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塩野七生 『ギリシア人の物語 Ⅰ』 ~ 久しぶりに、塩野節に引き込まれました。これで、〈土地勘〉が出来たので、ギリシアの芸術・文学・哲学の知識を深められます。

 「ローマ人の物語 Ⅵ」を再読したら、ギリシアのことをあまり知らなかったことに思い至りました。
 そこで、読んだのが3巻からなる

塩野七生 『ギリシア人の物語 Ⅰ 民主制のはじまり』(新潮社)

第1巻です。

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 ちょっと息抜きに、と他の本の合間にこちらを読み始めると、もうダメ。塩野七生の軽妙な語り口に引き込まれて、頁を置けません。
 久しぶりに、何度も出る、
「笑ってしまう」とか、
「下司(げす)の勘ぐり」とか、
「ぶっちゃけて言えば」とか、
「親近感どころか殺してやりたいと思うのは」とか、
「図太いが愉快なリーダー」とか、
はては、ペルシア王が「来ちゃった、ランランラン・・」と小躍りしたりとか、
・・苦笑する言葉遣いの、大所高所ぶり、上から目線ぶりも健在です。

 アテネ(ギリシアの都市国家)が、ペルシャ戦争を機に海運国になったのも分かりました。
 それにしても、日本中世では、「七度の餓死に遇うとも、一度の戦いに遭うな」ともいわれましたが、こちらでは、もう、戦いばかり。

 表紙は、都市国家アテネの“ラディカル派”、当時、有能無比のテミストクレスです。
 因みに、「都市国家」と言う用語は、「市民共同体」と訳す学者も多いようです。
 本書の中心物語である、第1次(前490年)、第2次(480年)の、ペルシア(クセルクセス大王)との戦いを勝利に導き、エーゲ海の制海権、そこでの平和ピース。ラテン語で「Pax、パクス」)を取り戻すのに政治・軍事面で大活躍した人物です(ただし、「平和を続ける」概念を作ったのは、ギリシア人ではなくて、ローマ人です。)。
 挽年、スパルタからの政争に巻き込まれて、追われましたが(前471年)、人望厚く、策略家ぶりを発揮して、何と ! ペルシアの“政治顧問”になり、そこで客死しています。著者の記述も心がこもっています。

 映画「スリーハンドレッド」(2006年)は、300人を率いて100万のペルシア軍と戦ったスパルタのレオニダスのことでしたか。100万は、オーバーにしても約20万の、第1次戦役のテルモピレーの戦いです。
 それにしても、スパルタ市民の一生は、戦いだけで、現在からは考えられません。
 もっとも、他の都市国家も、直接税は、兵役の“血税”ですから、大同小異のところがありますが。

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藤木久志 『城と隠物の戦国史』 ~ 戦争に「身構えて生きた」、庶民の生命と財産を守る涙ぐましい方法が書かれています。派手な政争と戦ばかり目を向けている歴史記述への反省が感じられます。

このところ、
『新版 雑兵たちの戦場』(2020年6月14日ブログ
『中世民衆の世界』(2020年4月19日ブログ
と、英雄や政争中心の歴史ではなく、それらに、加えて飢饉、疫病に翻弄された当時の庶民の歴史に注目しています。
 今回読んだのは、

藤木久志 『城と隠物(かくしもの)の戦国史』(朝日新聞出版)

です。

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 実は、もう一冊、同じ著者の、面白い視点で書かれた書物を平行して読んでいますので、それも、後日、ご紹介します。

 さて、まず余談ですが、ヨーロッパのギリシアとペルシャとの第2次ペルシャ戦争(前479年)が起きたとき、ギリシャの都市国家・アテネが、街ごと避難しました。
 我が国で言う、村ぐるみの逃散、の様なものですが、この様なことは、何度も繰り返せません。

 庶民は、常に、戦に「身構えて」生活していましたが、戦(いくさ)が起きたときに、庶民は、どの様に対応したのかを書いたのが本書です。
 中世戦国時代は、足軽などの「乱取り」(乱暴狼藉)があって、人も財産も奪われてしまいます。
 先ほどのギリシアは、強力なリーダーのもと、日常品一切合切持って、数百隻もあった船で避難したようですが、我が国の戦国はそうは行きません。
 当然、当座のものだけ持って(俵物)逃げた訳ですが、その他の財産は、資産だけで無くて、翌年田畑に播く種、牛や馬、犬や猫なども、どうしたのか。

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『新注 不思議の国のアリス』 ~ 教訓臭や宗教臭を一掃した、「児童文学の地平を変えた」文学を、今更ながら味わいました。

 このブログのエドワード・ゴーリーの本のところで、昨秋、日比谷・日生劇場でオペラを観る前に、「日比谷シャンテ」3階にある書店「日比谷コテージ」に寄って、ショーン・タンの本の隣に積んであった、ゴーリの本を見つけた話をしました。
 実は、その隣に、さらにあったのが、670頁もある、
マーティン・ガードナー注 『詳注アリスー完全決定版』(亜紀書房)
でした。
 児童書「不思議の国のアリス」に詳細な注釈を付けた本で、
(読みたいな)
と思ったのですが、分厚いし、5,280円 もするので、躊躇しました。
 そして、同じ著者の、

マーティン・ガードナー注
ルイス・キャロル著 ピーター・ニューエル画
『新注 不思議の国のアリス』
(東京図書)

をまず読むことにしました。237頁です。

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 本文の下に細かい注釈が付いています。
 画の説明も詳しくあります。
 ニューエルの画は、1902年以降のハーパー・アンド・ブラザース版の画です。
 「アリス」初版(1865年)のジョン・テニエル(1820-1914)の挿絵も載せられています。

