事ながら、先日、結婚40年を迎えました。
 
 本論です。今日は、東京・国立劇場歌舞伎、初芝居、

しらぬい譚(ものがたり)

を予習してみます。
 「通し狂言」と銘打たれています。
 
 予習、といっても・・、40年ぶりの上演にあたって、国立劇場のチラシを見ると、「先行の劇化作品や講談などを参考としながら、新たに台本を作成」、というものですから、〈予習〉のしようがありません。
 したがって、過去の公演や、原作などの〈研究〉と相成ります。

 その「40年ぶりの上演」ということですが、たしかに、1977年(昭和39年)3月に、国立劇場で、「志らぬい譚」が上演されています。

 その前は、1954年(昭和29年)、『白縫譚』が、歌舞伎座で上演されていますが、「烏山屋敷」のみのようです。

 初演は、1853年2月。8幕。
 ちなみに、前年に「児雷也豪傑話」(脚色・河竹黙阿弥)が成功したことが見逃せません。
 好評で、続編、8幕が、同じ年の4月上演です。
 
 初演の河原崎座以降、約50回ほど上演されていますが、外題(名題)は、「しらぬい譚」、「白縫譚」のほか、「四季模様白縫譚」、「巷説白縫譚」、「筑紫しらぬい譚」、「彩糸模様(いろもよう)白縫譚」、「東土産白縫草紙」、「宿桜しらぬい譚」・・・など多彩です。

 作は、河竹黙阿弥(1816ー1893)で、38歳の作品です。

 原作は、90編の合巻で、〈合巻〉とは、草双紙の一で、筋の複雑化に伴って、1編で4冊、その2冊を合冊したものです。
 いわゆる「正本製(しょうほんじたて)」の、あたかも舞台で演じられているように読める、いわば、絵コンテ入りの脚本のような書物です。2冊の表紙を左右に並べると、1枚の絵となります。

 作者は、
柳亭種員(たねかず。1807ー1858 黙阿弥と親交。)が、1~31編、
二世柳亭種彦(1783ー1842)が、32~38、39~62編、
柳亭種清(1823ー1907。黙阿弥の門下。)が、63〜90編
で、
河竹黙阿弥は、14編までを劇化しました。
 なお、毎頁の浮世絵は、豊国、国貞、芳幾、周重(ちかしげ)ら。
 さて、

白縫譚

です。

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プロフィール

感動人

Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

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