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 就寝前、筆者はベッドで読んでいました・・、

 物語は、子ども達が物語をせがむ詩があって、アリスがうたた寝をして、夢の世界に入っていきます・・、
 30近いキャラクター、ウサギや飼い猫ダイナ、カエルならまだしも、ネズミ、トカゲ、青虫、モルモットが登場して・・と、なかなか奇怪。
 ただし、アリスは、そのグロテスクなモノにも、心を砕き、傷付けまいとし、相手を立てます。
 そして、空想の、チャシャー猫、おきさき様、グリュホン【元は、古国スキタイの金山を守る動物で、警戒心を象徴するエンブレムにもなりました。(180頁)】、似非(えせ)海亀【淡水性の亀】は、リアリティーを持って、微笑ませ、空想の幅を広げます。
 なお、飛べないドードー鳥は、1681年頃絶滅した実在の鳥ですが、作者キャロルが、吃音で、自分の名を「ドー、ドー、ドジソン」と言った由来があります(72頁)。

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ジョン・ウイリアムズ 『アウグストゥス』 ~ 名作「ストーナー」に通じるところがある、懸命に生きて来てた、人生をふり返っての、肯定と空しさ、寂しさ。それに、やはり、一人娘ユリアの政争に翻弄された一生が印象に残ります。

 かつて、塩野七生「ローマ人の物語」全15巻を読み終えた時に、一番好きになった皇帝は、このアウグストゥス(前63-後14)でした。
 一方、単純な中世古典学者の一生を淡々と描いた書籍、「ストーナー」(このブログの2017年9月20日参照)に感動し、その作者ジョン・ウイリアムズの『アウグストゥス』が出版されたことを知ったときに、読むことを決意しました。
(後ほど述べますが、本書を読了して、「ストーナー」に通じるものを感じました。)
 しかし、400頁の、人名・地名や出来事などを、すんなり理解できるかどうか、不安で、少し、躊躇していました。
 でも、ついに、踏ん切りをつけて、読みました。5日かかりました。

ジョン・ウイリアムズ 『アウグストゥス』(作品社・2020年9月刊)

です。

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 さて、理解するのに不安でしたので、急がば回れと、まず先に、
塩野七生 『ローマ人の物語 Ⅵ』(新潮社・1997年初版)
を、3日かけて再読しました。

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 今更ですが、実に、面白いし、それに、これも今更ですが、カバーを外すと造本が見事です。
 結果的に、「直前」にこれを「再読」したのは良かった。読んでいても、忘れていては意味ありません。
 塩野著を読んでいると、難解と思われた『アウグストゥス』が、(表現が恐縮ですが)町内のことを知った自治会長が、その街の住民の話や噂を聞いている感じで、楽に楽しめたのです。

 ところで、塩野著を、再読して、今回、最も印象に残ったのが、アウグストゥスの一人娘ユリア(前39-後14年)のことでした。
 そして、『アウグストゥス』でも、第2章、本書の半分近くは、そのユリアのことが書かれています。
 ああ、ジョン・ウイリアムズも、そうなのか、と妙に感じ入った次第です。
 ウイリアムズ著では、ユリアが、後述の様に、ティベリウス暗殺計画に巻き込まれるのが、塩野著には、あまり無かったところです。

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 さて、作者ジョン・ウイリアムズ(1922-1995)は、寡作ですが、50年以上前に出版された、3作目「ストーナー」(1965年刊行)が、仏英米で再評価・再出版されて、日本でも翻訳され、2014年第1回日本翻訳大賞読者賞を受けました。
 本書『アウグストゥス』は、4作目で、1963年に着想され、1965年ロックフェラー財団から執筆助成金を得て執筆開始、1972年刊行されたもので、遺作です。
 1973年・第24回全米図書賞を受賞しています。日本での刊行は、昨年、2020年です。

 本書は、作家が、一つの物語を紡いで行くのではなくて、主人公オクタウィウス(尊称アウグストゥス)と周辺の様々な人物が語る形で、話が進んで行きます。
 似たような形は、証言・証拠・弁論を重ねる法廷審理物語にもありますね。

 語り方は、書簡体で、起きた事象を綴ったり、報告したり、あるいは、策謀を巡らす密書だったり、
 また、日記文やその為の覚え書きであったり、あるいは、後の歴史書の引用であったりします。

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ワグナー 歌劇『タンホイザー』(全3幕) ~ 久しぶりのオペラ。序曲が始まってウルウルと涙目に・・。渾身の歌唱と迫真の演奏、そこに観客も力が入った相乗作用で、素晴らしい一夜となりました。

 命がけ、と冗談を言って家を出た、コロナ禍での、久しぶりのオペラ鑑賞。
 救済を告げる巡礼の歌のメロディーが入った、波打つような美しい演奏が始まると、感激で涙目になってしまいました。
 2月17日(水)17時から、上野の東京文化会館大ホールで、
リヒャルト・ワグナー作曲・台本の

歌劇『タンホイザー』(全3幕)

を鑑賞しました。休憩1時間(2回)を入れて4時間。
 フランス国立ラン歌劇場との提携公演、〈新制作〉です。
 席は、S席3列中央(全2列は空席なので、事実上は最前列)。一つ飛ばしの席です。

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 〈密〉を気にしてか、舞台両脇袖に、2台のハープや打楽器、トランペットなどを配置しています。それで、字幕装置が、やや中央寄りになって、すこぶる見やすい。理屈っぽいヴァグナーの台詞を、今回は、心に刻んで鑑賞できました。
 それで、細かい動きをよく観察できましたが、実に、よく練られています。

 〈新制作〉ですが、違和感ない抽象化で、あれこれ想像しながら、楽しめました。ただ、1幕と2,3幕の解釈が繋がりにくく、特に、登場する少年の意味が、分かるような、分からないような。
 天井から舞台に向けて、ずっと鉄骨の逆円錐形が下がっています(終幕で、タンホイザーが、これを遣って天に上って行く、意表をつく演技があります。なお、写真は「ぶらぼあ」から転載しました。)。

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 左右上方には回廊があり、舞台奥には、入れ子状の小ステージがあって、大きな役目を果たします。
演出は、キース・ウォーナー
装置:ボリス・クドルチカ
 ワグナーを観る(聴く)には、舞台の〈象徴性〉に留意する必要があります。時代の象徴か、主人公の心理の象徴か、と言うことです。
 動きでは、「ヴァルトブルグに到着する貴族の入場」(第2幕)や「ローマ語り」なども繊細で、素晴らしい。

 ヴェーヌスヴェルクの扇情的なダンスも魅力的です。冒頭、舞台奥の入れ子状のステージ様のところから、裸身のようなダンサーが飛び出してきます。「おお、っと」!
振付:カール・アルフレッド・シュライナー
 余談ながら、ビーナスは、ローマ帝国では、重要な神だったのが、キリスト教では、異教、邪神になってしまいました。
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峰宗太郎・山中浩之 『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』 ~ これを読んで、新型コロナワクチンの接種を躊躇してしまいました。

 まずは、このブログのアクセス数が、本日、22万を超えました。お読み頂き、誠にありがとうございます。感謝いたします。
どうか、これからもよろしくお願い申し上げます。


 以前、岡田春恵 『新型コロナ 自宅療養 完全マニュアルをご紹介した時に、読者の方から推薦していただいた本(ありがとうございました)、

峰宗太郎・山中浩之 『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』(日経プレミアシリーズ)

を読みました。

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 岡田春恵氏の本を読んだのは、万一、《入院》や《ホテル待機》《自宅待機》になった時のために、どんな準備をしておくのか分からなかったからですが、今度の本では、ワクチンのことを、ちゃんと知ることが出来ました。

 さて、今朝もテレビでワクチンをテーマにした番組をしていましたが、どうも、肝心なところが議論されず、ただ、反作用で熱が出ると怖いとか、アレルギー反応がこわいとか、そんな議論でした。
 肝心なところとは、
 これも本書できちんと得たのですが、COVID-19(コビッド・ナインティーン)、これは、新型コロナの「病名」です。「ウイルス名」は、SARS-COV-2 (SARSコロナウイルス2)と言います。
 そして、新しいワクチンは、遺伝子工学の治療的方法によって作られた(ここがポイントです)、

「核酸ワクチン」(mRNAワクチン。メッセンジャーRNA)

である、ということです。
 人間の身体のタンパク質製造システムを遣ってウイルスの成分を作ろうとするものです。
 これまでの様々なワクチン、例えば、生ワクチン不活性化ワクチン成分ワクチンとは、全く異なる「テクノロジー系ワクチン」である、ということです。
 そして、この新ワクチンが、開発された時に、あと、10~20年たつと実用化され、役立つと思われていたのが、このコロナ禍で、急遽、商品化されたと書かれています。
 日本でも遣われるのは、
英アストラゼネカとオックスフォード大学開発の「AZD1222」、
米ファイザーと独ビオンテック開発の「BNT162b2」、
米モデルナと米NIAIDの「mRNA-1273」
です。

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呉座勇一 『戦争の日本中世史 ­「下克上」は本当にあったのか』 ~ 日本中世の詳細な人物の動きと共に、歴史学会の論争の「現状」が理解できて、頗る面白い。

 さて、このブログの1月6日にご紹介した、ベストセラー『応仁の乱』の著者の著書、

呉座勇一 『戦争の日本中世史 ­「下克上」は本当にあったのか』(新潮選書)

です。

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 ここのところ読んでいる、室町時代とその前後の知識を総括出来る書物です。系図などのコピーも随分溜まりました。
 本書は、全335頁。ぎっしり文字が詰まったボリュームですが、面白くて、飛ばすところもありません。
 しかし、歴史を読んでくると、つくずく〈跡継ぎ〉を〈つくる〉(産むこと、地位を譲ること)というのは、ホントに大事だし難しいと感じますねえ。
 余談になりますが、今読んでいる「アウグストゥス」、ローマ帝国初代皇帝ですが、娘ユリア一人だったので、〈悲劇〉が始まっています。

 ところで、本書では、「やれやれ、またぞろ、階級闘争史観である」・・と、度々、批判の言が出ます。本書の最大の面白さは、歴史を語りながら、現在の歴史学会を語るからでしょう。
 戦後のマルクス主義批判→7・80年代のそれへの批判→藤木久志など新しい傾向、のいまだに混沌とした状況が語られます。歴史書を読むときには、当然ですが、気をつけなければいけません。

 まさに、「はじめに」は、1980年生まれの著者が、本書を、2013年(33歳)に上梓した気鋭の学者の書物らしい意気込みが窺われます。特に、戦後、マルクス主義史観の学会への強い影響力に注意を促しています。
 よって、叙述も、結論を簡単に導くのでは無くて、その過程の説明が詳しく書かれていて、それで書物のボリュームが多くなったのでしょう。

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『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』 ~ アメリカの「今」が豊富なイラストで分かります。あと一つ、恩田陸の連載小説『spring』について少し情報を・・。

 東京丸の内の丸善書店で見つけたのが、

デイビット・セイン監修『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』(昭交社・2020年9月刊)

です。

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 寝る前にパラパラと楽しんでいました。
 私ごとですが、30年ほど前、1週間ほど、一家で、カリフォルニア州(日本の本州の2倍ほど)のサンフランシスコ、ロサンゼルスと、アリゾナ州(北海道の3.5倍ほど)のグランドキャニオン、に3日づつ位行ったことがあります。
 管理職で休みが取れないので、日本社会が許す「お盆」に、半年前から仕事が入らないように根回しして〈決行〉出来ました。ツアー旅行でしたが、お盆料金で、えらく高いせいか、参加は我が家だけ。したがって、通訳も、案内も、グランドキャニオンまでのセスナ飛行機も、全て我が家〈独占〉の旅行でした。子ども達は、帰ってからも、長らく、腕時計の時計をアメリカ時間にしていました。
 閑話休題。本題です・・。

 本書で、いろいろな発見があります。例えば・・、

・ニューヨーク州の面積は、東京都の65倍
・「感謝祭(サンクス・ギビング・デイ)」(11月第4木曜日)は、マサチューセッツ州プリマスに1620年、英国国教会の弾圧を逃れて入植したピューリタンの一団ピルグリム・ファーザーズが、ワンパノワというインディアンから作物栽培法を教えてもらって餓死を免れた翌年の祝宴からのもの、
・ニューハンプシャー州は、個人所得税・消費税ゼロ

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門井慶喜 『銀閣の人』 ~ 「孤独」、自由の中で最も貴重な、人からの自由に至高の価値を置いた建物(慈照寺「東求堂」の「同仁斎」)を語る義政の物語です。

 はじめに、余談ながら、注目していた大作 ジョン・ウイリアムズ 『アウグストゥス』を読み始めました。読了まで、数週間は、かかる、やや気合いの入った読書です。
 と言って、今日の作品には気合いが入っていないわけではありません。

 このところ室町時代、応仁の乱の書物を継続して読んでいますが、今日の書物は、足利義政 (1436-1490) が建てた銀閣(慈照寺)がテーマになっています。
 それは、

門井慶喜 『銀閣の人』(角川書店・2020年9月刊行)

です。

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 あわせて、古書店で、
『古寺をゆく(14) 金閣寺 銀閣寺』(小学館ウイークリーブック)
を求めました(100円)。
 正確には、「金閣 銀閣」、なんでしょうが。

 これで、慈照寺の東求堂「同仁斎」や、枯山水の庭(銀沙灘、向月台)を見られました。
 筆者、幼少期は、大阪で過ごしたので、学校で何度か行っていて、その時は、「また、京都~」なんて、今考えると、贅沢なことを言っていた覚えがあります。

 このブログの『応仁の乱』(1月6日)でも書きましたが、8代将軍・足利義政は、8歳で将軍位に就いた後、長ずるにつれ、次第に管領・細川勝元の意見を聞かなくなり専横になりました。
 しかも朝令暮改・右顧左眄の政、側近3派には翻弄され、畠山家の家督相続にも口を出して混乱させ、自らの後継でも揉め、応仁の乱、大干魃や疫病(疱瘡・赤痢)の時代を生きました。
 義政には、少し「呆れる」感が無きにしも非ずですが、本書は、それら政事については、とりあえず脇に置いて、京都東山に義政が建てた・・、
臨済宗相国寺派「東山慈照寺(とうざんじしょうじ)」
(いわゆる銀閣は、「観音殿」です。金閣と対比の通称で、銀色ではありません。)にある・・、
持仏堂の性質を持つ建物「東求堂(とうぐどう)」、

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その中にある4畳半の部屋「同仁斎(どうじんさい)
の〈建設意図〉を義政に語らせた物語です。文事の話です。

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 聴き手は、元相国寺僧の連歌師・宗祇(自然斎)と茶通の村田珠光。
 また、大工の棟梁・善阿弥(通称ゼンナ。又四郎)、三吉や経理を預かる木幡(こわた)輿七郞のやり取りが費用(ついえ)や建築の苦労を浮かび上がらせます。

 物語は、義政32歳、その跡取りの義尚(よしひさ)3歳、母・日野富子28歳で始まります。義政は、義尚が自分の子では無いと〈確信〉しているようです。

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エドワード・ゴーリー 『うろんな客』ほか ~ あっ、そうか、これは幼児のことか !?、ゴーリーの「絵本」(どちらかと言えば大人向き)をまとめて読みました。

エドワード・セントジョン・ゴーリー (1925-200)の

『エドワード・ゴーリー・インタビュー集成 どんどん変に』(河出書房新社)

と絵本、
『うろんな客』(河出書房新社 1957・日本2000年刊行)
ギャシュリークラムのちびっ子たち』(河出書房新社 1963・日本2000年刊行)
優雅に叱責する自転車』(河出書房新社 1969・日本2000年刊行)

を読みました。
 ゴーリーの、上から、〈白いユーモア〉、〈黒いユーモア〉、〈シュールな側面〉の絵本です。

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 子どもと見ながら話すのも良いですが、やはり、シュールで〈解釈〉を要するし、それに、道徳や倫理観を除けた、不条理な世界観ですから、〈どちらかと言えば大人向き〉でしょうか。もっとも、作者には、子どもからもファンレターが来るそうですが。
 特に、『ギャシュリークラムのちびっ子たち』は、AからZまで、すべて子どもが、意味なく死んでいくのですから。「Aはエイミー かいだんおちた」、「Bはベイジル くまにやられた」と言う具合です。

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 ゴーリーの本は、子どもの本を模倣しつつそれを破壊します。
 ヴォリュームは少なく、簡潔。19世紀ヴィクトリア朝風のノスタルジックな雰囲気があり、服も今は誰も着ていないようなもので、見たことも無い生き物が登場し、明暗の対象で描かれ、きめ細かい線がぎっしり書かれています(日本画の影響も受けています)。たいてい、読み始めて数頁で、恐ろしいことが起こります。

 実は、昨秋、日生劇場でオペラを観る前に、有楽町の「日比谷シャンテ」3階にある書店「日比谷コテージ」を歩いていたら、エドワード・ゴーリーの本が数冊あったのです。
 この小さな絵本は、子ども向き・大人向き ?、パラパラ見て、興味を持ったのが最初の邂逅。
 以後、忘れられずにいたら、自宅近所の「紀伊國屋書店」の特設コーナーに、ショーン・タンの本と一緒に、ゴーリーの〈絵本〉が数冊置いてありました(この店のセンスは、凄い !)。いよいよ、それが、読む、きっかけです。
 『インタビュー集』(2003刊行)は、作者を理解するための、いわば参考書に買ったわけです。まとめているのは、カレン・ウィルキンソンという美術評論家・キュレーターです。

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岡田春恵 『新型コロナ 自宅療養 完全マニュアル』 ~ 老夫婦の安心のために読みました。早速、パルスオキシメーターは買おうと思います。なお、「芸術は不要不急か」について一言。

 気を付けてはいますが、老夫婦二人暮らしなので、コロナ禍で、自宅待機、ホテル療養となった場合の対処に不安があって、新聞で見かけ、早速、買ったのが、

岡田春恵 『新型コロナ 自宅療養 完全マニュアル』(実業之日本社)

です。

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 岡田さんは、昨年、朝のワイド・ショーで大活躍し、余談ですが、半年もたつと、服装・髪型が随分と清廉されてきた(胸にVラインがあったりもして)、あの方です。感染免疫学・公衆衛生学が専門の、白鷗大学教育学部教授・医学博士。

 本書は、さっと読めて、必要な部分は、コピーしておけば、一応安心です。
 新型コロナ(COVIDー19、と言います)の、今更ながら基礎を学びます。例えば、なんで「新型」なのか、知ってます ?
 改めて、気にとめたのは、発症の2日前からウイルスが体外に出ることと、飛沫感染とは言え、マイクロ飛沫による「エアロゾル感染」や、目からの「結膜感染」があると言うこと。満員電車で、隣の人がクシャミしたら、逃げる前に、目をとじなさいと。

 入院、自宅療養(待機)の選別は、「血中酸素濃度」計で計り、酸素飽和度96%以下かどうか、となります。
 したがって、いくら高熱でも、酸素飽和度97以上なら、扱いは、原則「軽症」とか。
 血中酸素濃度を計る、「パルスオキシメーター」は、買っておいてもいいですね。アマゾンで、3、4千円ぐらいが普通ですが、品切れも多いみたいです。えらく安い品で、即配達可なんていうのもありますが・・。できれば、日本製を買いたいです。
 なお、今は、血液を採るのではなくて、指に光を当てて計るのでご安心を。

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森功 『鬼才』 ~ 稀代の名編集者の「生き様」と、その「時代の出版史」がわかり、興奮して読みました。終盤の書き流した様な「情報」は無くて良いかも。

 新聞広告で見て、その日に買ったのが、

森功 『鬼才』(幻冬舎)

です。
 新潮社の名編集者、「帝王」とも言われた齋藤十一を書いています読書好きは、きっと飛びつくでしょう。

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 まずは、新潮社創業者佐藤義亮齋藤十一が、〈ひとのみち教団〉(PL教団)を通じて知り合ったこと、齋藤十一が新潮社に21歳で入社して、7年間倉庫係をしていたときに、外国翻訳文学を読みあさったこと、戦時中は、肺浸潤で兵役を免れたこと、などから始まります。戦後のパージで、名編集長中村武羅夫の後を継いで抜擢されて頭角を現しました。
 「新潮社の帝王」、「伝説の編集者」、「出版界の巨人」、「昭和の滝田樗陰(たきた  ちょいん。1882-1925。大正の雑誌編集者で「中央公論」編集長)とも言われました。

 つまり・・、

 新潮社が、佐藤義亮(元、儀助。1878年生まれ)によって創業されたのは、1908年(前の新声社の時代を創業とすると1897年)。
 秋田の角館から出て、牛込区の秀英社(現在の大日本印刷)の印刷工から苦労して、1896年には雑誌「新声」を出しました。
 9人の子どもを成し、長男・義夫が2代目社長、その長男・亮一が3代目社長(初代「週刊新潮」編集長)、その長男・隆信が(電通から戻って)現社長となり、また、子ども達を会社に勤めさせました。
 そのなかで、早世した8番目の和子の健康を願ってか、〈ひとのみち教団〉(現在のPL教団)に入信し、家族もそれに倣っています。

 一方、本書の〈主人公〉、齋藤十一(じゅういち。1914年2月11日ー2001年12月28日。紀元節の2月11生まれで、「十一」)は、東京ガスに勤める清之助、母・志希の間に、北海道小樽市勤務の時に生まれ、早稲田大学中退後1935年(昭和10年)に新潮社に入社しています。最初の結婚は、翌1936年、22歳で、〈ひとのみち教団〉で知り合った小川富士枝(1916年生まれで、2歳下)でした。
(のち、富士枝など齋藤家は、カトリックに改宗して、多磨霊園に墓を持ちます。また、富士枝は、ずっと十一がパトロンとなっていた音楽家の青年雄治(1936年生まれ)を養子にします。多摩霊園の齋藤家の墓は、富士枝がずっと管理して行き、十一は、鎌倉建長寺の墓に埋葬されます。)

 入社後7年間は、倉庫係を務め、この頃、外国の翻訳文学に耽溺しました。肺浸潤を患っていたので、兵役は免れました。

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西條奈加 『千両役者』 (時代小説アンソロジー『商売繁盛』収録) を楽しみました。

 余談になりますが、第2次世界大戦で、東京オリンピックが中止された頃、軍部は、出版社に対して、「不要不急」の本の印刷の自粛を求めました !?

 さて、第164回 直木賞を受賞した、西條奈加 (1964-) さん(受賞作「心(うら)淋し川」)の作品が入った時代小説アンソロジー『商売繁盛』(角川文庫)を買ってあったので、早速、短編、

西條奈加 『千両役者』

を読みました。

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 面白いし、謎解きの迫力があって、深夜、読むのを止められませんでした。
 寂れた料理屋「鱗(うろこ)や」の養子の若旦那・八十八朗が、乾坤一擲、食通の人気若手役者・小林伴之助を囲む贔屓の会をきっかけに店を盛り立てようと計画します。
 しかし、姑は、頼りにならないどころか足を引っ張るし、板長・軍平は及び腰。贔屓の会にはうるさ型の大店の内儀がいるし、なによりも、落花生アレルギーの若内儀がいます。
 最後の最後、あれほど注意したはずの、落花生に当たった若内儀。一体全体その謎は。
・・というところで、人物描写、物語の運び、謎解きと解決法が見事です。
 あまり読んでいなかった作者ですが、ファンになりました。

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秋山香乃ほか 『足利の血脈』 ~ 関東足利家と忍び〈さくら一族〉の物語。史実の隙間を、虚々実々、抜群の面白さで物語にした本です。

 今年の新年に初買いした書物は、

秋山香乃ほか『足利の血脈』(PHP)

です。

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 このところ、「乱都」、「応仁の乱」などを読み、室町時代に興味が沸いていたところ、新年の書店で見つけ、即買ってしまいました。新年早々出版の新刊です。
 あまり知らなかった、関東の足利家(公方)の歴史を知ることが出来ました。

 足利家は、尊氏(1代)の京・室町幕府のほか、弟・直義の、行政府と位置づけた鎌倉公方を置きました。
 直義は、「観応の擾乱」(1350)で屈服して、鎌倉公方には、尊氏4男の足利基氏が就き、関東足利氏の歴史が始まります。

 「永享の乱」(1438)で、室町の義教(6代)が、鎌倉公方持氏(鎌倉5代)らを追討し、足利成氏が古河公方(1代)として再起します。
 1458年には、室町の義政(8代)によって、政知が伊豆に攻め(堀越公方)、さらに、1517年、小弓(おゆみ)公方・足利義明が生まれます。
 なお、堀越公方は、北条早雲に滅ぼされます(1493)。

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児童向き、ビクトル・ユーゴー『ああ無常 (レ・ミゼラブル)』 ~ 御用とお急ぎの大人は、当面、これでも十分。素晴らしく、良く出来ているので感心しました。今の子どもは幸せです・・もっと本を読めば、ですが・・。

 承前。さっそく、子ども向きの本を探して読んでみました。

ビクトル・ユーゴー 『ああ無常』(講談社 青い鳥文庫)

です。

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 塚原亮一訳、篠崎三朗絵で、1989年第一刷・2008年第四六刷、となっています。
 訳者は、1920年生まれのフランス文学者。国立音楽大学で、仏語と児童文学の教授。

《小学校中級から》となっている本書は、「ああ無常」を、「なんと世の中は冷たいのだろう」と後書きで説明し、「人生の出発点に立つ若い人たちの、かならず読まなければならない作品」と述べています。
 そして、児童書らしく、「偏見のない社会を築くこと」、「愛にみちびかれる社会を築くこと」の重要性を解いています。
 巻頭の地図も、人物紹介も、注釈も的確です。
 こんなに、良い本が沢山ある今の子どもは幸せですねえ。

 この機会ですから、私の机を見てください。こんなものです。

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 ありがとうございました。★

鹿島茂 『「レ・ミゼラブル」百六景』 ~ 原作、ミュージカルの理解が格段に進む見事な著作です。併せて、ミュジカル映画 『レ・ミゼラブル』(2012)もお薦めです。

 子どもの頃、「少年少女世界文学全集」で、ヴィクトル・ユゴー(1802-1885)の「ああ無情」という、抄訳を読んだ覚えがあります。
 この歳になっても、まだ知らない作品があるし、新しい感動もあります。
 先日、ミュージカル映画とは知らずに、NHKーBSで、『レ・ミゼラブル』(2012・英米合作・158分)を観て、涙するほど感動したので、早速、

鹿島茂 『「レ・ミゼラブル」百六景』(文春文庫)

を読みました。

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 本書は、原作の1862年3月に刊行後(日本では、1917年完訳)、
1865年発行のエッツエル&ラクロワ書店版のギュスターヴ・ブリヨンの木版画挿絵180葉に、1879から1882にかけて刊行された、ユーグ版のイラスト挿絵180葉を加えた、
計360葉の挿絵中から、106葉を精選して、
著者鹿島茂が、説明を加えた書物です(1987年初版、1994年文庫化、2012年文庫新装版)。

 昨年、同氏の『「失われた時を求めて」の完読を求めて』(2019)を読んで、結構、難しかったので、本書を読むのを警戒したのですが、案に相違して平易で、約500頁を2日で完読しました。
 ユゴーや家族のこと、時代背景や貨幣価値など、さらには、例えば、当時、既製服は無いとか、パリの下水道の成り立ち、上下水道が無いから洗濯代は必須とか、トイレの話までもが、詳細に説明されていて、実に、有益です。お薦めです。

 あわせて、DVDにあると思いますが、
ミュジカル映画 『レ・ミゼラブル』(2012・英米合作・158分)
監督:トム・フーバー(1972-・英)

もお薦めです。実に、原作に忠実に映画化されています。ラストのジャン・ヴァルジャンの死などは、感動的です。

 原作の物語をきちんと知らないと・・、
 例えば、映画の、1832年6月の民衆蜂起(1830年7月革命ではありません)での、バリケード上で、皆を鼓舞して射殺される印象的なガブロッシュ少年が、後述するマリウスに片思いするエポニーヌの弟であるとか、父親が、最後まで執拗にジャン・バルジャンにつきまとう小悪人テナルディエと気付きません。
 また、そのテナルディエが、パリのコルボー家に住んでいたときに、隣に住んでいたのは、マリユスで、さらに、ジャン・ヴァルジャンとの〈捕り物〉もあります。結構、主要登場人物の〈交差〉が見受けられます。

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平山優 『戦国の忍び』 ~ 〈忍びの者〉の実像を、多くの書物を引用して明らかにしていきます。ただし、戦国の野戦兵的な話が中心になっています。

 先日、「コメント」を頂いて(ありがとうございます)、返信を書いたときに、「ピノック」のことを書きました。
 御先方が、音楽のブログを書かれているので、英国の古楽演奏家トレヴァー・ピノック(1946-)を好きな旨を書いたわけです。
 ・・で、昔のことを思い出しました。
 当時、ピノックのレコードを沢山買いましたが、それを皆、カセット・テープに落として、ソニーの「ウォークマン」で聴いていたのです。
 その理由は、当時、二人の男の子を、共働きで育てていたので、帰宅後も休日も、食事を作る以外の一切の家事は私がしていたので、それをしながら聴いたわけです。その分、母親がずっと、子どもと接していられますよね。(もっとも、それ以来ずっと、それが続いている誤算がありましたが。)
・・と、思い出していたら、ピノックさん、私より1歳上で、ほぼ同い年と気付きました。こちら、子育て真っ最中に、既に、超一流演奏家だったのですねえ。

 さて、老人の昔話は、これくらいにして、本題です。
年末から読み出して、このほど読了したのが、

平山優 『戦国の忍び』(角川新書/kindle電子書籍)

です。

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 余談になりますが、今読んでいる、『足利の血脈』では、忍者が活躍していますが、そこに出てくる「透波(すっぱ)」などの言葉や行動は、本書に出てきます。さすが、時代小説を書く作家は、これらは既知のことと、感心しました。

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呉座勇一「応仁の乱」 ~ 不毛で不条理な「応仁の乱」の11年間。そして、「嘉吉の変」から「応仁の乱」、「明応の変」(戦国時代の発端)まで、我々の骨肉に触れる、京・大和の戦の半世紀が詳細に語られます。

 新年最初の本です。
 前回の「乱都」で、基礎知識が持てたので、今回読んだのは、

呉座勇一「応仁の乱」(中公新書)

で、評判になった書物です。

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 まこと、「人の世むなし」、1467(ヒトノヨムナシ)です。
 本書は、まず、応仁の乱(1467-1477)の、半世紀ほど前の大和、奈良・興福寺の「大和永享の乱」(1429)から入りますが、これは、正解です。
 もう、この頃から、大和地方は、すっかり、戦の世、だった。興福寺門跡争いや郷村(筒井vs越智・箸尾・・)の戦(私合戦・「私弓矢」)を繰り返していたのです。
 この素地が、将軍の統制が利かなくなると、一挙に、京に広がり、長期の争いになるからです。
 そして、応仁の乱の終焉後(1477)・・この終了も何か曖昧ですが・・守護が各地に帰ると(守護在京制度の解体)、今度は、各地で戦が起こって、戦国時代(1493~)になる。大まかにそういう理解が出来ます。

 実は、本書を一度読了後、上記の部分、つまり、第1,2章を再読しました。
 それで、当初、するり、と見落としていた部分、筒井が実家である成身院光宣(西大寺僧)や筒井家と越智、箸尾家の争い、興福寺内紛、内紛に大和諸寺の僧兵を遣った戦いが頭に入りました。
 余談ですが、NHK大河ドラマ「麒麟が来た」で、筒井順慶が出るではありませんか。どんな人物で、どんな背景か(幕府の気に入りはなぜか)、良くわかります。
 この土壌を理解していないと、応仁の乱の核心には入れません。

 ついでながら、本郷恵子『将軍権力の発見』(講談社選書)をも再読して、さらに100年ほど前になる、足利義詮・義満(以来「室町殿」)、細川賴之ら一統、山名・大内、斯波、日野一族、禅宗との関係など、異なる視座も得ることができました。
 また、網野善彦『日本社会の歴史 (下)』(岩波新書)も、約10頁で、実に要領よく、大切なことを網羅して書かれています。

 さて、元に戻って、本題の素地を理解するために、本書は、大和、奈良・大和の興福寺を知ることから始まります。
(なお、これから、文中、【】内で、難読字部分のみ、読み方を書いていきます。)

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謹賀新年  余算、山の端に近づき、本年74歳。心静かに老いの身を養っています。

新年おめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。


 コロナ禍で、年末年始の温泉旅行を中止し、かと言って、今更、おせち料理も準備せず、来客も無く、自宅で静かな正月を迎えています。
 考えれば、こんなに静かな正月は、20年ぶりくらいでしょうか。
 歳をとると、気おっくうになり、こういう普段通りの、静かな正月は、本当に、満足です。

 年初でもあるので、少し、個人生活をご紹介します。
毎日の生活は、判で押したように・・、
 朝8時過ぎに起きて、ブログのアクセス数をチェックし、茶を飲み、風呂に入り・流して洗い、10時近くに食事します。
食後は、丹念に新聞を読み、妻(琴瑟相和しています。)が、散歩ついでの買い物に出かけた後に、家中(6部屋)の窓を開けて掃除し、洗濯し、干し、ホテルの様にベッドメイキングします。

 2時間弱で妻が帰ると、2階の書斎に行って、読書を始めます。
 途中、少しの“おやつ”の時間と洗濯たたみ、時によってはアイロンかけ(スタンド式のアイロン台を常備していて便利です。)をはさんで5時半頃まで読書を続けます。

 余談ですが、昨年、アマゾンの電子書籍機器 Kindle Oasis 最上位機種(4G付き)を買いましたが、遣ってみて、前に、前にと読み進む本は便利ですが、あれこれと前後の頁を参照ながら読みたい本は、私には、やや不便です。
 しかし、読みたい本を、一瞬で買えて、すぐ読めるのは、便利ですし、活字や行間を大きく出来るのは、ご老体に頗る向いています。

 閑話休題。
 夕方5時過ぎに、再び風呂に入り、夕刊を読み、7時前に夕食を摂り、9時頃までリビングで過ごします。
 夜9時頃から、10時半頃まで、再び書斎で読書します。寝室に行く前に、柔軟体操とスクワット30回以上して、ベッドに入って、11時半から12時頃まで、また読書。

 この時読むのは、次回公演に行くオペラの対訳(今は、「タンホイザー」・「セルセ」・「ファルスタッフ」)や、出版社のPR誌(「波」・「ちくま」・「一冊の本」)など軽い読書です。
 因みに、この後、電気を消すとすぐ寝入り、トイレも朝まで、普通、行きません。

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天野純希 『乱都』 ~ あまり多くはない「応仁の乱」とその前後を背景の小説です。半世紀にわたる、大名・将軍の愚行と自滅を、中心人物7編で描いた秀作です。

 今年も、残すところ僅かになりました。今年、82冊目の書物は、

天野純希(あまの すみき) 『乱都』(文藝春秋)

です。

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 畠山家の家督争いが、11年にもわたる京の荒廃をもたらした、「応仁の乱」(1467-1477。1467は、人の世むなし、と覚えました。)を背景にした連作短編集です。昔、NHK大河ドラマになったことがありますが、あまり多くは書かれないネタです。

 まずは、本文冒頭にある「『乱都』関係系図」を1.5倍に拡大コピーして座右に置き・・これも、畠山家の持永、政国や細川家の勝之など省略されていたり、山名宗全が無かったりしますが・・、多色ボールペンで書き込みしつつ、一方で、例によって、手元にずっとある昭和39年版の、「日本史年表」(三省堂)でマクロな予習をしながら読み進めました。

 「応仁の乱」(1467-1477。)から「戦国時代」(1493年~。私所持「年表」では1491~))を挟んだ、足利幕府と主要武将の権力闘争が、物語の血肉をつけて(?)理解できます。
 歴史書では、AがBを討った、だけですが、小説では、作者の解釈とは言え、人的背景の詳細が理解出来るのです。

 これで次には、人物が多く、理解が容易でないとも批評されている、
呉座勇一「応仁の乱」(中公新書)
を読む、決心、がつきました。
 パラパラ頁をめくると、本書で、深く触れられていない大名などが、詳しく説明されているようで、今から興が沸いています。

 この時代、節操なく、すぐに武力があり強い大名に荷担する足利義政・・8代将軍。銀閣寺を造りました・・、それに振り回される大名家の家督争い、
 反対に、大名の都合で首をすげ替えられる将軍家、油断すると、家臣、兄弟ならず子にも滅ぼされる大名。
 そこに、5万とも言う一向宗の僧兵、それに対する法華宗と、
 まさに・・どうしようもない !・・動乱の世の中を、京の「悪魔的な(?)魅力」に取り付かれて滅んでゆく人物にスポットを当てて、リレー的に描かれた、7編(+3編の「幕間」「終章」)の物語です。

 梗概を記すにも、「人物関係」を容易に記せませんが、大体のところは・・、

 まずは、「黎明の王」
 自ら河内の〈王〉たらんとした、古今無双の驍将(ぎょうしょう)と言われた、
畠山満家の子である持国の子、畠山義就(よしひろ)の生涯、就中、30から病に冒された50歳台に及ぶ、
畠山満家の子である持冨の子、弥三郞、さらに政長との
家長争いが、10年以上も続きます。これが、応仁の乱の核心部分なのです。それもこれも、義就が、「遊女腹の子」だったからでしょうか。将軍義政のご都合主義からでしょうか。

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プロフィール

感動人

Author:感動人
 芸術全般を愛する団塊世代です。
 「引退後」、たっぷり時間をかけて、いろいろな芸術を初心にかえって学び、横断的に、楽しんでいきたいと思います。もうひとつ、心身共に健康に「年をとっていく」ための、生活のマネジメントも「同時進行」でお伝えします。
 のんびりと過ごしたいと考えています。お寄せいただくコメントなども、論争などは避けて、ゆったりしたお話をお寄せください。

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